夢/とある女房の至福 | ナノ

おまけの段


「おっそいなぁ…。武蔵と三郎はまだ帰んないの?」
「勘ちゃん、何をそんなにイライラしてるのだ?高野豆腐食うか?」
「だって俺めちゃくちゃお腹空いたんだもん!八左ヱ門との忍務は楽しいけど、体力すっげぇ使うから!」
「なにそれ。俺が悪いのか?」
「悪くないよ。まぁでも、ちょっとは考えて突撃しろって言いたいよねー」
「勘右衛門の作戦通りに動いたじゃねぇか!つか、俺一人に特攻させて自分は後方支援とかズリィ!」
「だってはっちゃん死なないじゃん」
「死ぬよ!俺だって人間だからな!」
「まぁまぁ、八左ヱ門。でも本当に二人とも遅いね…。あの二人が組んだら大抵一番に終わるのに……」
「何かあったか?」
「どうだろうね。三郎と武蔵が危ないなんて想像できないけど…」
「はっちゃんに彼女ができるぐらい想像できないねー」
「もう何なの勘右衛門!そんなに俺のこと嫌いなの!?らいぞーっ!」
「よしよし」

「いい加減にしろよ、三郎。何度言わせれば解る」
「武蔵こそ何度言わせば解る」

「あ、帰ってきた」
「ちょっと二人ともー!遅いよ、遅すぎ!」
「待って勘右衛門。また喧嘩してる。三郎、武蔵」
「雷蔵、聞いてくれ。武蔵は本当に石頭だ」
「聞いてくれ雷蔵。三郎は本当に愚か者だ」
「……それよりケガはない?随分遅かったようだけど…」
「忍務は問題なく終わった。しかし三郎がおかしなことを言うんだ」
「それは武蔵だ。私のほうが多く殺ったと何度も言わせるな」
「なんだ。三郎は数も数えられんのか。私のほうがたくさん倒した。見てたなら解るはずだ」
「見てたからこそ解った。なんなら屋敷内を確認するか?」
「抜かせ。それをされて困るのは貴様だぞ」
「ハッ!真面目な武蔵様も冗談を言うのだな。私のほうが多く殺した」
「いいや、私だ。八左ヱ門は私の味方になってくれるだろう?」
「ならば雷蔵は私の味方になってくれるよな?」
「い、いや…。俺は見てねぇからなんとも…」
「僕も…。というか、僕たちを巻き込まないでほしいな…」
「何を言う雷蔵!私と雷蔵は一心同体じゃないか!私をバカにされるということは、雷蔵もバカにされているんだぞ!?」
「なにそれ怖い」
「八左ヱ門、頼む。私を信じてくれ。三郎だけには負けたくないッ…」
「そ、そりゃあ信じてやりてけぇけどよー…。へ、兵助、勘右衛門!」

… … … …

「いないね…」
「いねぇな…」
「代わりに紙があるね。えーっと…『我慢の限界なので帰ります。兵助、勘右衛門』……逃げたな!」
「さすが優秀ない組様!気配を消して逃げるのもお手の物ってか!?」
「八左ヱ門!」
「雷蔵!」
「「あーもう面倒くせぇ!」」





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