先生と生徒 恋をして。恋をして恋をして、僕らは大人になっていく 「名前ー」 聞き覚えのある声がして振り向けば後ろに立っていたのは暴君基七松小平太くんで、きらりと獲物を見つけたような眼差しで私をみていて少しびっくりした 「名前、何してるんだ?」 「中在家くんから借りた本を読んでいますよ」 本を見せて笑えば、“そうか!”と七松くんも笑ってどかっと隣に座った 「え、えと?」 「本当は名前と遊びたかったんだが本を読んでるなら仕方ない。私が隣にいることにする!」 「え?」 「つまり名前の側にいたいんだ」 きりりとした瞳で見つめられてそんな事を言われたらもう腰砕けそうな勢いで私は目の前がくらくらした ((暴君王子が大人しい)) 明日雨、いや槍が降るんじゃないかと思いながら本のページをめくると七松くんがそわそわしながら手を出したり引いたり、何だろうと七松くんを見れば慌てて手を隠してそっぽを向いた。 そう言えばいつも七松くんは出会い頭に抱きついてきたり、2人っきりの時も引っ付いてきて抱き締められるんだけれど、それもない。 何でこんなことをしてるのか疑問に思って聞いてみれば“名前は本に集中してくれ!”なんて暴君らしからぬ発言が聞こえて耳を疑った 「小平太」 びくうっっ小平太の肩が揺れる。 私が七松くんを名前で呼ぶときは決まって用事があるときだ。 それは大概お説教なんだから、びっくりして縮こまるのも分かるけれど…しゅんとする仕草はまるで犬そのものでちょっとかわいくて頭を撫でた 「名前?」 「別に怒らないよ。ただ小平太の様子が変だったから何かなって思ってさっ」 頭を撫でながら話を聞けば、“名前先生?”なんてめずらしく先生なんて言ってきた。さっきまで萎れていた尻尾も揺れている 「ちょーじが、あんまり抱きついてばかりいるといつか嫌がられるぞって言われたから距離をはかっていたんだ」 出てきたのはなんてもかわいらしい暴君らしからぬ理由で思わず笑ってしまった 「小平太、そんなこと気にしなくていいんですよ?もっと甘えてきて大丈夫です」 “小平太のこと好きですよ”なんて笑って言えば、ぱっと笑顔になった小平太に押し倒されて後頭部を床に打ちつけた。 痛みで目をつぶれば今度は、耳に吐息がかかり、何かなと思っていたら、次の瞬間右耳に痛みが走った 「先生は私のものだぞ!」 起き上がった小平太は舌なめずりしながらにやりと笑った。 私は何かいらないスイッチを押してしまったらしい。嬉しそうな小平太の表情とは反面、私の顔は青くなっていった end ▼ サイト一周年記念で、未栄さんから頂きました。 ( TOPへ △ | × ) |