夢/30万打 | ナノ

誰のもの?


!注意!
獣主→竹谷のBL要素含みます。





伊作が作りだした薬は、夢のような品物でした。


「け、食満先輩っ…!今日の放課後って空いてますか…!?」
「……いや、普通に委員会があるんだけど…」
「じゃあ、そのあとでもいいんですけど!」
「い、いや……あの、…虎徹、見てねぇで助けろよ!」
「……」


伊作が作った薬は男なら…いや、女でも欲しがる惚れ薬。
しかも見事に完成したらしく、効果は目の前の竹谷を見た通りだ。
動物を使って試そうかとしたものを、竹谷が飲み物と間違えて飲んでしまい、丁度近くにいた留三郎を見たという…。
い、いやね…。薬の力ってのは解ってんのよ。でもね、


「食満先輩……」
「竹谷、頼むからそんな目で俺を見てくんな…」


可愛がってる後輩が、友人に甘える姿を見るとイラッとすんだろ!
大体、ああやって甘えるのって俺だけだったのに…。
解ってる、惚れ薬のせいだって解ってる…!解ってるけど、竹谷が甘えていいのは俺だけだって嫉妬しちまう…。


「竹谷、委員会があんだろ!」
「あー、そうっすね。でも食満先輩から離れたくねぇし…」


留三郎に目を向けたまま、返事をする竹谷にまたイラッとする!
いつもだったらちゃんと俺の目を見て返事するのに…!
あーもう、ダメだ。こいつを留三郎から引き離さねぇと!
竹谷の首根っこを掴んで、無理やり留三郎から引き離そうとすると名前を呼ばれて、ドキッとした。
いつもとは違う声色。もしかしたら初めて聞いたかもしれねぇ声色だった。


「虎徹先輩、俺生物委員を辞めさせて頂きます」
「はぁ!?そ、そんなの許すわけねぇだろ!?」
「ですが、生物委員にはたくさんいるではありませんか。それに比べ用具委員会は上級生が少なくて…」
「んなこと言ったら生物委員もお前がいなくなったら辛いだろうが!」
「そうですが…。俺、食満先輩のお手伝いがしたいんです」


そう言ってまた留三郎を見つめた。
留三郎は関わりたくないと言った様子で目を反らし、小道具の修理に戻る。


「お前さ、マジで留三郎が好きなのか…?」
「はい!」
「(即答かよ…!)」
「薬のせいとか関係なく、俺は本気で食満先輩のことが好きなんです。愛してます!」
「勘弁してくれよ…」
「何か仰いましたか、食満先輩!」
「虎徹ー…!」


留三郎を見る目は、完全に「恋する目」だ。
でも、「薬のせいじゃない」とは言ってるが、確実に薬のせいだ。
そう強く思わないと殴りそうになっちまう…。


「お前が留三郎のことを好きなのはよく解った」
「違います。愛してるんです!」
「(マジで殴ってやろうか…!)だが、そういった私情を持ちこむのは忍者として失格だろ。留三郎だってそういう理由でお前を引き抜いたりしねぇと思うぞ」


ぐあああああ!自分で言ってかなり腹立った!
でも、留三郎を使わないとこのバカは止まんねぇからな…。
すると竹谷は留三郎をジッと見つめ、「ダメですか?」と首を傾げる。
留三郎も俺に賛同してくれて、何度も何度も頷く。


「そうですか…」


しゅん…と落ち込む竹谷はやっぱり可愛い。
と同時に、こんな顔をさせる留三郎に腹を立ててしまった…。自分がふっといて勝手な奴だよな…。


「つーわけだから委員会に行くぞ!」
「解りました…。ですが食満先輩、俺いつか絶対に用具委員会にいきますからね!」
「来なくていいっつーの…」
「ああ、溜息を吐く食満先輩も格好いいっす!」
「いーから行け!」
「…やっぱり俺、食満先輩から離れたくねぇっす…」
「だあああああもう!」


何だってこいつは好きになった一直線なんだよバカッ!
自分より少しだけ身長の高い竹谷の胸倉を掴んで、近くにあった木に押し付けて、接吻してやる。
目の前の竹谷は最初、ポカンとした表情を浮かべていたが、接吻されていることに気づき、抵抗しだす。
それを力で抑えつけ、舌を入れると肩が飛び跳ねる。


「んーっ!」


最初は悲鳴をあげていた竹谷だったが、何度も舌を絡ませ続け、呼吸を奪っていくと、ゆっくりと地面に座りこんでいった。
伊達に色んな女の子と付き合ってきてねぇんだよ!
地面に座りこんだのを確認して胸倉も唇も解放して、上から見下ろす。
荒い呼吸を何度かしたあと、目じりに涙を溜めた竹谷が俺を睨んできた。
顔が赤くなってるしで全然怖くねぇ。つーか、格下に睨まれて怖いなんて思ったことねぇよ。


「っにすんすか…!食満先輩の前で!」
「の割りには気持ち良さそうだなぁ?」
「んなことっ…!」
「テメェが誰を好きかなんて関係ねぇんだよ。俺から逃げれると思うなよ」


親指で唇についた竹谷の唾液を拭ったあと、委員会へと向かう。
犬は犬らしく、ご主人様を見てろっつーんだ!


「食満せんぱーい!虎徹先輩に犯されたので癒してください!」
「おい来んな!虎徹ー、お前最後まで回収しろよ!」
「竹谷ぁあああ!」


とりあえず、惚れ薬の効き目がきれるまで首輪と縄をつけとかねぇとな。





風車さんより。
惚れ薬のせいで食満に惚れる竹谷にイライラする獣主のお話。


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