夢/とある獣の生活 | ナノ

彼の躾方法


!注意!
がっつりBLです。
獣主×八左ヱ門で相思相愛です。





「虎徹先輩!」
「ん、どうした?」


俺にしか見せてくれない優しい表情で振り返ってくれる虎徹先輩に、心が満たされていく。
特に何の用もなく呼んだだけなのに、何でこんなにも嬉しくなるのか、幸せになれるのか…。
理由なんて簡単だ。俺が虎徹先輩のことを好いてて、虎徹先輩も俺のことを好いてくれてるから。所謂、恋仲というものだ。
男同士でって言われるかもしれねぇけど、好きになっちまったもんはしょうがない!と、俺も虎徹先輩も特に気にしてない。


「用もねぇのに呼ぶなよ」
「すみません!」


言葉では素っ気ないことを言うけど、ぐしゃぐしゃと頭を撫でて犬歯を見せて笑う。
この顔が好きだ。ずっとこの顔を見ていたいって思うほど好きだ。
「しょうがねぇなぁ」と言う虎徹先輩の顔も好きだ。ちょっと困ってるけど、甘えてくれて嬉しいといった表情は可愛いとも思う。
……こんなこと言ったら殴られちまうから絶対に言わねぇけど…。
虎徹先輩は格好よくもあり、可愛くもある。可愛い……って言い方はちょっと違うかもしれねぇが、その表現しか解んねぇからそれでいいと思う。
なんつーかなぁ…。子供っぽく見えたりするとこが可愛い。後輩にデレデレになる顔は無防備で、抱きしめたくなる。


「(触りたい。抱きつきたい。頭撫でてほしい…)」


人目なんて気にしてないから、今すぐ虎徹先輩に抱きつきたかった。
もっと言うなら接吻したい。もっともっと言うならヤりたい。まぁ…俺が下なんだけどな…。下の虎徹先輩は可愛いと思うんだけど、ダメかな。今度頼んでみっか。


「顔が近ぇんだよバカ犬…」
「虎徹先輩!周りには誰もいませんよ!」
「は?いや、まぁ……そうですけど?」
「接吻したいっす!」


犬ってもんは欲望に忠実ですから。
素直に自分の気持ちを伝えると、一度修理していた虫カゴから手を離し、またすぐに戻す。
横顔も格好いいですけど、こっちを向いてほしいっす!
身体を乗り出して近づくと避けられた。ちょっと落ち込む…。


「はいはい。ちょっとは我慢しましょうねぇ」
「無理ですよ!隣に虎徹先輩がいるんすから」
「忍者の三禁は?」
「俺と付き合う前まで知らない女性とヤりまくってた人に言われたくないっす」
「……」


さあ、観念して接吻して下さい!
してくれないなら俺からしますね!あわよくば、俺が上になってやる…。犬はいつだって上を目指してんすよ!
虫カゴを先輩から取りあげ、横に置いてから身体を近づけ、若干のしかかる。
逃げないように片方の腕を掴んで接吻をしようとしたら、反対の手のひらを俺に見せてきた。邪魔で接吻できねぇ…。


「竹谷、マテ」
「えッ!?」


ニッコリ。背景にそんな文字が見えて、身体がピタリと止まった。
虎徹先輩は忍術学園一の獣使いだ。でも俺は人間だぞ!……あ、今さっき自分のこと犬って言ったわ…。
先輩に「マテ」と言われたら、身体は素直にマテをしている。うー、こんな至近距離にいるのに接吻できねぇなんて…!
葛藤をしていると虎徹先輩はニヤニヤ笑いながら、再度「マテ」と言ってきた。
マジで…やばい…。この焦らされる感じが……こう、クる。俺ってマゾだったのか?いやいや、それはない。


「虎徹先輩ぃ…!」
「腕離せ」
「それは…できないっす」
「俺の命令が聞けないの?俺、素直でいい子な竹谷くんが好きだよ?」
「うぅ…卑怯っすよそれ…」
「後輩って立ち場を利用して下心ありありで甘えてくるお前に言われたくねぇなぁ」
「だって虎徹先輩のことを好いてますから!」
「じゃあ、マテぐらいできるよな?」
「………っす…」


今の俺を例えるならあれだ。
ご主人様に構ってもらえなくて、尻尾と耳を下げた犬。
諦めて虎徹先輩の上から降りようとしたら、胸倉を乱暴に掴まれ、引っ張られた。


「―――」
「よくできました」


唇に何か当たったと思ったら、今さっきより近くなった虎徹先輩が目を細めて笑っていた。
掴んでいた胸倉は既に離しており、自分から後ずさって虫カゴに手を伸ばす。
え、今……せっ…!?


「卑怯っすよぉおおおおお!」
「だってお前下剋上しようとすんじゃん。でもこれでどっちが上か解っただろ?」
「うわああああもう格好よすぎて俺いつか死にそう!マジで好きっす、愛してます虎徹先輩!」
「そうかい。俺は簡単に言ってやんねぇけどな」


今度は意地悪そうに笑う虎徹先輩。
何しても格好いい俺の恋人に、いつか殺されるんじゃないかと覚悟を決めた日だった。





ツイッターで素敵なネタを頂いたのでアップしてみました。
あまみやさん、ありがとうございました!


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