やっぱりアホのは組 !注意! 食満と虎徹で精神入れ換わりネタ。 「「何で俺が!?」」 「え、どういうこと?」 六年は組在籍の三人は、伊作を筆頭によく不運なめに合ってしまう。 巻き込まれる留三郎は怒りながらも伊作を助けてあげ、虎徹はこの不運を楽しんでいたりする。 だけど今回ばかりはそうもいかなかった。 ぶつかった衝撃で虎徹の身体の中には留三郎の魂が入り、留三郎の身体の中には虎徹の魂が間違えて入ってしまったのだ。 お互い痛む場所を擦りながら目の前の自分に驚き、声をあげる。伊作は二人に比べたら冷静な様子で二人を見ていた。 「俺は虎徹だって!目の前に俺がいるけど、俺はこっち!」 「俺もだ!俺の身体に入ってるのが虎徹で、虎徹の身体に入ってるのは俺!」 「ようするに魂が入れ替わったってことだね」 「さっきの衝撃でか!これも不運だと言うのか…。伊作めぇ…!」 「ちょ、ちょっと留三郎!虎徹の顔で睨まないでよ…!」 怒りで頭を抱える手が震えている虎徹。もとい留三郎。 留三郎も釣り目の三白眼で怒ったら怖いが、虎徹も怖い。 普段の行いや獣という印象を持っているので、虎徹の顔で睨まれたら本物の獣に睨まれるみたいで怖かった。 何度も「ごめん」と謝る伊作だったが、留三郎はすぐに許してくれない。 とは対照に、虎徹は留三郎(身体は虎徹)をジッと見つめていた。 人の目から見た自分は面白いようで、留三郎が喋るたびにブツブツと何かを呟いている。 「おい何だバカ犬…。何言ってやがる」 「いや、こうやって見ると俺もなかなか格好いいなと…」 「このアホ!んなこと言ってねぇで元に戻る方法考えろ!」 「痛いっ」 ガツンと虎徹の頭を殴る留三郎だったが、自分の身体だということに気がつき、「あー!」と殴った拳を引っ込める。 「まぁでもせっかくだし今日一日このままでいようぜ!どうやって戻るか解んねぇし」 「ハァ!?何言ってんだよ虎徹。今日一日大人しくしとくのが一番だろ。ややこしいし、まともに活動もできねぇだろ」 「……そうだ!留三郎の身体じゃあ指笛の音が違う!動物扱えねぇじゃん!留さん、俺の身体返して!返してよ!」 「きめぇ!俺の身体で泣きつくな!―――はっ、もしかして俺が指笛吹けば動物が集まるのか?」 「そうだけど…。いやいや!音によって命令が変わるから無闇に吹かないで!」 「よし、やってみるか!あれちょっと憧れてたんだよな」 「止めろーっ!」 必死になって止めようとする虎徹だったが、シューッという空気が抜ける音だけがその場に流れた。 「……よかった、吹けない人で…」 「やっべ、恥ずかしい!」 「このアホっぷり…。入れ換わっても変わらないね!」 「「失礼だな!」」 とりあえず落ち着きを取り戻したので留三郎と伊作の部屋へと集まり、これからどうするか会議を開いた。 もう一度魂を出して、伊作が入れ替えればいいのだが、その入れ替え中に不運なめに合いそうで安心して任せられない。 だからと言って他の六年に言うのも少し不安だ。 仙蔵に言えばこの状況を楽しむか、今回の件で自分たちを扱き使うだろう。 小平太は論外。きっと雑だし怖い。なんか怖い。 長次はまず興味がないので協力してくれないだろう。 文次郎が一番安全だと虎徹と伊作が言うのだが、文次郎と犬猿の仲である留三郎が頑(かたく)なに首を縦に振らなかった。 「じゃあどうすんだよ…。獣が使えない俺なんてただの忍者じゃねぇか。この連載は「獣」連載なんだぜ?」 「留三郎だから……。保父さんシリーズ?」 「下級生可愛がるだけか?……いいな、それ。よし、次回から「とある獣の生活」じゃなく「とある保父さんのお遊戯会」が始まるよ!」 「おい!まさかその下級生って用具のか?」 「あったり前だろ。喜三太も平太もしんべヱも可愛いからな!前々からあのほっぺた触りたかったんだよなー…。あと作兵衛をうんと甘やかしてやりたい!」 「そんなことさせるかァ!お前が手を出したらバカがうつる!」 「うつるかァ!つかお前だって生物委員会の子たち可愛がることできるんだぞ!?」 「なん…だと…!?」 「生物委員も下級生ばっかだね。一年生何人いるんだっけ?」 「四人だ。あと三年一人と五年一人だ」 「竹谷は……微妙だな…」 「バカ留三郎。いつもは上級生として余裕がある五年でも、まだ五年だ。俺たちとはかなり差があり、いつだって不安定だ。その不安定な後輩を支えてやるのは誰だ?」 「……俺らだ!」 「そう!そして、時々不安そうな顔で相談されみろ!一つしか変わらないが、五年生だって可愛いんだ!後輩ラブ!」 「おおおお!生物委員、楽しそうだな!」 「楽しいさ!用具委員も楽しそうだな!」 「アハハ、二人が楽しそうだねー!僕も入れ換わりたいなぁ…」 「「お前とは断る!」」 「ひ、酷いよ二人とも…」 情けない顔をする伊作だが、二人は力強く「絶対嫌だ」とハッキリ伝えた。 伊作と入れ換わったらきっとケガをするだろう。巻き込まれるのはいいが、自分の身体を傷つけられるのは避けたい二人。 会議という名のアホ会話も終わり、虎徹と留三郎はそれぞれの委員会へと向かった。 その日、変に好戦的で無駄に器用な虎徹と、変に落ちついていて大雑把な留三郎が目撃され、忍術学園…特に両委員会の生徒たちを驚かせたのだった。 ( TOPへ △ | ▽ ) |