夢/嘘 | ナノ


あなたのお母さんじゃない


●七松家のバヤイ●

「よく聞いて。私、実はあなたたちのお母さんじゃないの」
「え!?じゃ、……じゃあ父ちゃんか!?」
「そうなっちゃったか…」
「母ちゃんは父ちゃんだったのか!?オレらずっと母ちゃんだと思ってたのに…。今日から父ちゃんって呼んだほうがいいか!?」
「あのね、小太郎。そう言う意味じゃないの」
「父ちゃんが母ちゃんで、母ちゃんが父ちゃんで…。えーっと……父ちゃん?」
「うん、ごめんね紛らわしい嘘ついて。私はお母さんだよ」
「父ちゃんは母ちゃんであってるのか?」
「んん?私まで混乱してきた…。今まで通り、私がお母さんです。父ちゃんは小平太」
「で、でも違うんだろ!?」
「……素直な子たちに嘘ついた罰だね…。ごめん、小太郎」



●竹谷家のバヤイ●

「実はねー、私あなたたちのお母さんじゃないの」
「母ちゃん違うの!?え…、じゃあ父ちゃんなの!?」
「そっちかー…。やっぱり私たちの子、アホだ」
「オレ、ずっと母ちゃんだと思ってたよ…。ごめん、母ちゃん!いや、父ちゃん!」

「ただいまー」

「父ちゃ…母ちゃん帰ってきた!」
「あ、ちょっと待て!竹谷に言ったらややこしくなる!」
「お帰り、母ちゃん!」
「ただいまー。って母ちゃん?俺、母ちゃんじゃなくて父ちゃんだぞ?」
「違うの知ってんだぞ!父ちゃんは実は母ちゃんで、母ちゃんは実は父ちゃんなんだ!」
「は?」
「お帰り、竹谷」
「おい、どう言う意味だ?」
「かくかくしかじか」
「お前……男だったのか!?」
「お前もかい。違うよ、嘘だって。今日はエイプリルフール」
「ウソ…?」
「っ知ってたし!ははっ、お前ダセェな、騙されてやんの!」
「だまされたー!ウソかよー!」
「竹谷も騙されてたでしょ」
「だ、騙されてねぇし。俺は知ってたし!」
「はいはい」






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