夢/とある夫婦の日常 | ナノ

それぞれの家庭 その1


各家庭がフードコートに行きました。



●七松家のバヤイ

「いい、食べたいものを先に注文して、お金を払って待つ。おかわりは無料ではありません!あとお店の前にたからないこと!解った!?」
『はーい!』
「ってさっそく小平太がいないし!あ、ちょっとそこ待ちなさい!お母さんの話聞いてた!?走ったらダメだよ!」
「名前ーっ、私これが食べたい!」
「ちょ、ちょっと待って小平太!長男と次男も…だし、三男がっ…!ああ、チビたち、ジッとしなさい!ほら、お店の前に固まらない!邪魔よ邪魔!」
「名前ー、これとこれとこれ食べたい」
「そんなにお金ありません!それより子供たち回収して来て!皆邪魔になってるから!コラっ、お水で遊ばない!座りなさい!あと人様の食べ物を見つめない!」
「お前何食いたい?父ちゃんこれとこれな」
「おれもそれ食べたい!でもあっちのも食べたい!」
「おー、そうだな!じゃあ全部回るか!」
「だ、だからお金ないって言ってるでしょ!?お願いだから誰か一人ぐらい言うこと聞いてッ!」

大家族なのでまとまらない。ご飯がきたらきたで騒ぎまくる。
地域内だったら「ああ、七松さんちか…」と暖かい目で見守ってくれる。
子供が泣くといったうるささはないものの、父親筆頭に騒いでやかましい。
子供たちは食べ終わったらレジの前でご飯を作ってる店員さんをジッと見つめる。で、頭を叩かれ退場。



●食満家のバヤイ

「俺が隣に座るの!」
「父ちゃんが隣に座るの!」
「どっちでもいいから早く席に座ってよ…」
「娘の左右は父ちゃんと母ちゃんって決まってんだろ!?」
「そんなの知るか!俺が妹の面倒見るって言ってんだろ!留三郎はあっちのテーブルに行け!」
「この野郎ッ…。父ちゃんを名前で呼ぶなんていい度胸してるじゃねぇか…!」
「いい加減娘離れしろよな!」
「娘はまだ一歳だ!それは早すぎる!というか、娘は嫁にやらんから一生父ちゃんのものだ!」
「はぁ…。あ、やっぱりお前が隣に座るよね」
「二人ともうるさいし、遅いから」
「冷静だね。よし、じゃあ何食べようか」
「僕、この子見てるから適当に選んできていいよ」
「うん、解った。オムライスとカレーでいいかな」
「あーっ、お前いつの間に隣に座ってんだよ!」
「兄ちゃん、父さん、こんなとこで大声出したら迷惑だよ。この子だって泣いちゃう」
「「うっ…」」
「……あれ?おい、母ちゃんはどうした」
「兄ちゃんが父さんと争ってる間にご飯注文しに行ったよ」
「じゃあ俺母ちゃんの隣!」
「ばっ、お前そこは父ちゃんに譲れよ!母ちゃんは俺のだぞ!?」
「母ちゃんは俺の母ちゃんですぅ!」
「母ちゃんは俺のだバーカ!いいから隣譲れ!」
「イッー!だ!」
「テメェ…!」
「……まだケンカしてたの?」
「今度は母さんの隣をめぐって争ってる」
「はぁ…」

父親と長男による、第57回娘の横争奪戦が始まる。でも大体次男が隣になる。
結局対面する形になる。隣に座る母親に甘える長男を見て、父親が机の下で蹴ったりする。
長男、父親両方とも娘と嫁も大好きなので攻防戦が毎回すさまじい。故に次男が冷静になった。



●善法寺家のバヤイ

「名前ちゃん、名前ちゃん!何食べたい?」
「伊作、あんまり近づかないで。不運がうつる」
「う、うつんないよ!なんでそんなこと言うの!?せっかく三人で楽しくご飯食べようと思ったのに!」
「伊作がいなければ楽しくご飯は食べれるよ」
「やだよ!僕は名前ちゃんとこの子と一緒に三人で食べたいの!」
「だって伊作、絶対こけるじゃん」
「そ、!れは……」
「あとあんまり話しかけないで。夫婦だと思われちゃう」
「夫婦だよ!僕たち正真正銘の夫婦だよ!」
「戸籍上では夫婦だけど、血の繋がりはないよね。ようするに、いつでも離婚はできます」
「何でここに来てまでそんなのこと言うの!僕絶対に離婚しないからね!ずっと名前ちゃんとこの子といるんだ!」
「この子がお嫁に行ったら離婚予定です」
「離婚もしないし、この子もお嫁に行かさないから!」
「あ、これ美味しそうだねー。これ食べる?」
「食べる!」
「うわーん、名前ちゃんと離婚なんて嫌だー!ずっと一緒にいるんだぁー!」
「うるさい。早く決めて」
「ぐすん…うん……」
「私決めたらから席に座ってるね。財布落としたら本当に殴るから」
「わ、解った。気をつけるよ」
「パパ、きをつけてね」
「うんっ!お水も持って行くからママと大人しく待っててねー!」
「ねえママ。これ食べたあと、遊んできていい?」
「子供広場で?うん、もちろんいいよ。気をつけてね」
「うんっ!」
「お水持ってきた―――っうわあああ!」

(ばしゃ)

「いたた…。っあ…名前ちゃん……。もしかしてかかった…?」
「……今日限りで善法寺の性を捨てさせて頂きます」
「うわあああん、ごめんよ名前ちゃん!お願いだから捨てないでーっ!」

何をするにも不運に見舞われるのであんまり一緒にいたくない嫁と、嫁と娘大好きで何をするにも一緒がいい伊作。
他人から見れば嫁は冷たいが、嫁もなんだかんだで伊作が好き。
娘は伊作似なのでかなり可愛い。性格も純粋で優しい子。そこだけは伊作遺伝子GJ。



●中在家家のバヤイ

「……」
「どうしたの?食べれないの?」
「…うん…」
「じゃあお兄ちゃんが食べてあげる」
「っほんと!?」
「うん。お兄ちゃんは何でも食べれるからね」
「お兄ちゃんすごーい!ありがとうっ」
「でも僕、これ食べたらお腹いっぱいになっちゃった。このお団子あげる」
「いいの!?お兄ちゃん、だいすきっ」
「(妹のため…。妹のため…!お兄ちゃんだから好き嫌いなんてしちゃダメだっ…)」

(それを見ていた両親)

「……。偉いな」
「本当は嫌いなのにっ…。もう私ご飯いらない。胸がいっぱいでお腹に入らないよ!」
「…ほら、これ」
「え…?父さん、これ父さんの分のお団子だよ?」
「私はいいから食べなさい」
「………」
「嫌いなものを食べたご褒美」
「…うん」
「(あああっ…。子供が可愛ければ長次は素敵!好きっ、素敵すぎて惚れちゃった!)」
「ん」
「ん?え、私?」
「こっちはお前の…」
「私はいいよ、長次もお団子好きなんだし」
「ん」
「うっ……。自分で食べれる、よ?」
「ん」
「……で、では…」
「あー…ん…」
「…」
「美味しかったか?」
「美味しかった、です…。(恥ずかしすぎて味なんて解らない…!)」

基本的にオチがないほのぼの家族。
父親の隣に長男、長男の前に長女。長女の横には嫁といった決まった形がある。
長男は物静か。妹の面倒はぼくがみる。長女はお兄ちゃんっ子。大好き。
そんな仲のいい兄妹を見て両親は胸をきゅんきゅんさせる。
嫁はいつも長次に恋をしている。



●竹谷のバヤイ

「竹谷、ご飯なんでもいいから買ってきて。お腹すいたー」
『竹谷飯ー!』
「言っとくけどお前らも竹谷だからな!ちょっと待ってろ、買ってくる!」

友達夫婦。昔の名残りで旦那を「竹谷」呼び。そのせいで息子たちも父親を竹谷呼び、もしくは「父ちゃん」。
基本的に騒がしいが、七松家ほどではない。
父親がとても面倒見がいいので嫁が甘えてしまう。でもそれが嬉しいらしい。(マゾではない)
子供とも仲良し。竹谷家は団結力が凄まじい。


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