プロローグ 「よし、準備はいいな」 顔が綺麗に整っている一人の青年が振り返って、仲間に問いながらキュッと手袋をはめなおし、愛銃を懐と腰に忍ばせた。 「もっちろーん!いつでも殺れるよー!」 一番派手な恰好と髪型をしている青年が笑顔を見せて答え、青年の前を歩き出し、振り返るとピアスがキラリと光った。 「ふふ、ちょっとだけ怖いけど、それ以上にワクワクしてるや」 「大丈夫、逃げ道は用意しているし、何よりこの私が作戦を練ったんだ。失敗はない」 ニコニコと柔らかい笑みを浮かべている青年が胸を抑えて一人に続いて歩き出す。 その横に同じ顔をした青年が並んで、不敵な笑みを浮かべる。 「おほー、さっすが天才様。頼りになるぜ!」 「勿論、皆もね!」 最後に一番大きな青年と、一番小さな少女が並んで歩き出す。 まるでこれから遊びに行くように無邪気に笑っていた。 「そうか…」 最初の青年もフッと笑ってから後を追い、暗かった場所から太陽が照らす場所へと姿を現す。 どこかの建物から顔を覗かせる六人は黒いスーツに身を包んでいた。 彼らの足元では知らない男たち―――マフィアが抗戦している最中で、銃弾や悲鳴や怒号が飛び交っている。 「うっわー、激しい争いだねぇ…。ねぇ三郎、俺らが荒らさなくても終わりそうじゃない?」 「だからこそ私たちが荒らすんだ」 「漁夫の利だね。あ、八左ヱ門と千梅、意味解る?」 「バカにしないで雷蔵!ハチはともかく私は解るよ!」 「俺だって………いや、解りません、すみません」 「どちらにせよ、俺たちの目的のために死んでもらおう」 最初の青年の言葉に、残り五人の目つきが変わった。 全員がギラギラと炎を燃やし、それぞれの戦闘態勢へとうつる。 「そして、奴らに死を」 「俺らには自由を!さって、行きますか!兵助はここから援護お願いね!」 「雷蔵、私たちは今回裏方だ。しっかりやるぞ」 「うん。三郎と一緒ならどんなことだってできるよ!」 「千梅ー、どっちがたくさん倒せるか競争しようぜ!」 「よっしゃあ!負けてたまるかー!」 勢いより建物から飛び降り、数分もかからない間に鎮圧することに成功。 今日、この日よりこの街に新たなマフィアが誕生する。 名もない彼らの物語りが始まった。 ( TOPへ △ | ▽ ) |