夢/とある獣の生活 | ナノ

BL展開の段


!注意!
これから先、BL展開またはやおい展開になります。
言葉通り、「やまなし・おちなし・意味なし」になりますので、苦手な方は進まないように。
意味が解らない方も進まないように。

それと管理人はこれが初めてのBL夢となります。
どこか間違ってると思いますが、これが限界なので許して下さい…。

気持ちは虎徹×八左ヱ門ですが、精神的には八左ヱ門×虎徹。リバっぽいのがダメな方もお引き取り下さい。

前半はシリアスっぽくて、後半からグタグタ・ギャグっぽくなってます。あと後半は若干15禁です。





「そこで虎徹先輩の登場!俺と下級生の前に立ってあっという間に山賊倒したんだぜ!」
「………おい、竹谷」
「なんだよ三郎。これからがいいとこなのに!」
「お前さ、国泰寺先輩の話題しかないのかよ」
「いや、だってよ!めちゃくちゃ格好いいじゃねぇか!」
「あはは、本当に八左ヱ門は虎徹先輩が好きなんだね。なんだか恋してるみたい」
「―――え?」


先日の虎徹先輩の武勇伝を同じ組の三郎と雷蔵に話していると、冗談混じりにそんなことを言われた。
それから、雷蔵の「恋してる」という言葉が頭から離れず、柄にもなく部屋にこもってずっと考えていた。


「恋ねぇ…」


部屋で横になり、天井をジッと見つめて呟く。
正直、恋なんてしたことがなかった。だって一応忍びなわけだし。
だからこんなに真剣に考えている。が、あることに気づいて自嘲する。


「虎徹先輩は男だっつーの!」


虎徹先輩は俺の一つ上の先輩で、委員会の先輩でもある。
動物の扱い、特に犬と鷹の扱いを得意とし、この学園だけじゃなくプロ忍を凌ぐほどの実力を持つ凄い先輩。
昔から虎徹先輩に指導してもらっていたし、よく喋る。
自惚れかもしれないが、虎徹先輩も俺のことを可愛がってくれてる。
普段はいいお兄ちゃんって感じだけど、笑うと犬歯が見えてやんちゃな子供っぽい。
でも考えは俺よりも大人。七松先輩同様細かいことは気にしない性格で、前だけを真っ直ぐと見ている。でも時々振り返って手を差し出してくれる。
その背中を俺は追いかけ続けているんだけど、なかなか追いつかない。
でもそれがイヤだなんて思わない。


「何でだろうな…」


よくないかもしれないが、今のこの関係・距離が心地いい。
虎徹先輩と話すのが好きだ。俺の目を見てしっかり最後まで聞いてくれるのが嬉しい。
虎徹先輩に褒められるのが好きだ。頭を撫でてくれて、「よくやったな」って言われるのがたまらない。
虎徹先輩に遊ばれるのが好きだ。俺で遊んで虎徹先輩が笑顔になれるならそれでいいと思う。


「……っれ…?」


ようするに俺は、虎徹先輩になら何されたって嬉しいし、楽しい。
その思いが頭に浮かんだ瞬間、身体が若干熱くなった。
いやいや、俺別にそういう趣味もそういう嗜好もあるわけじゃねぇし…。これも全部虎徹先輩限定っつーか…。


「限定ってなんだよ!あれ、本気でおかしいぞ…」


上半身を起こして頭を捻るも、答えは変わらない。
もう考えるまいと首を振ったが、虎徹先輩の笑顔が離れて消えない…!
徐々に赤くなる顔。


「マジかよ…!」


雷蔵の言葉が浮かんだ。んなわけないと否定しても、熱が収まらない。
その日だけだと思っていたが、次の日も、また次の日も虎徹先輩のことばかり考えていた。
自分で言うのもなんだけど、滅多に考え事なんてしねぇから、虎徹先輩や委員会の後輩たちが心配そうな顔をしてきたが、「大丈夫」と言って距離をとる。
つーか、虎徹先輩が近くにいるとダメだ。しかも顔が見れなくなっちまった…!

そう思っていたのは一ヶ月前。
今じゃ何をしてても虎徹先輩のことを考え、探し、見ている。
絶対に俺の視線に気づいているのに、虎徹先輩はあえて見ようとしない。
なんとなく…、俺の気持ちに気づいてるんじゃねぇかと思うけど、虎徹先輩は今までと変わらない態度で俺に接してくれる。
虎徹先輩に撫でられ、笑顔を向けられるたびに顔が熱くなるが、心地いい。


「(ああ、もう…完全に落ちたな)」


虎徹先輩が好きだ。男だけど、俺は虎徹先輩のことが好きだ。
でも自分も虎徹先輩も男で、どうあがいたって恋人なんてものになれない。
解っているけど、それを考えるだけで胸が締め付けられる…。
いや、別に虎徹先輩と恋人になりたいとかそうじゃなくて…。ただこれからもずっと一緒にいたいなって思う。
でもこの想いは止まりそうにない。寧ろ昨日より今日のほうが、今日より昨日のほうが虎徹先輩のことを想ってる。


「―――虎徹先輩」
「おう?どうした、竹谷」


俺の性格上、黙って想い続けるなんて無理だ。
結果は解っているけど、言ってスッキリしたい。
思ったら即行動。
委員会を終わらせ、風呂へ向かおうとしている虎徹先輩を呼びとめると、土で汚れた顔で振り返る。
俺より少し小さい虎徹先輩だけど可愛いとは思わない。小さくても格好いい。
…とか、俺マジで終わってんな…。こんなこと言ったら虎徹先輩に怒られるぞ。


「……」
「どうしたよ。俺に用があんじゃねぇの?」
「……い、今大丈夫ですか?」
「まあ風呂入りてぇけど、それ以外別に。あ、一緒に入るか?」
「っいえ!無理です!」
「む、無理ですって…。なんなの、俺のこと嫌いなの?」
「違います!きらっ…、好きです!虎徹先輩が大好きです!」


なんて自分の気持ちを伝えようか止まっていると、そんな流れになってしまった…。考えもなしに呼びとめるからだよ、俺…!
でもちゃんと言えた。虎徹先輩が好きだと言えたッ!
虎徹先輩は少し考え、すぐに笑顔になって腰に手を当てた。


「ああ、俺もお前のこと好きだぜ。犬みたいで可愛いしな!」


アハハ!と笑う虎徹先輩。
「好きだ」と言われて喜ぶ俺がいるけど、悲しんでる俺もいた。
その好きには恋愛感情が入ってないことが解る。だから悲しい…。
これで満足しようと思ったが、手が勝手に虎徹先輩の腕を掴んでいた。


「……どうした?」
「…っの…、その…」
「…」


真剣な空気に、虎徹先輩も真剣な顔になって俺をジッと見ていた。
ああ、もうきっと解ってる。解ってるのに何も言わず、俺の言葉を待っている。
結果が解っているから目に涙が浮かんできたが、虎徹先輩に心配されたくないので俯いて掴んでる手に力を込めた。


「…お、れ…。虎徹先輩のこと…、マジで…その、……」
「…おう、何だ」
「―――好きなんす…。俺も虎徹先輩も男だけど…、……あの、すみません…」


自分でも驚くぐらい声が震えていた。だけどちゃんと伝えた。
怖くて虎徹先輩の顔が見れない。きっと引いてるに違いねぇ…。
少し間を置いて虎徹先輩が俺の名前を呼ぶ。下の名前で呼ばれた。


「ありがとうな、八左ヱ門。だけど俺はお前をそういった目で見れねぇし、応えることができない。だから無理だ、すまん」
「……―――あ…、はい…」
「でも俺はお前のことが好きだよ。可愛い後輩だ。だから、……態度を変えるつもりはねぇ。それでお前を傷つけることになるかもしれねぇけど……」
「…いえ、……すみません、……っありがとう、ございっ…ます…ッ!」
「おう。じゃあ俺風呂入ってくるから。お前もしっかり疲れ癒せよ!明日は裏裏山まで行くからな!」


変わることなく、ポンポンと俺の頭を撫でてお風呂へと向かった。
残された俺は誰にも聞こえないよう、声を押し殺して泣く。
解っていたことだけど、改めて虎徹先輩に言われると心が苦しかった。
だけど救いなのは虎徹先輩が明日からも変わらず接してくれるということ。
嬉しい半面、きっと期待してしまう…。ダメだと自分に言い聞かせても、当分の間は無理だと思う。
どうしたらアッサリ、虎徹先輩みたいに割り切ることができるだろうか…。


「……虎徹先輩ッ!」


フラれてから妙にスッキリした。いや、それ以上に苦しかったりもするけど。
でも振られたんなら何してもいいような気がしてきた。
急いで虎徹先輩を追いかけ、再び呼び止める。
やっぱり普段と変わらない表情で俺を振り返り、「何だ?」と首を傾げる。格好いいのにその仕草は可愛いだろ…!
大体、男前で格好よくて好戦的な性格なのに後輩好きで優しく、時々子供みたいな仕草をするとか卑怯なんだよ!


「あの、俺虎徹先輩のことが好きなんです!」
「おう、それは聞いた。でも無理」
「はい、知ってます!だけどそう簡単に虎徹先輩のこと諦めることができません!」
「おうふ…。そ、そうか…、慕ってくれるのは嬉しいが、俺女の子が好きなんで…」


「解ってねぇだろ」って顔で俺を見てきたが、今の俺には怖いものなんてない。なんたってフラれたからな!
若干引き気味な虎徹先輩の両手を握って顔を近づけると、「いッ!?」と驚きの声をあげた。
ああ、虎徹先輩が驚くなんて珍しいな…。しかも俺相手に驚いてるなんて…。
近くで見るとやっぱり小さい先輩。いや、善法寺先輩や立花先輩に比べたら大きいけど、俺よりかは若干小さい。
その差になんか興奮する。


「おいいいい!なんか近くねぇか!?ちょ、…え、これ…やばくねぇ!?」
「虎徹先輩が俺のお願い聞いてくれたらスッパリ諦めます」
「このタイミングでそんなこと言うの!?え、何だよ…。そのお願いの内容によって決まる…」
「聞いてくれますか?」
「だからさ、ない「聞いて下さい!」


さらに顔を近づけると、焦ったように「解ったよ!」と返事をしてくれた。
言いましたね。の意味をこめて笑うと、虎徹先輩は「しまった…」と苦い表情を浮かべる。


「絶対に聞いて下さいね」
「とりあえず聞いてやる…。それでお前が本当に諦めてくれるんだろ?で、内容は?」
「虎徹先輩の目の前で抜かせて下さい」
「おっほぉおおお!?おまっ、何言ってんの!?お前相当なマニアック保持者か!?」
「虎徹先輩相手だからです」
「格好つけて言う台詞じゃねぇし!え、マジで?マジで俺のま………はああああ!?」


混乱している虎徹先輩。
握った手を解こうとするも、今は俺のほうが力が強いから無理。今日だけは俺のほうが上だ。
そういった話は虎徹先輩のほうが強いし好きだが、男相手は初めてだから相当焦っている。
やばい、そういう顔初めて見た…。このまま口抑えつけたらどうすんだろ…。


「お前そんなことしてみろ!縁切るぞ!」
「えッ!?」
「声に出てんだよ!ふざけんな、俺ぁ男に突っ込まれる趣味ねぇぞ!突っ込む趣味もな!」
「突っ込むのも、突っ込まれるのもイヤなら目の前で抜くぐらい構いませんよね?」
「お……ッ、テメェエエエエエ!」


ニッコリ笑って言うと、青筋を浮かべた虎徹先輩に殴られたけど、痛くなかった。
痛いけど、今は痛くない。っていうかちょっと嬉しい。
手を握ったまま俺の部屋へ連れて行こうとすると、虎徹先輩は激しく抵抗しだした。
だけど俺の本気が解ってか、部屋に近づくにつれて大人しくなってくれた。文句は言ってたけど。


「じゃあ、いいっすか?」
「さっそくかよ…。俺も言えた義理じゃねぇが、お前がっつきすぎだろ…。マジで勘弁してくれ」
「男に二言は?」
「……だー……!約束しちまったしなぁ…」


虎徹先輩は約束を絶対に守ってくれる。あと、後輩からのお願いにはすこぶる弱い。例えそれがこういった展開になっても、だ。
長年付き合ってるから解るさ。


「いいか、最初に言っとくが、俺に触るなよ!」
「触りませんよ、我慢できなくなるし」
「おい、最後の台詞自重しろ。つーか最初までのしおらしいお前はどこへいった」
「フラれたらスッキリしたので」
「くっそー…」


顔を背け、諦めたように溜息を吐いた。



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