夢/とある獣の生活 | ナノ

おまけの段


「よぉ、竹谷。虎徹の奴起きたんだって?」
「あ、食満先輩。はい、まだ起き上がるのは辛いみたいですが、普通に喋ることはできます」
「さすが野生児…。で、お前は大丈夫なのか?」
「俺ですか?俺は平気ですよ?」
「(…まぁ、疲れてるものの昨日に比べて顔色はいいな。虎徹がちゃんと慰めてやったんだな。虎徹が寝てる間、死人みたいなツラしてたからな)」
「俺の顔に何かついてますか?」
「いや、何でもねぇよ」
「では失礼します。虎徹先輩のご飯の準備があるので!」
「……おい竹谷」
「はい?まだ何か?」
「お前もしっかり休めよ?その…、顔色はいいが、隈酷いぞ?」
「確かにここ最近寝ていませんが、今すっごい調子いいんすよ!」
「(うっわ、すっげぇ笑顔…。どんだけ虎徹が目ぇ覚めて嬉しいんだよ…)」
「虎徹先輩にもあのことは気にするなって言われましたし。あんなに落ち込んでたのに、虎徹先輩に言われたらすっかりなんです。さっすが虎徹先輩ですよね!」
「(虎徹っつーか……。お前が単純つーか…)」
「あとちょっと不謹慎ですが、弱った虎徹先輩の介護ができるなんてちょっと珍しいっていうか…その、嬉しい…感じがして…」
「(何でそこで顔が赤くなるんだよ…!虎徹の奴、竹谷に何言いやがった!)」
「―――あ、じゃあ俺失礼しますね!早く準備しないと…」
「竹谷、虎徹は男だからな?」
「は?何言ってんすか食満先輩。そんなの知ってますよ」
「あ、いや。一応忠告しておこうかなって…。まぁ…、無理のないよう頑張れよ。虎徹は任せた」
「はいっ。お任せ下さい!」

「伊作、あいつダメだ。マジで忠犬だった」
「虎徹は獣を魅了する力を持ってるからねぇ…」
「竹谷が元々そういう気質を持っていたのか、虎徹の力が強いのか…。どっちにせよ虎徹にも忠告しとくか」
「竹谷も虎徹のどこがいいんだろうねー。ただの野生児なのに」
「でも今回もその野生児のおかげで助かっただろ」
「……。まぁね、どっちとも傷が深かったから焦ったよ…。出血の量も多いしさ」
「虎徹が死んでたら、虎徹には悪いけど竹谷を一発殴ってた。本当によかったな」
「うん、僕もだよ。本当によかった」






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