おまけの段 「―――ようやく終わったのか」 「悪い、起こしたか?」 「いや、気配を感じたので起きただけだ」 「そうか」 「…。何だ文次郎、いやに機嫌いいな」 「まぁな。団蔵と左吉の二人が前に比べて早く帳簿をつけることができたんだ。だが、団蔵は字が汚い。それは今度教えてやるとして、なかなか飲みこみが早いと思わねぇか?左吉は器用だしな。ああ、そう言えば神埼も早くなったな。田村は俺や武蔵を助けてくれるほど早くなった。今度別のものをやらせるか…。武蔵は相変わらずよく動いてくれてな。俺が言わんでも後輩の面倒や、記帳、全部やってくれるから集中できるので助かる。あれはできた後輩だ。あいつがいれば来年の会計委員も安泰だな。勿論武蔵だけじゃなく、他の奴らも頼りになるがな。いや…、団蔵と左吉はダメだな。この間教えた作法をすっかり忘れてやがった…。前に武蔵が注意してたのにだぞ?思わず怒鳴ってしまったが、……泣いてないだろうか…。きっと武蔵が声をかけてやってると思うが……。仕方ない、今度勉強を見てやるか…。いや、相手は一年生だ。団子をやったほうがいいか?なあ仙蔵、どう思う?」 「知らんわ。お前の親バカっぷりには付き合いきれん。武蔵にでも言ってろ」 「バ、バカタレ!こんなこと後輩に言えるわけねぇだろ!」 「言ったところで武蔵はお前に幻滅しないから安心しろ」 「そう…だな…。よし、少し寝て朝練にでかけるぞ!」 「寝ろ、鍛錬バカ」 ( TOPへ △ | ▽ ) |