夢/とある子供の我儘 | ナノ

兵助との会話の段


「おばちゃん、A定食を一つお願いします」
「おや、千秋くん。今日の夕食は早いじゃないか」
「休息も鍛錬に入りますから!」
「あはは、千秋くんはいつも頑張ってるね。よし、ご飯大盛りにしておくからね」
「ありがとうございます!」
「はい、どうぞ!おのこしは許しまへんで!」
「勿論ですっ」
「―――おばちゃん、A定食を1つ!」
「あら久々知くん。食堂で走ったらダメだよ」
「すみません、早く豆腐が食べたくて…」
「あー、でもごめんね久々知くん。豆腐が入ったA定食は千秋くんで終わったのよ…」
「えッ!?」
「すまんな」
「そ、そんなぁ…!頑張って課題終わらせたのに…ッ!」
「そんなにガッカリしなくても、明日になればまたあるから。ね?」
「明日ではなく、今食べたいんです…!」
「……久々知、そんなに豆腐が食べたいのか?」
「はい、勿論!」
「では私のをやろう。その代わり、B定食の山菜をくれるか?」
「喜んで交換させて頂きます!」
「よかったわね、久々知くん。はい、じゃあB定食」
「ありがとうございます!」
「ついでに一緒に食事をするか?」
「あ、はい。…って、あの…六年の方ですよね?」
「ああ。この春編入してきた小鳥遊千秋だ。女らしい名前なのは見ての通り私が女みたいだからつけられた」
「え?あ、…そう言われてみれば女性らしいですね…。山菜をどうぞ」
「おお、ありがとう。ところで君は久々知なんだ?」
「自己紹介が遅れました。私は五年い組の久々知兵助です。豆腐、ありがとうございます」
「兵助だな、覚えたぞ!五年ということは三郎とも知り合いか?」
「はい、三郎と雷蔵と八左ヱ門とは仲良くしてます。あと同じ組の勘右衛門も」
「五年は仲がいいと聞いている」
「仲がいいか私には解りませんが、先輩方みたいに殴り合いの喧嘩は滅多にないですね」
「ハハッ、留三郎と文次郎は仲が悪いからな!ところで兵助」
「はい?」
「先ほどから幸せそうに豆腐を食べているが、そんなに豆腐が好きなのか?」
「はいッ!豆腐は身体にもいい食べ物ですし、水分も一緒に摂取できるので便利かと」
「私も豆腐は好きだぞ。シンプルでありながらも素材の本質がギュッとつまっているからな」
「そ、そうですよね!?豆腐には色々な種類があるから何日食べても飽きがこないのも魅力の一つなんです!」
「大豆は素晴らしいと思う。大豆からできた豆腐と、醤油の合わせ技は最高だ。そこに白米があれば私はもっと幸せだがな」
「解ります、解ります!私は豆腐だけでも十分食べることができるので、休みの日はよく町に出向いて豆腐の食べ歩きやら、研究をしているのですが、それがまた楽しくて…」
「豆腐にそこまで情熱をかけてる人間など初めてみた。しかし食べ歩きは楽しそうだな。是非今度私も連れて行ってくれないか?」
「はい、任せて下さい!」



「千秋せんぱーい、お土産の豆腐です!」
「おお、兵助。これはまた綺麗な白だな」
「町で評判の絹越し豆腐です。美しすぎるこの形に箸をいれるのは勿体ないっ…」
「よく崩さず持って帰れたな。よし、部屋で食すか!」
「はい!」
「ということだ、伊作。ちょっと兵助と豆腐食べてくるから先に食堂に行っててくれ」
「うん…。え、いつの間に久々知と仲良くなったの?」
「千秋先輩とは豆腐仲間です!」
「と、豆腐仲間?なにそれ…」
「今度実家へ帰ったら有名な豆腐の店を探して買って来てきてやろう。何丁欲しい?」
「何丁でも食べれます!」
「そうか!なら持てるだけ持って帰ってやる」
「ありがとうございます、千秋先輩!」
「……何だか寂しい…。留さーん、千秋が後輩と仲良くしてて僕寂しいよー」
「と、止まれ伊作!お前が走ったら十中八九よくないことが―――」
「あっ…!」
「あああああ!」


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