ある日の休日 !注意! 少し過去に戻ります。 七松家→長男三歳、次男二歳、三男一歳前後のみ。 竹谷家→長男二歳、次男一歳前後のみ。 『うみだー!』 声を揃えて叫ぶのは、我が子たちと、竹谷家の子供たち。 背負っていた小さな鞄を投げ捨て、長男と次男が海へと向かい、私と名前2、竹谷くんのお嫁さんがそれを回収をする。 大好きな海に興奮するのはいいけど、大事な荷物を捨てるのはどうかと思うよ…。 「元気っすねぇ…」 「お宅の息子さんも」 「誰かに似てただの体力バカです」 「同じく」 荷物を拾い上げ、最後尾を歩いていた小平太を振り返ると、目をキラキラさせていた。 隣に立っている竹谷くんも目をキラキラさせ、今すぐにでも海へ走って行きそうにうずうずしている。 末っ子の三男を抱き直して浜辺に降り、空いてる場所を探す。 朝早く来たばかりなので人は少なめで、海に比較的近い場所に荷物を置く。 「小平太、ここらへんでいいかな?」 「おう!どこでもいいぞ!」 小平太も荷物を置いて、背負っていたパラソルをバッと開き、浜辺に突き刺す。 シートを敷いて、飛ばないよう荷物を四方に置いていると「名前1!」と名前を呼ばれた。 「泳いできていいか!?」 「しっかり準備運動してからね」 「解った!」 そのやりとりをしている横で、竹谷くんも同じことを名前2に言っていて、名前2は呆れながら「行って来い」と答えてあげていた。 子供も旦那も似たもの同士だね…。 「よし竹谷!遠泳しよう!」 「いや、まずは魚採りましょうよ!」 「どっちも止めなさい」 「バカ竹谷。子供たちちゃんと見てろ!」 今日は前々から一緒に遊ぼうという約束をしていた竹谷家と海へ遊びに来た。 前日には名前2と水着を買いに行き、旦那や子供たちだけじゃなく、私たちも遊ぶ気満々。 だって、まだ若いもんね。子供三人いるけど若いもんね! でもまずは、日頃仕事で疲れて、ストレスが溜まっているであろう(いや、きっと溜まってないけど)旦那二人を遊びに行かせてあげる。 二人は服をその場で脱ぎ出し、軽くストレッチをしてから海へと飛び込む。 子供たちも服の下に水着をはいていたので、脱いだ服が浜辺に散乱していた。 竹谷家の長男に至っては、家からずっと水着のままだ。 「ちょっと服回収してくる。この子見ててくれる?」 「はーい。うちの子の分もお願いします」 「同じようなことばっかするよね…」 服を回収して、たたんでシートの上に放置。 どうせ汚すんだからいいでしょう。例え汚れてても気にしない性格だし。 末っ子の三男と、竹谷家の末っ子次男はシート近くの砂を懸命に掘り始め、時々次男くんを叩いて遊ぶ。 七松家の子供は竹谷家の子供を舎弟にしているらしく、まるで小平太と竹谷くんの関係を見ているようだった。 竹谷くんのところも強いので負けじと叩き返したりして、それなりに海を満喫している。 「そう言えばどんな水着買ったの?」 「あ、これっす」 「可愛いね。でもちょっと派手じゃない?」 「あの人むっつりだから、口では「何でも」って言うんすけど、こういう派手でエロいのが好きなんですよ」 「あー…竹谷くんらしい」 「名前1先輩はあれですか?」 「うん、可愛い水着は若いうちにしか着れないからね」 勿論、私たちも家で水着を着て海にきた。だってゆっくり着替える時間なんてないだろうし? いくらパラソルの下にいるとは言え、お昼が近づくにつれ熱くなってきた。 三男に帽子をかぶせ、自分たちも水着になって涼んでいると、長男と次男を背負った小平太が戻ってきた。 「名前1、泳ぐか!?」 「ううん、まだいいよ。その二匹の体力がもっとなくなってから泳ぐ」 「解った!よしお前ら、今度はもっと遠くまで行くぞ!鍛錬だ鍛錬!」 「たんれんっ、たんれん!」 「とーちゃん、がんばれー!」 もー…ほんと楽しそうに笑うなぁこの親子は。こっちまで楽しくなるよ。 ………いや、ちょっと待て。まだ三歳と二歳なのに何故もう素潜りができる!小平太が教えたの?教えたとしても凄いよ…。 「因みにうちの子も素潜りしてます」 「竹谷くんが一生懸命教えてるね」 「勉強は教えないくせに…」 「同じく。…って、なんか小平太と竹谷くん、喧嘩してない?」 「なんか言い合ってますね…。どうしたんだろ?」 「あ、遠泳始めた。こりゃ当分戻らないな。ちょっと飲み物買ってきていい?」 「了解っす。子供たちは見てるんで、私の分もお願いしていいっすか?」 「勿論」 遊んで、水分補給して、遊んで…を繰り返していると、持ってきた飲み物は既になくなりかけており、荷物から財布を取り出して自販機へと向かう。 名前2の分と、三男と次男くんの分も買っていこう。お金たくさん持ってきてよかった…。 「お姉さん」 「ん?」 自販機にお金をいれてどれを飲もうか悩んでいると、後ろから声をかけられた。 後ろには同じぐらいの男性が二人。 あ、悩みすぎて後ろに人が並んでいたのか…。 「ごめんなさい。ちょっと悩むので先に買って下さい」 「いやいや、そうじゃなくてさ。お姉さん誰と来てんの?」 「……はい?」 「友達と?」 「俺ら二人で来たんだけど、暇でさー。よかったら一緒に泳がない?」 これがナンパだと言うことに気づくのに少し時間がかかり、理解したと同時にちょっと緊張する。 は、初めての経験だ…!というか私をナンパする人なんていたんだ…! 「あ、えーっと…。ちょっと旦那と子供たちと来てて…」 「いや、嘘でしょ。子供産んだ身体に見えねぇし!」 「ねー、すっげぇ綺麗な身体してるなーって思って声かけたんだよ」 「いや!ほんとに家族で来ててですね…」 「まぁ人妻に手を出すってのも燃えるけどな!」 「確かに確かに!禁断っぽくて興奮するわー」 「しかも新妻?最高じゃん!つーわけでさ、ちょっと俺たちと遊んでよ!」 私の言葉なんて全く聞かず、腕を掴まれて無理やり連れて行かれそうになる。 踏みとどまって、「止めて下さい」と言っても彼らは笑うだけで離してくれない。 ここから小平太たちがいるところまではちょっと遠いので、助けも求められない。 掴まれた場所が手首なら、捻りあげることができるんだけど、掴まれた場所は二の腕…。 「いーじゃん、ちょっとぐらい。そんな水着着てるってことは誰かの誘い待ってたんだろ?」 「しかもわざわざこんな人の少ない自販機選ぶってことは、お姉さんも期待してたんじゃん!」 「じゃあもういいわ、そこの更衣室行こうぜ。利用も少ないしさ!」 「うっわ、お前もうそっちのことしか考えてねぇの?」 「だってお姉さん身体エロいもーん!」 そりゃあ子供三人も産めば胸も大きくなりますよ。小平太に揉んでもらってるしね! 毎日せわしなく動いてれば身体も細くなりますよ。小平太に嫌われたくないからケアにも気遣ってますしね! 君たちのためじゃなく、小平太のために頑張ってるのに…!助けて小平太! 「小平太ッ」 「呼んだ?」 「「ッ!?」」 踏ん張って抵抗しながら小平太の名前を呼んでみた。 遠泳に出たからきっと意味ないと思ったのに、後ろから小平太の声。 小平太の声に私だけじゃなく、男性二人も驚いて手を離してくれた。 いきなり離されて後ろに倒れそうになるのを、支えてくれる。 「小平太…」 「お前ら、人の嫁になに手出してんだ?」 ギュッと肩に力を入れ、引き寄せられる。 私を見ることなく、二人を睨みつけながら殺気を放つ。 まさか本当にいるとは思っていなかったのか…、大きい小平太に驚いているのか…。はたまた殺気を感じとったのか。 二人は言葉を失い、さっさと逃げて行った。懸命な判断だ。 「ご、ごめん小平太。助かったよ」 「……」 その顔で私を見てくるのは止めて頂きたい…。私は悪くない。多分…。 目を泳がせて気まずい空気に耐えていると、両肩に手を添えられ、優しくキスをされる。 塩の味がしてしょっぱかったけど、すぐに離れた。 「名前1は私の嫁だろ?何でちゃんと言わなかったんだ?」 「言ったよ。言ったけど信じてくれなかった…」 「……そういう水着着るからいけないんだ」 「だって小平太好きでしょ」 「うん。でも嫌だ」 「じゃあ上着ようか?」 「それはもっと嫌だ!私が見れない!」 「……」 「だから、私の目の届く範囲にいてくれ。いなくなるなら一言声をかけてくれ」 「…うん、ごめんね。ありがとう、小平太」 ギュッと抱きついてお礼を言うと、抱き締め返してくれた。 小平太はほんと頼りになるなー!それに愛されてるなー! 「名前1、名前1」 「なに?」 「今日の夜、水着プレイしよう!」 「…はい?」 「なんかエロい!あと、お仕置きも含めて!」 そんな無邪気な顔で言われまして…! でもその無邪気な笑顔の後ろには、黒い何かが見えたので、逆らうことができず、「は、はい…」と震える声が頷きました。 これで四男ができたなんて恥ずかしくて言えるか…! ▼ 雅さん、しぃかさん、匿名さん、りちえるさん、匿名さんより。 小平太が嫉妬するお話。(海デート含みます) おまけ! A,何故言い争ってたんですか? 「竹谷が自分の嫁の水着のほうがエロいとか言いだしたから」 「だってエロいじゃないっすか!紐ですよ紐!」 「でも身体は名前1のほうがエロい」 「身体なら名前2のほうがエロい!そりゃあ胸は先輩のほうが大きいっすけど、なんかエロいオーラ出てるっす!」 「名前1のほうがエロい。それに水着なんてどっちみち脱ぐしな!」 「それは……まぁそうっすね。紐解きてぇなー…」 「煩悩の塊っすね」 「ほんとに」 ( TOPへ △ | × ) |