夢/頂き物 | ナノ

知らない感情


!注意!
マフィア設定で、後輩夢になります。先にこちらお読みください。





思わず名前の両手首を掴んで、身動きが取れないよう壁に縫い付けた。

名前は手首と背中を打ち付けた痛みに顔を歪めていたが、すぐピントが合わなくなり、どんな表情をしているのかわからなくなった。


「んっ…ぷ、は…っ!なに、なんですか、七松さ…!!…っ!」


始めから容赦なく搦め捕るような口づけをする。体を捩って必死に拘束から抜け出そうとする名前は、いつもより可愛く感じた。

治ったばかりだからなのか、名前の体は全然力が入っていない。






普段の様子からは想像がつかない、折れそうに思うほど細い名前の手首。
白いけど傷だらけの手。




この手が、だんだん黒くなっていって。冷たくなって。全然動かなくなった。




思い返すと唐突に恐怖感に襲われた。

あの時は、全く感じもしなかったのに。















この手が











この顔が














この体が












もう動かなくなるんじゃないかって。







二度とその瞳が開かないんじゃないかって。










伊作に預けるまでの間、自分の腕のなかにいた名前は、本当に血が通っているのかと疑いたくなるほどに冷たかった。

揺すってはいけないと思いつつ、生きてることを確かめたくて、何度か軽く頬を叩いたりもした。
けど、本当に全く反応が返ってこなくて。


「ふぁっ…や、やだ…っ!ななま、んっ…!っ痛ぅ…!」


下唇を甘噛みし、軽く食む。名前の拒絶の言葉にちょっとむっとし、唇を思いっきり噛み切ってやった。
名前の顔が痛みに歪んだのが目の端に映る。

もっと口づけを深くするために、名前の左手は離してやる。
代わりに空いた私の右手を名前の腰に回し、ぐっと引き寄せ、体を密着させる。まだ拘束しているもう片方の手は、指を絡ませて壁に押し付けた。
























恋人のようだな、と思った。



言葉にはしなかった。
してはいけないと思った。




















血の味が口の中に広がる。名前の口の中は私の舌が溶けそうなほど熱くて、すごく気持ち良い。

呼吸をしようと逃げる名前の口を一旦離してやり、息を吸うため反射的に大きく口を開いた瞬間まるごとかぶりつき、より深く繋がる。

呼吸を求めて、名前は空いてる左手で私の胸をドンドン叩く。
その力すらも弱くて。



「名前…名前、……名前…っ!」







どうしようもない感情が胸を襲う。
この感情は、なんだ?









どうしようもなく、欲しい。

欲しくて欲しくてたまらない。









護らなければ、壊れてしまう。



なんて弱い、邪魔にしかならない存在。









なのに、なんでこんなに


こいつを欲してしまうんだ。















すっかり大人しくなった名前を見下ろす。


溶けるんじゃないかと思うくらい目に涙を溜めていた。息は絶え絶えになり、全身は真っ赤だった。




唇を名前から離すと、間につぅっと透明な糸が垂れる。

それを名残惜しそうに眺め、舌で追おうとする名前を見て、小平太が我慢なんて出来るはずがなかった。






「…そんなに欲しいなら、くれてやる。…名前」


「……んっ、…ふぁ…」




「その代わり、全部受け止めろよ?」





















この感情は、一体なんていうのなんだろうか



まあそんなものはどうだっていい







さあ





さっさと溺れてしまおうか





シロさんから頂きました。
なっっんて素敵な…!しかも、マフィアパロをまだアップしていないにも関わらず、書いて下さるなんて!
恋だということに気づく七松さんに胸がきゅんきゅんしましたv
凄く一途な七松さん…欲しいと思ってから即行動もたまらんです!
こんな、愛され具合、私大好きです(*´ω`*)本当に素敵です、ごちそうさまでした!


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