それぞれの家庭 その4 お嫁さんが他の男を見ていました。 ●食満家のバヤイ 「おい、名前…」 「ん、どうしたの?」 「お前、今何見てたんだよ」 「え?別に何も…」 「嘘つけ!お前、他の男見てただろ、俺という旦那がいながらっ…!」 「あ、うん。見てた」 「なっ!お、お前…!浮気か!?」 「違うよー。今の人、留三郎に似てるなーって思ってたの。でも留三郎のほうが格好いいけどね!」 「名前…!な、なんだよそれ…。似てる奴より本人見ろよ…!」 「だってずっと留三郎見てたらドキドキするんだもん」 「お、俺だってお前見てると……。そのっ…!」 「またか。おい、しっかり妹の目抑えとけよー」 「言われなくてももう抑えてるよ」 「つーか父ちゃん、妹だけじゃなく母ちゃんも取るのかよ。マジむかつく…」 結局は旦那のことしか考えていない嫁と、嫁に対しても過保護な夫。 子どもたちは慣れてて、若干面倒。だけど母親は大好き。 ●七松家のバヤイ 「(あ、今の人昔の小平太になんか似てる)」 「……名前」 (ガシッ) 「えッ!?(な、何で頭掴まれてんの!?私何かしたっけ…!)」 「私がいるのに浮気か?」 「い、いや……。ただちょっと今の人、こへ「見る必要ないだろう」 「あ、はい…。そうですね…、すみません…」 嫁に関してのみ心がかなり狭くなる旦那。怒りどころが解らない嫁は毎回ビクビクする。 ●中在家家のバヤイ 「(ちらっ)」 「…」 「(ちらちら)」 「……名前」 「な、何?」 「何か用か?」 「ううん、何でもないよ!気にしないで本読んでて」 「……」 「(ちらっ)」 「…はぁ。名前、少しでかけるか?」 「デート!?うん、支度してくるね!」 そもそも他の男を見ない。 ●善法寺家のバヤイ 「あ、今の人格好いいね」 「何それ!他のお嫁さんたちは旦那に夢中だったり、心で呟いたりしてるだけなのに何で名前は言っちゃうの!?」 「だって本当に格好いいんだもん。え、言わないほうがよかった?」 「言わないでよ!僕という旦那がいるんだからさぁ!」 「えー…。というか伊作と結婚する気なかったっていうか…。顔はいいけど不運ってのがねぇ…?」 「そんなこと言わないでよ!僕は名前のことこんなに好きなのにっ…。―――そっか、あの男がいなくなれば名前を惑わすことなんてないよね…。そっか…そうか…」 「……伊作、ポケットにある薬を全て捨てなさい。何をしようとしてんの」 「だって名前を惑わすから!名前は死ぬまで僕と一緒にいるんだ!ずっと一緒なんだー!」 「だからと言って他人に迷惑かけないで!」 「大丈夫、これ仙蔵に頼んで取りよせた薬を調合したから僕だってバレないよ!」 「(仙蔵めぇ…!)解った、他の人なんて見ないから!」 「ほんと!?えへへ、嬉しいなぁ!じゃ、じゃあ今日の夜一緒に寝ようね?ね!?」 「うう…」 嫁は全く悪くない。悪いのは全て周り。嫁が好きすぎて若干病んでる。 ( TOPへ △ | ▽ ) |