夢/30万打 | ナノ

食満家の休日


「もうっ、留三郎いい加減にしろよ!」


本日は日曜日。
留三郎も子供たちもお休みな日曜日は、戦争が起こる。
まず、娘の争奪戦が始まる。
大抵次男が漁夫の利で勝つんだけど、今日は留三郎が勝った。
朝から娘にデレデレしている留三郎を、誰が武闘派だと思うだろうか…。それぐらいだらしない。
留三郎が娘を勝ちとれば、不機嫌になるのは長男。長男も妹を溺愛しているから仕方ないんだけど、ちょっとシスコンが強い。
次男も楽しくなさそうな顔するものの、長男ほどではない。
可哀想だったので、長男を膝の上に乗せて頭を撫でてあげると、顔を真っ赤にさせながら「な、なんだよー!」とちょっとだけ抵抗する。
逃げる様子はないので、そのまま可愛がってると、次男もやってきた。
男の子は母親を鬱陶しがるとか、恥ずかしくて甘えてこないとか言うけど、我が家の息子たちはそんなことない。
可愛くて私もだらしない顔をしていると、娘を抱っこした留三郎がやってきた。
何も言うことなく私に娘を抱っこさせ、後ろに腰を下ろして抱き締める。で、私を抱き締めたままテレビを見ていると、長男がそんなことを言って立ち上がった。


「どうしたの、いきなり」
「父ちゃんはずるい!妹だけじゃなく母ちゃんも取るんだから!」
「取るも何も、名前1は俺のだろ?」
「今の母ちゃんはオレのだ!父ちゃんは向こう行ってろよ!」
「我儘言ってんじゃねぇぞ。名前1も娘も俺のだ!」
「ちょっと留三郎…。それはちょっと言いすぎだよ…」


長男は留三郎を小さくしたみたいに、そっくりだ。性格は違うのかと思えば、性格も一緒だ。
負けず嫌いで、好戦的。そしてちょっとおバカで、泣き虫なところも…。
留三郎の言葉に長男は目を吊り上げ、拳を握りしめてプルプル震えている。
留三郎はちょっと大人気ないよね。あんなこと言うけど、息子も可愛くて仕方ないくせに。


「母ちゃんっ、母ちゃんはオレのこと好きだよな!?」
「うん、私も好きだよ。ほら、泣かないで」
「オレ、泣いてねぇし!オレ強いからぜってぇ泣かねぇし!」


目じりに涙を溜めているのにそんなことを言うものだから、思わずフッと笑ってしまい、長男は涙をこぼして泣きだした。


「オレ泣いてねぇもん!母ちゃんのバカッ」
「はいはい、泣いてないね。強い子だもんね」


グスングスンと鼻を鳴らしながらお腹に抱きついてきたので、娘を留三郎に預けて背中を擦ってあげる。
それを今まで黙って見ていた次男もそっ…と身体を預けて、私に甘えてくる。
次男は長男ほど好戦的でも、負けず嫌いでもないが、実は甘えたがりなのを知っている。感情表現を出すのが苦手なんだよね…。
だから次男も抱き締めてあげると、嬉しそうな照れ臭そうな笑顔を見せてくれた。


「名前1ー、あんまり甘やかすなよー」
「甘やかしてないよ?」
「いーや、甘やかしてる!男はもっと厳しいほうがいいんだ!」
「えー…。でも私だって息子を可愛がりたいんだよ?」
「……じゃあ俺を甘やかしたらいいだろ!」
「留三郎はダメ!母ちゃんが甘やかしていいのはオレと弟と妹だけ!」
「だからっ、名前1は俺のでもあるって言ってんだろ!」
「父ちゃんはゼイタクしすぎなんだよ!母ちゃんからはなれろよ!」
「絶対ぇ離れねぇし!名前1は俺のことが大好きで大好きで仕方ねぇから嬉しいよな!?」
「母ちゃんはオレと弟と妹のほうが好きだもん!だから、父ちゃんより嬉しいよね!?」
「名前1!」
「母ちゃん!」


とても嬉しい言い争いに、何も答えることなく笑顔のままでその日は過ごしました。
もー…すっごい幸せ!





アスカさんより。
食満家で嫁めぐりのお話。

短かったのでおまけ。





お昼ご飯。

「ほら、口が汚れてるよ」
「とって!」
「もー…。しょうがないねぇ」
「名前1、甘やかしすぎだぞ!自分でとらせろ!」
「だってどこについてるかわかんねぇもーん」
「この野郎…!」
「母さん、ぼくもついてる?」
「うん、ここついてるよ」
「と、とって…?」
「はいはい」
「名前1!」
「ちょっとぐらいいいじゃない。ほら、娘にご飯食べさせてあげないの?」
「パァパ!」
「お前らあとから覚えとけよ…!」



お昼寝。

「母ちゃんの横はオレとこいつな!で、オレの横が妹で、そのとなりが父ちゃんな!」
「名前1から一番遠いじゃねぇか!」
「父さん。ボク、母さんの横で寝たい」
「ぐっ…!」
「それに、父ちゃんは毎日母ちゃんとねてんだろ?ちょっとはガマンしろー!」
「まぁ…、子供の言うことも一理あるしね?お昼寝ぐらいいいよね、留三郎」
「小首傾げんなよちきしょー…。可愛いだろ!」
「母ちゃんだっこー!」
「母さんだっこ…!」
「二人とも可愛い!」
「でもやっぱムカつく!」



お風呂。

「どうせなら全員で一緒に入ればいいだろ!」
「そこまで広くないし、しょうがないよ。母親は息子と、父親は娘と親睦を深めようと思います」
「名前1、お前ノリノリだろ」
「そりゃあ…。留三郎といちゃいちゃしたいとは思うけど、甘えてくる息子たちは可愛いもん…」
「俺はお前が可愛いと思う!」
「ありがとう、留三郎。留三郎は格好いいよ!」
「っじゃあ!」
「でも今日は息子二人と入る」
「名前1ー!」
「(ちょっと泣きそうな留三郎可愛いっ)」


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