おまけ その一の段 「―――で、お前ら何してんの」 「いきなり殺気がしたから驚いたぞ。しかし竹谷もまだまだだな!私だったら余裕で避けてた!」 「バカ小平太。お前と一緒にするんじゃない。それにあの狼は普通の狼とは違うのだぞ。あれぐらいのケガですんだのが御の字だ」 「鍛錬が足りんからケガをするんだ」 「文次郎だったら後輩助けて死んでたな」 「なんだと!?」 「なんだよ!本当のことだろ!」 「………静かにしろ」 「まあともかく、あれぐらいのケガだけでよかったね」 「そうだけどよ…。だからって全員集まってくんなよ」 「虎徹が珍しく殺気出してたからな!気になってやってきたのだ」 「何で楽しそうなんだよ、テメェは…」 「あの狼が私の可愛い後輩に牙を剥いたら守ってやらねばならんだろう?」 「…容赦はしない…」 「ああ、「危険が及んだ場合、殺処分してよし」の条件で飼育してるからな」 「うーん、僕のとこには来てほしくないなー…。殺すの可哀想だし」 「バカタレ!そんなんで忍者が務まるか!」 「そ、そんなこと言ったって可哀想なものは可哀想だし…!」 「テメェ文次郎!いちいち伊作につっかかるんじゃねェよ!」 「そうだぞ文次郎!お前は昔から伊作をいじめやがって!」 「いじめてねェだろうが!」 「それにしても今年の一年は好奇心旺盛だな」 「…一年というより、は組が。だな……」 「私のとこに入ってきた一年はなかなか筋があるぞ!きっと一番強くなる!」 「それはどうかな…。きり丸もああ見えて筋はある……」 「兵太夫のからくりは一年の中では断トツだな。記憶力もいい」 「団蔵は記憶力は悪いが、根性だけは一人前だな!鍛え甲斐がある」 「いやいや、それを言ったら虎若だって根性あるぜ。三治郎の器用さと度胸も凄い!」 「しんべヱと喜三太も度胸はすごいぞ!あと素直でいい子たちだ」 「それを言うなら乱太郎だって素直でいい子だよ。不運だけど、明るいし」 … … … 「は組の中では兵太夫が一番いい子だ」 「いいや、きり丸だ」 「金吾だって!」 「団蔵だって言ってんだろ」 「虎若と三治郎だっつーの!」 「しんべヱと喜三太なんか癒し系でもあるんだぞ!」 「乱太郎だってばーっ!」 「譲る気なし…か…」 「……」 「お前らが譲ればいいだけの話だ!」 「バカタレ。誰が譲るか」 「おうよ!」 「いいだろう、勝負だァ!」 「僕だって負けないよ!」 「おい六年生。騒いでないで早く寝ないか」 『はい、土井先生。すみませんでした』 「お前達の気持ちは嬉しいけどな」 「そう言えば土井先生の生徒でしたね」 「迷惑かけるかもしれないけど、宜しく頼む」 「任せて下さい!金吾は私が立派な忍びに育ててみせます!」 「うわ、金吾かわいそー…」 「小平太…、ほどほどにな…」 「それと虎徹」 「あ、はい」 「鎖は明日にでも用意するから、今日のところはお前の部屋に連れて行ってくれ」 「はい、解りました。ご迷惑をおかけして、大変申し訳ありません」 「虎徹のあの態度は何度見ても笑えるな」 「普段がだらしねぇからな」 「アハハハハ!」 「うるせェぞそこ!全部聞こえてんだよ!」 「それと、虎若と三治郎を助けてくれてありがとう」 「いえ、私は何も…。私より竹谷を褒めてやって下さい」 「もう褒めてきたよ。じゃあお前ら、ちゃんとケンカせず寝ろよ」 『おやすみなさい』 ( TOPへ △ | ▽ ) |