夢/とある獣の生活 | ナノ

おまけの段


「―――んっ………あ、れ…?…虎徹先輩がいない…」

「お、目ぇ覚めたか?」
「あ…はい…。……あの、先輩どこへ?」
「どこって早朝鍛練。文次郎と一緒に」
「そうでしたか…。(いるって言ったのに帰ったのかと思った…)」
「お前、俺が帰ったと思っただろ」
「いやぁ、あはは…」
「ずっといたっつーの!ちゃんと布代えたり、布団掛け直したりしたのに…。はぁ、俺って信用ねぇなぁ…」
「そ、そんなつもりで…!あのっ、ありがとうございます。虎徹先輩のおかげでかなり身体も楽になりました」
「と言うのは冗談だ。まぁよくなってよかったよ。あとは大丈夫だよな?」
「はい、もう大丈夫です」
「でもまだ熱下がってねぇんだから今日も大人しく寝とけよ。じゃあな」
「はい!」

「お、おっす雷蔵、鉢屋」
「おはようございます、虎徹先輩。もしかして昨晩からここへ?」
「おう、今から帰るとこ」
「朝帰りですか、昨晩は楽しんだようで」
「三郎が想像してるようなことはしてねぇって」
「虎徹先輩はそう見てないにしろ、ハチは虎徹先輩のこと好いてますよ」
「好いてるっつーか、慕ってくれてるだけだろ。じゃああと任せた」
「はい」

「三郎ぉ…!お前虎徹先輩に何言ってんだ!」
「なんだ、盗み聞きか?趣味が悪いな」
「部屋の前でで話された嫌でも耳に入るっての!らいぞー…、三郎がー…!」
「三郎、いい加減にしろよ」
「はい…」

「で、ハチ。身体は大丈夫?しんどくない?」
「身体はそれなり…。熱も昨日に比べて下がったと思う」
「そう、よかった!ハチ、薬飲まないかもしれないって心配してたんだ」
「虎徹先輩に怒られて飲みました…。すっげぇ苦かった…!」
「さすが虎徹先輩。ずっと一緒にいる僕らよりハチの扱いが上手だね」
「何だよ、その言い方。まるで虎徹先輩が俺の飼い主か保護者みてぇじゃん…」
「は?そうだろう?なぁ、雷蔵。ハチの飼い主は国泰寺先輩だよな」
「あはは…。うん、そうにしか見えないかも…」
「んなわけねぇだろ!虎徹先輩は尊敬する先輩であって、飼い主なんかじゃねぇ!」
「そうか。なら、虎徹先輩が首輪持って「今日からお前俺の犬な。あ、返事は「わん」でしろ」って言ってきたらどうする?」
「えッ!?そ、そりゃあ……お前…断るだろ…。普通に考えて…」
「即決で断れよ。何で今躊躇ったし」
「八左ヱ門は本当に虎徹先輩が好きだねぇ…。七松先輩からのお誘いは断ったりするのに、虎徹先輩からのお誘いは絶対に断らないもんね」
「七松先輩は暴走しまくるからな。それに比べて虎徹先輩は適度っつーか、鍛錬も俺を見て色々変えてくれるっつーか…」
「雷蔵、虎徹先輩はトップブリーダー、もしくはプロのドックトレーナーだ。八左ヱ門が断らないよう既に調教してるに決まってるだろう」
「あ、そっか。そうだったね!」
「だからッ!俺は虎徹先輩の犬じゃねぇって何回言えば気がすむんだよ!」

「―――言い忘れてた。竹谷、風邪が治ったら飯でも食いに行こうな」

「っはい!お供します!」
「ほら見ろ。ご主人様に構ってもらえて喜んでるバカ犬じゃないか」
「あはは、ちぎれそうなぐらい振ってるね」


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