誰のもの? !注意! 獣主→竹谷のBL要素含みます。 伊作が作りだした薬は、夢のような品物でした。 「け、食満先輩っ…!今日の放課後って空いてますか…!?」 「……いや、普通に委員会があるんだけど…」 「じゃあ、そのあとでもいいんですけど!」 「い、いや……あの、…虎徹、見てねぇで助けろよ!」 「……」 伊作が作った薬は男なら…いや、女でも欲しがる惚れ薬。 しかも見事に完成したらしく、効果は目の前の竹谷を見た通りだ。 動物を使って試そうかとしたものを、竹谷が飲み物と間違えて飲んでしまい、丁度近くにいた留三郎を見たという…。 い、いやね…。薬の力ってのは解ってんのよ。でもね、 「食満先輩……」 「竹谷、頼むからそんな目で俺を見てくんな…」 可愛がってる後輩が、友人に甘える姿を見るとイラッとすんだろ! 大体、ああやって甘えるのって俺だけだったのに…。 解ってる、惚れ薬のせいだって解ってる…!解ってるけど、竹谷が甘えていいのは俺だけだって嫉妬しちまう…。 「竹谷、委員会があんだろ!」 「あー、そうっすね。でも食満先輩から離れたくねぇし…」 留三郎に目を向けたまま、返事をする竹谷にまたイラッとする! いつもだったらちゃんと俺の目を見て返事するのに…! あーもう、ダメだ。こいつを留三郎から引き離さねぇと! 竹谷の首根っこを掴んで、無理やり留三郎から引き離そうとすると名前を呼ばれて、ドキッとした。 いつもとは違う声色。もしかしたら初めて聞いたかもしれねぇ声色だった。 「虎徹先輩、俺生物委員を辞めさせて頂きます」 「はぁ!?そ、そんなの許すわけねぇだろ!?」 「ですが、生物委員にはたくさんいるではありませんか。それに比べ用具委員会は上級生が少なくて…」 「んなこと言ったら生物委員もお前がいなくなったら辛いだろうが!」 「そうですが…。俺、食満先輩のお手伝いがしたいんです」 そう言ってまた留三郎を見つめた。 留三郎は関わりたくないと言った様子で目を反らし、小道具の修理に戻る。 「お前さ、マジで留三郎が好きなのか…?」 「はい!」 「(即答かよ…!)」 「薬のせいとか関係なく、俺は本気で食満先輩のことが好きなんです。愛してます!」 「勘弁してくれよ…」 「何か仰いましたか、食満先輩!」 「虎徹ー…!」 留三郎を見る目は、完全に「恋する目」だ。 でも、「薬のせいじゃない」とは言ってるが、確実に薬のせいだ。 そう強く思わないと殴りそうになっちまう…。 「お前が留三郎のことを好きなのはよく解った」 「違います。愛してるんです!」 「(マジで殴ってやろうか…!)だが、そういった私情を持ちこむのは忍者として失格だろ。留三郎だってそういう理由でお前を引き抜いたりしねぇと思うぞ」 ぐあああああ!自分で言ってかなり腹立った! でも、留三郎を使わないとこのバカは止まんねぇからな…。 すると竹谷は留三郎をジッと見つめ、「ダメですか?」と首を傾げる。 留三郎も俺に賛同してくれて、何度も何度も頷く。 「そうですか…」 しゅん…と落ち込む竹谷はやっぱり可愛い。 と同時に、こんな顔をさせる留三郎に腹を立ててしまった…。自分がふっといて勝手な奴だよな…。 「つーわけだから委員会に行くぞ!」 「解りました…。ですが食満先輩、俺いつか絶対に用具委員会にいきますからね!」 「来なくていいっつーの…」 「ああ、溜息を吐く食満先輩も格好いいっす!」 「いーから行け!」 「…やっぱり俺、食満先輩から離れたくねぇっす…」 「だあああああもう!」 何だってこいつは好きになった一直線なんだよバカッ! 自分より少しだけ身長の高い竹谷の胸倉を掴んで、近くにあった木に押し付けて、接吻してやる。 目の前の竹谷は最初、ポカンとした表情を浮かべていたが、接吻されていることに気づき、抵抗しだす。 それを力で抑えつけ、舌を入れると肩が飛び跳ねる。 「んーっ!」 最初は悲鳴をあげていた竹谷だったが、何度も舌を絡ませ続け、呼吸を奪っていくと、ゆっくりと地面に座りこんでいった。 伊達に色んな女の子と付き合ってきてねぇんだよ! 地面に座りこんだのを確認して胸倉も唇も解放して、上から見下ろす。 荒い呼吸を何度かしたあと、目じりに涙を溜めた竹谷が俺を睨んできた。 顔が赤くなってるしで全然怖くねぇ。つーか、格下に睨まれて怖いなんて思ったことねぇよ。 「っにすんすか…!食満先輩の前で!」 「の割りには気持ち良さそうだなぁ?」 「んなことっ…!」 「テメェが誰を好きかなんて関係ねぇんだよ。俺から逃げれると思うなよ」 親指で唇についた竹谷の唾液を拭ったあと、委員会へと向かう。 犬は犬らしく、ご主人様を見てろっつーんだ! 「食満せんぱーい!虎徹先輩に犯されたので癒してください!」 「おい来んな!虎徹ー、お前最後まで回収しろよ!」 「竹谷ぁあああ!」 とりあえず、惚れ薬の効き目がきれるまで首輪と縄をつけとかねぇとな。 ▼ 風車さんより。 惚れ薬のせいで食満に惚れる竹谷にイライラする獣主のお話。 ( TOPへ △ | ▽ ) |