実はこの子、あなたの子供じゃないの ●七松家のバヤイ● 「実はこの子たち、小平太の子供じゃないの…」 「……」 「(あれ?)小平太、私の話聞いてる?」 「大丈夫、それはない!」 「え?」 「見ろ!私にそっくりではないか!」 「………うん、そっくりすぎて時々寂しい。私似の子がいてもいいじゃん…」 「それに、名前に変な男がついたら解るもん!」 「解るの?何で?」 「匂いで!」 「…そ、っか…」 「あと、名前に近づく男は全部睨んでる!」 「…(それで高校のとき誰も近寄ってきてくれなかったのかっ…!何年来の謎がようやく解けた!)」 ●久々知家のバヤイ● 「実はこの子たち、兵助の子供じゃないの」 「……どういうことだ」 「(あ、ちょっと目が細くなった)実はね、この子たち。……(やばい、無茶苦茶怒ってる…。これ以上怒らせると戻すのに時間がかかるかも…)」 「名前。黙ってないでちゃんと話せ」 「(ここで冗談だって言ったらもっと怒るかも…。うーん………そうだ!)この子たち、実は豆腐小僧なの」 「ッ!」(ガタッ) 「(や、やっぱりダメ!?)」 「名前…、……よくやった…!」 「自分で言っといてなんだけど、よくやったじゃないよ」 「お前ならやってくれると思っていた…!妊娠中に豆腐を食わせた甲斐があったな!」 「ダメだこの旦那」 ●食満家のバヤイ● 「あのね、留三郎。この子たち、実はあなたの子供じゃないの」 「……」 「(ふふっ、驚いてる驚いてる)」 「名前…」 「なぁに?」 「それでも俺は子供たちを愛す!」 「(目が本気だ…。もう、そうじゃなくて嫉妬してほしかったのになぁ…。いや、普通は怒る場所でしょ)」 「で、相手の男は誰だ?」 「………あの、留三郎。肩を掴む手が痛いんだけど…」 「どいつだ?」 「(や、やんちゃ時代の留三郎が戻ってきた…!)ご、ごめん嘘!この子たちは正真正銘、あなたと私の子供ですよ!」 「―――なんてなっ。ハハッ、俺も冗談だ」 「え…?」 「でもな、そんな嘘つくな。嘘でも傷ついたぞ」 「…ごめんね、留三郎」 「おう。俺も悪かったな」 「留三郎は悪くないよ!私があんな嘘ついたから…」 「俺が便乗しなかったらよかった話だろ。ほら、そんな顔すんなって」 「もうっ…。留三郎優しすぎだよー…」 「惚れた?」 「惚れ直した」 ●善法寺家のバヤイ● 「ごめんね、伊作。この子、伊作の子供じゃないの」 「え!?ど、どういうこと!?」 「そういうこと」 「嘘だよね!?そ、そんなことないよね!?」 「ほんと」 「ぼ、僕は信じないからね!この子は僕と名前の愛の結晶だって信じてる!」 「そういう言い方がちょっと女々しくていや…」 「あ、そうだ!DNA検査しようよッ。疑ってるわけじゃないけど、そんなこと言われたら…!そんなこと言われたら怖いじゃん…っ」 「もー……。すぐ泣かないの」 「だっでぇ…。名前がぞんなごと言うから…!僕、確かに不運だけど、名前のこと愛してるし、頑張って…っ…!」 「(なんか弱い者虐めしてる気分…)はぁ…。嘘だよ、嘘」 「……嘘…?」 「この子は伊作と私の子供」 「ほんと!?え、…じゃあ僕のこと愛してる!?」 「どうしてそうなる」 「愛してる!?」 「……別に」 「否定しないってことは愛してるんだね!よかったーっ、名前と僕の子じゃなかったら相手の男をどうやろうかと考えてたんだ!うん、アレ出さなくてよかった!」 「…おい、アレってなんだ」 「ふふっ、内緒だよ!」 「(ちょっと選択肢間違ったら怖いことになってた…)」 ●立花家のバヤイ● 「仙蔵さん、この子たち仙蔵さん子じゃないの」 「誰だ。相手の名前を言え」 「か、間髪入れずに…」 「社会的に抹殺どころですまさん。名前を言え」 「…う、そです…」 「はっ、そんなの知ってる。お前は本当に嘘が下手くそだな」 「と言う割には結構本気の目をしてたよ…?」 「ああ、一瞬本気にしたからな」 「そ、そうでしたか…。(たちの悪い冗談は止めよう…)」 ( TOPへ △ | ▽ ) |