夢/とある獣の生活 | ナノ

アホのは組の段


「ハァ…、終わらねぇ…」

「―――お、文次郎が珍しく落ち込んでるぞ」
「え?あ、本当だ…。どうしたんだろうね」
「よし、慰めてやるか!」
「そうだな!文次郎にはいつも世話になってるしな!おい、文次郎!」
「あー…?なんだ、お前らか。今忙しいんだ、話ならあとにしてくれ」
「ガッカリして、メソメソしてどうしたんだい?」
「は?」
「太陽みたいにギンギン笑う君はどこだい、文次郎?」
「……伊作、お前…」
「やりたいものやったんもん勝ちだぜ、青春ならな!」
「おい、留三郎まで…」
「辛いときはいつだって傍にいるからな!」
「おい、お前らっ…!」
「夢はでかくなくちゃ、つまらないよ!」
「ッ…!」
「夢を抱えて俺たちと冒険しようぜ、な!」
「黙れ!なんだお前らは!何がしたいんだ!?」
「落ち込んでる文次郎を慰めてただけだろ?何でそんなに怒られないといけねぇんだ。なぁ?」
「そうだよ。せっかく声かけたのにそんな風に言われるなんて…」
「最低だな、文次郎。人の好意を無下に扱うのはよくねぇぞ」
「慰め方に問題があるんだよ!何でオープニングの歌詞を多少いじって使うんだ!このアホはが!」
「アホでいいもーん!どうせ帳簿の計算してただけだろ?んなもんいいから金よこせよ。たんまり隠してんだろうが、あ?」
「だからと言ってガラッと態度を変えるな!」
「慰めたんだからお金くれるよね?」
「いさっ!?お前も虎徹に便乗するんじゃない!」
「いいから出せって言ってんだろ。テメェが会計委員長じゃなかったら慰めたりしなかったっつーの。ペッ!」
「どこの不良だ貴様らは!ないものはないし、やらんもんはやらん!」
「チッ、慰めるだけ損したな。帰ろうぜー」
「最近の文次郎って酷いよね…。もう治療してあげないからね」
「次の予算会議覚えてろよ!」
「ハッ!腰抜けどもがなんと吠えようが一銭たりとも無駄な予算はやらん!」
「そう言っていられるのも今のうちだよ。次の予算会議で俺たち「は組同盟」組んだから」
「伊作が結構えげつないこと考えてたけど死ぬなよ」
「えー、留さんも色々考えてたじゃないか」
「貴様ら…本気か…!」
「勿論っ!アホのは組は五年のときに卒業したのさ」
「いや、遅ぇし元々アホじゃねぇってば」
「どっちかって言えば「不運」だよねー」
「いや、伊作っくん。それはさすがに洒落にならないわ」
「まー、とにかく。次の予算会議楽しみにしてろよな、文次郎!」
「は組の団結力見せてあげる!」
「だな!よーし、山に戻ってたくさん生物集めてこよーっ」

「………まあどうせ不運に見舞われて終わりだろ」





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