小話 ※会話文のみ。 女主の過去のお話なので、オリジナル要素が強くなっています。お気を付け下さい。 「え、日本での生活ですか?」 「そ。ずっと気になってたんだよ」 「虎徹さんに言うほど大した生活はしていませんよ?」 「いーからいーから。バニーちゃんも気になるよな?」 「特に」 「おまっ…。一言は冷たすぎるだろ。名前ちゃんも泣いちゃうぞー?」 「名前さんが話したくなさそうなので聞きたくありません」 「え。そうなの?」 「…先ほども言ったように、お話するほど大した生活はしていませんので」 「そこをなんとか!」 「しつこいですよ、おじさん。本当に嫌われて知りませんからね」 「えー!」 「聞いても楽しくありませんが、それでもよかったらお話致しますが…?」 「おう、じゃあ頼んだ」 「はあ…」 「私はこの街に来るまでずっと本家にある離れの蔵で一人で生活していました」 「どうしよう、バニーちゃん。思ったより重い」 「だからお節介は止めたほうがいいって言ったじゃないですか」 「うん、でもここまできたら聞くしかねぇよな…」 「僕もう知りませんからね」 「離れってことは名前ちゃんの家ってお金持ち?」 「詳しくは解りませんが、代々神子をやってきて、山を3つほど所持しているそうです」 「そういうのを世間ではお金持ちって言うんだよ。それで名前ちゃんも神子なわけ?」 「…私は本家に生まれた者なのに、神子としての能力を持ってないんです」 「あー、ちょい待ち。神子ってNEXT?」 「いえ、NEXTとは違った、苗字家だけが使う能力です。私も詳しくは教えて頂いていませんので詳しくは解りませんが、能力は様々で、その能力を使って家を保っているんです」 「へー…」 「おじさん、ちゃんと理解してます?」 「してるっての!」 「その能力がなかった私は蔵で生活するよう言われました。因みに神子の力ではなくNEXTの能力を授かったんです。でも苗字家ではNEXTは忌み嫌われるものだったので、隠すのに丁度よかったと思います」 「か、隠すって…。名前ちゃんを!?」 「はい。幼いころから蔵で生活していました。外にも出ていなかったので体力もなく、よく風邪をひいてました」 「いや、笑うところじゃないでしょ…」 「軟禁ですね」 「そんなことする家があるなんてな…」 「神子の力もなく、NEXTの能力を持つんですから当たり前です。私はお家の為に生まれたのに、何もすることができないのですから、生かして頂いているだけで十分感謝すべきです」 「いやいや!それは違うでしょ!」 「幼いころからそう躾られたんでしょうね…」 「それにしたってよ…」 「ですが、NEXT能力を持ったヒーロー達が活躍するようになり、私の存在意味を見つけたんです!特に師匠の活躍は世間と交流を絶っている苗字家にまで届き、同じ能力を持つ師匠に感銘を受けたんです!」 「うお、キラキラしてきた!」 「それだけ嬉しいんでしょう」 「それから私は蔵を出て、毎日能力の鍛錬に励みました。やっとお家の為に何かできるのが嬉しいのと、テレビで見た師匠に感動したのです!師匠は颯爽と現れ、あっという間に犯人を捕まえ、その間にも人命救助をしたりと、とにかく格好よかったんです!」 「お、落ちつけ名前ちゃん!」 「それから両親や親族が話し合い、この街に来ることになって、師匠と同じポセイドンラインに入ることができたんです!師匠がいなければ私はただの役立たずだったんです。だからこうして毎日笑ったり、泣いたり、悩んだりすることができるのは師匠のおかげなんです!」 「……嬉しそうですね」 「ネガティブなんだか、そうじゃねぇんだか解んねぇな」 「あ、師匠!」 「やあ、名前君。ワイルド君とバーナビー君と一緒になって何を話してたんだい?」 「少々自分の過去を」 「名前君の過去?それは私も気になるな。どんな生活をしてたんだい?」 「師匠をテレビで見て、感動したんです!皆さん尊敬していますが、やはり師匠が一番です!私も早く師匠に追い付きたいです!」 「ははっ、ありがとう、名前君。でも名前君も段々とヒーローらしくなっているよ。この調子で頑張ろう。そして頑張ろう!」 「はいっ、これからも精進します!」 「なんか、後ろを向いたまま前に進んでるって感じだな。変わった性格だ」 「おじさんに言われる名前さんが可哀想です」 「何で!?俺の性格普通じゃね!?」 「そう思っているのはおじさんだけですよ。では僕はあがります。お疲れさまでした」 「ちょっとバニーちゃん!?」 (2011.0709) ( △ | ▽ ) |