もぐらコンビと不運? 「喜八郎!やたらめったら穴を掘るなとなんべん言わせば解るんだ!」 「はぁ、それはすみません」 「謝るんなら穴から出てからにしろ!」 「じゃあ謝りません」 「謝れよこの野郎!本当に怒るぞ!」 「そう言いながら食満先輩は怒りませんよね。お優しい先輩ですねぇ」 「お前俺のことバカにしてんだろ。今回は本気だ。今すぐ出てこねぇと掘って出てきた砂を全部戻す」 「それは困ります。僕が埋もれてしまうじゃないですか」 「じゃあ出てこい。出てから穴埋めるの手伝え!」 「まぁ穴と死ねるなら本望ですが」 「テメェ!」 「―――おっ。なんか出た」 「あ…。七松先輩、何されてるんですか?」 「塹壕堀りだ!お前は…えっと、……四年だな!」 「はい、綾部です。先輩、僕今穴掘ってる途中なんです。邪魔しないで下さい」 「それはすまん!だが、お前も塹壕の邪魔だ!」 「おやおや、それは困りましたねぇ」 「困ってんのは俺だよ!小平太ッ、お前も無闇に塹壕掘るんじゃねぇよ!一昨日も言っただろ!」 「おー、留三郎。そんなとこで何してんだ?」 「それはこっちの台詞だバカ野郎!さっさと地中から地上にあがってこい!喜八郎ッ、お前もだ」 「…」 「露骨に嫌そうな顔すんな!俺、お前の先輩だかんな!」 「お前らが穴を掘るのが好きなのは解る。解るが止めろ。無駄な仕事増えるし、保健委員がケガするし、俺だって面倒なんだ」 「保健委員の皆さん、全員落ちたんですか?」 「ああ、全員落ちた」 「ホールインワーン」 「黙れ!」 「留三郎!」 「お、おう…。どうした小平太」 「訂正してくれ。私は穴を掘るのが好きなんじゃない。塹壕を掘るのが好きなんだ!」 「そこは細かいんだな!どうでもいいわ!」 「おいーす、お前ら何してんの?」 「お、男名前」 「動物先輩」 「男名前か…」 「……。なんとなく理由が解った。俺は帰る!」 「まぁ待て男名前!私と一緒に怒られてくれんか?」 「断る!それじゃなくても俺はいっつも留三郎に怒られてんだ!」 「ならいいではないかっ。なぁ、綾部?」 「動物せんぱーい、私と一緒に怒られて下さいよー」 「くっ…、こんなときに頼りやがって…。しょうがねぇ、付き合ってやんよ!どうせ暇だしな」 「普段は確かにいい奴だ。一緒にいて楽しい…。が、お前の服をすぐに洗わないとこが関心せん!あれほどまとめて出すなと何度言えば解る!」 「だ、だってまとめて洗ったほうが楽「あ?」っすみません!今度からは毎日洗います!」 「前もそう言ったよなぁ?なんで学習しねぇの?お前、実は犬よりバカなんじゃねぇのか?はっ、忍犬使いが聞いて呆れるぜ!お前のせいでアホはって言われてんの知ってたか?」 「おっ俺だけじゃないもん…。ぐすん、留三郎だってバカじゃん…!俺ばっか責めんなよぉ…」 「は?カンニング用の紙を窓の外の枝に引っかけて見ようとしたけど、視力が足らなくて見えなかったのはどこのどいつだ?」 「……ぼ、僕です…!いけると思ったんだ…。だけど思ったより遠かった!あと、字が小さすぎた!」 「それとお前、風呂場の桶壊しただろ。厠の扉と、…あぁ、障子も破ってたな。それ、誰が直したと思ってんだ?まさか、「妖精さんです」なんてトチ狂ったこと言わねぇよなぁ?」 「ひっく…っ、留さん…俺もう……!本当にごめんなさい…ッ」 「暇なんだろ?」 「うわああん!暇じゃないですぅ!」 「さて、留三郎は男名前に任せて塹壕堀りに戻るか!綾部、あまり留三郎を怒らせるなよ。面倒だからな!」 「ですね、動物先輩のおかげでよぉく解りました」 「それと、男名前に謝っておけよ。きっと明日も凹んだままだ」 「意外と繊細な方なんですねぇ。解りました。穴一つプレゼントします」 「なはは!男名前が落ちる前に伊作っくんが落ちるな!」 「ええ。ですが、食満先輩も巻き込み、動物先輩も巻き込むでしょう?結果オーライです」 「アハハハハ!さすが作法委員!」 ( TOPへ △ | × ) |