千古不易 手を繋いで街中を歩いていると、突然後ろから声をかけられた。 二人が揃って振り返ると、一人の女性とカメラを持った男性がニコニコとした顔で近づいてくる。 「今お時間宜しいですか?」 「私は別に構わないが、名前君は大丈夫かい?」 「はい、平気です」 「ありがとうございます。少しお話を聞かせて下さい」 「ああ、構わないよ。私に答えれることなら何でも答えよう!」 スカイハイのときと変わらない優しさに、女性はノートを取り出してペンを握る。 女性がキースを見たあと、名前を見下ろすと、視線が丁度ぶつかって、キースの後ろにすっと身を寄せた。 名前の行動に女性は楽しそうに笑って、キースに視線を戻す。 「二人は恋人ですよね?」 「え?」 「っ!?」 「違いましたか?手を握って、とても幸せそうに歩いていたから恋人だと思ったのですが…」 「いや、私達は…。その…」 少し驚くキースと、真っ赤になってキースの手を強く握りしめる名前。 恥ずかしいと思う反面、嬉しいと思ってしまい、さらに羞恥心が名前を襲い、反対の手でキースのシャツを握った。 それを肌で感じたキースが「大丈夫だよ」とでも言うかのように手を握り返して、頭をぽんぽんと撫でてあげる。 「では兄妹ですか?」 「それは違うぞ!」 「ち、違いますっ…!」 次の質問にはキッパリハッキリ答える二人。 言った本人達も驚いていたが、女性と男性も勢いがあった二人に驚いた。 「あ…、すまない。私達は兄妹ではないよ」 「恋人でよかったですか?」 「ああ」 「え、キ、キースさん…?」 真っ赤な顔で戸惑いながら見上げると、キースは人差し指を自分の唇にあて、「しーっ」とウインクをする。 さらに顔が熱くなった名前は何度も上下に首を動かし、そのまま黙って後ろに隠れる。 キースがいるとは言え、全くの赤の他人の前だと緊張してしまう。質問に答えるのをキースに任せ、ただ静かに時間が過ぎるのを待っていた。 「じゃあ最後に二人のツーショットもいいですか?」 「名前君、大丈夫かい?」 「そ、それぐらいなら…」 名前の手を引っ張って、自分の後ろから女性と男性の前へ軽くエスコート。 緊張している名前に何度も「大丈夫」と声をかけ微笑むと、名前も安心するかのようにようやく笑みを浮かべることができた。 その瞬間、パシャッ!という独特の音が二人に耳に届き、男性に顔を向ける。 「今のよかったから撮っちゃった」 「そうね、自然体のほうが素敵だわ。あ、もしよかったらあなた達のこと載せていいですか?」 「載せるって何にだい?」 「本です。こういう雑誌を作ってるんですよ」 「特に問題はないよ」 「私も別に…」 「ご協力ありがとうございました!」 「ありがとうございまーす」 そう言って二人は足取り軽く人混みへと消えて行った。 残されたキースと名前は少々呆気に取られていたが、「じゃあ行こうか」とキースに言われ、再び街中を歩きだした。 (2011.0707) ( △ | ▽ ) |