夢/30万打 | ナノ

ほのぼのお風呂


委員会と自主練を終えてお風呂に向かうと、肩まで湯に浸かっている長次がいた。


「おっ」
「…虎徹」
「珍しいな、長次。一人か?」
「…ああ。小平太も、…文次郎も先にあがった…」
「小平太も文次郎も早いもんなぁ…。あ、隣いい?」
「ああ…。小平太、髪の毛まともに洗わず出た…」
「あっはは!獣は風呂を嫌がるからなぁ。おまけに小平太の髪の毛はボサボサだし、長いし…。あいつ適当すぎんだよな!」
「虎徹は……風呂好きだな…。ちゃんと浸かってる…」
「いや、基本的にはあんま好きじゃない。やっぱ無防備になるし、のぼせるし」
「でも楽しそう、だぞ…?」
「そりゃあお前らと入ると楽しいさ!警戒しなくていいし、遊べるし」
「……湯船で遊ぶのよくない」
「まぁまぁ、そこは置いといて…。長次は風呂好きだよな」
「汗いっぱいかいたから…」
「ちょっと潔癖だよな、長次って」
「汚いと本が汚れる。虎徹もよく手を洗え…」
「そりゃどうもすみません。でも何が楽しくてずっと湯船に浸かってられんのか理解できねぇ…」
「気持ちいい…」
「いや、気持ちいいのは解るけど…」
「あと色々考えてる。今日の授業のこと、反省、復習…。楽しかったこと、怒ったこと、自慢したいこと……。とにかく色々考えてる…」
「ふーん…。長次はほんっとよく考えるよな。鍛錬組って言われるけど賢いよな。まぁ文次郎もだけど…。小平太はバカだ。俺よりバカだ!」
「ならちゃんと勉強しないと…」
「えー…うーん…、解ってんだけどさぁ…。なんかねぇ、こう……やる気が…」
「……」
「睨んでくるなよ…。長次が睨むのマジで怖いんだぞ…」
「…もう……時間がない…。一秒も無駄にしたくないから色々考える」
「んー…。そっかぁ…。そうだなぁ、もう短いもんなぁ…。こうやって安心して風呂入れるのも一年も満たないんだよなぁ」
「虎徹」
「おー?」
「寂しいか?」
「…アハハ!そうだな、やっぱ皆と離れるのはすっげェ寂しいぞ。できればお前らと一緒にずっといたいって思うもんな!無理なのは解ってんだけど」
「……私もだ」
「あらまぁ、あの現実主義な中在家くんがこんなこと言うなんて…。なにかあるのかしら!」
「忍務をするのも、お前たちがいると安心する。……暴れるのは困るが」
「暴れても長次とか文次郎とか留三郎が止めてくれるから俺らは助かる!つーか、途中からお前らだって暴れるだろ!」
「それは忍務だから…。小平太と虎徹は獣みたいに暴れるからダメ」
「ダメって…。あー、でも俺ももうちょっと色々考えて過ごそうかな。一秒も無駄にしたくねぇもんな!」
「きっと…、三日後になったら忘れてる…」
「バカにすんなよな!五日はもたせてやる!」
「ずっと頑張れ」
「おう!」

「ちょっと話戻るけど…。長いこと湯船に浸かっててのぼせねぇの?」
「のぼせない。大丈夫」
「マジかー…。伊作もさ、長湯好きじゃん。まぁあいつはすぐにのぼせあがるんだけど。やっぱ長湯って身体にいいの?」
「解らない。…けど、半身浴はいいと聞いた」
「半身浴ねぇ…。あれ中途半端で嫌いだわ」
「私もあまり…。身体にいいのは解ってるが、肩までしっかり浸かりたい…。熱いの好き」
「熱いのはなぁ……どうせなら水風呂がいいわ。冬は勘弁だけど、今の季節はやっぱ水だな!じめじめして気持ち悪ぃからさっぱりしたい!」
「川遊びしたあとも、ちゃんとお風呂には入ったほうがいい」
「あっちゃー、バレてたのかよ!」
「虎徹は三日に一度、お風呂に入らないからな…」
「そこまでご存じで…。でもなぁ、川に入ったからいいだろ?一応髪も洗ってんだぜ」
「シャンプーを使え」
「嫌だよ面倒くせぇ…。大体長次と仙蔵はシャンプーシャンプーうるせぇんだって。男がそんなもんつけんな!文次郎なんか石鹸だぞ!」
「ごわごわになるから…。あと絡まったら髪を結えないだろう?」
「絡まっても結える!」
「絡まったまま結ってる」
「痛いッ!長次、手刀は痛い!」
「力込めたから痛い」
「容赦ねぇなぁ!」
「……。虎徹は私より弱いから手加減しないといけなかったな…。すまなかった」
「おいコラ長次。喧嘩売ってんのか?」
「本当のことを言ったまでだ」
「んだとォ!?くらえ、俺様必殺!水鉄砲!」
「―――……ッ!」
「あ、すまん。鼻に入ったか?だ、大丈夫長次くん…?」
「…虎徹、明日の朝ご飯を一品分けてくれたら許そう…」
「すんません、中在家さん!そうさせて頂きます!」
「メイン、な?」
「マジっすか…。つーか元はと言えば長次が喧嘩売ってくるからだろぉ!」
「……すまなかった、つい遊び心が…。漬物を分けてやろう」
「やったぁ、俺漬物大好きなんだよね!…ってなるかぁ!」

「ところでどうよ、委員会のほうは?順調?」
「ああ。予算のやりくりはきり丸がよくやってくれてる。怪士丸も必死に頑張ってるし、久作はそんな一年を支えながら、雷蔵から色んな事を学んでいる」
「あーあ、図書委員はバランスいいよなぁ…。きり丸は賢いし器用だし…」
「生物委員会もバランスはいいだろう?」
「そうか?まぁ、人数が多いからどの委員会より楽しいけどな!」
「図書委員だって………」
「えー?そうは見えねぇぞ?なんかいっつも静かなイメージ?」
「そんなことない。委員会が終われば下級生に色々教えてる。雷蔵もそうだ」
「へー…。それは知らなかったなぁ……」
「生物委員会はいつも…うるさい…」
「はっきり言っちゃってくれるね。まぁ元気な子たちが集まってますし、俺も身体動かして遊びたいしね」
「よく泥だらけになってるな」
「一年生の組み手してあげてますから!あいつらどんどん強くなっていくんだぜー。やっぱり成長を見るのって楽しいよな!」
「それは…よく解る…。時々、雷蔵と一緒に、あいつらをどうやって育てていこうか話し合ってる…」
「………なんか家族みたいだな…」
「……」
「あ、喜んでる顔だ。家族かー…家族っていいよな、やっぱり!」
「虎徹の家の話はあまり聞かない。……喋りたくないのか?」
「いや、別に?ただ聞かれないから喋ってないだけ。つーか普通の家だし、自慢することねぇもん」
「…なら、私が聞きたい」
「やだ、照れちゃう」
「やっぱりいい」
「ちょ、ちょっと待って。嘘だから待って待って!俺の話聞いて!」
「…嘘だ…」
「長次の冗談は解りにくいんだよ…。まぁ大したことねぇけど、動物を使った仕事をしてるってぐらいかな?」
「それは皆知ってる。……卒業したら実家を継ぐのか?」
「継がねぇよ。俺は城務めの忍びになるんだからな。んで、日の本一の獣使いになってやる!」
「ポケモンマスターみたいな言い方だな…」
「年齢もそう違わねぇしいいだろ?」
「どうだかな…」
「あ、長次の呆れ笑い、久しぶりに見たわ。何だよ、普通に笑えんじゃん!あー、下級生だった長次を思い出すなぁ…」
「虎徹は変わらずだな。傷が増えた程度だ」
「それは頭のことも言ってんの?ねぇ、俺が下級生のころから変わらないバカだって言いたいの!?」
「深読みしすぎ」
「いたっ。だからっ、手刀は痛いってばー!」

「―――という会話をしていたら、虎徹がのぼせてしまった」
「うー…苦しいよぉ…。いきなり立ち上がったからクラッときたぁー…」
「バカ虎徹…。長湯が苦手なの解ってるんだろ?じゃあさっさとあがりなよ。あ、長次、ありがとね」
「いや、私が付き合わせたから…。ありがとう、虎徹。楽しかった」
「いやいや、俺も楽しかったぜ。今度は縁側に座って、茶飲みながら語ろうぜ」
「そうだな」
「じゃあ僕も一緒にしていいかな?」
「あったり前だろ。留三郎さんも連れてこいよ!」
「ならば小平太も来るだろうな…」
「んでもって、「うるさい!」って文句を言いに、い組さんがやってくるな!」
「…いつもと変わらないな」
「それがいいんだよ、それが!」
「だな…」





黒鋼さんより。
(おふろで2人ほのぼのまったりが語るお話)


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