夢/とある後輩の災難 | ナノ

タソガレ忍軍 その三


!注意!
コネタなので会話文です。





●宴会後 組頭さんと●

「千梅ちゃんって女の子らしいところあったんだね。ご飯美味しかったよ」
「………」
「なにその怪訝そうな顔」
「組頭さんに普通に褒められると変な感じですね…」
「私だって人を褒めるよ。部下を褒めない上司は絶対に嫌われるし、何よりついてきてくれない。私一人じゃこの城を守ることはできないから、褒めるところは褒めるよ」
「凄く真面目なことを言ってるところ申し訳ないんですけど、その座り方で言われても説得力にかけます」
「そう?それより千梅ちゃん」
「ちゃんづけ止めて貰えませんか?」
「ちょっと隣座ってよ、千梅ちゃん」
「話聞いてますか?」
「あ、これ命令ね」
「(クソ野郎)」
「口が悪いよね千梅ちゃんって。ほら、隣座って」
「何故心が読めるのですか。どっこいしょっと…」
「西条のとこの人間は皆解りやすいよ。千梅ちゃんは特に子供っぽいしねぇ…。それより色気のない声出さないでくれる?」
「可愛げのない娘だと言ってましたよね?なに期待してるんですか?」
「はぁ…ほんと可愛げのない子だね。しかもあぐらだし…」
「組頭さんのほうが女性らしいですね、座り方」
「個性だよ、個性。はい」
「………お酒嫌いだって言ってませんでした?」
「そんなの嘘に決まってるでしょ。西条と飲むのしんどいもん。ってなわけで、お酌して」
「……命令「だよ」……私あんまり得意じゃないんですよね…」
「へぇ、忍術学園にいたとき潜入とかでしなかったの?」
「女装するのは大体綺麗な顔をした男の友人でしたから」
「千梅ちゃんガサツだもんね」
「うるせぇな」
「え、なに?なんか言った?また稽古つけてほしい?今度は悲鳴もあげれないようにしてあげようか?」
「組頭さん、どうぞ。私の愛情と一緒に注ぎました」
「ほんと可愛くない子だねぇ。あ、千梅ちゃんも飲む?」
「結構です」
「あれ、弱いの?実は可愛い子なの?もしかしてギャップ萌え狙ってるの?ちょっと笑えるね」
「……。では折角なので頂きます。お強い組頭さんに注いで頂けるととても嬉しいのですが、構いませんか?」
「うん、いいよ。はい」
「丁寧に注いでくださいよ…。頂きます」
「いい飲みっぷりだね。でもこれ強いよ。二日酔いになっても明日の演習手加減しないけど大丈夫かい?」
「お気遣いありがとうございます。はい、組頭さんもどうぞ」
「…もしかして勝負したいの?うーん、勝負となれば負けられないなぁ」
「まさか、私のような小娘が組頭さんに勝てるわけないじゃないですか。ただお酒を美味しく頂きたいのです。もう一杯頂けますか?」
「……ザル?」
「いえ、一番弱いですよ」

少しして。

「………千梅ちゃん……ザルでしょ…」
「ですから何度も言いますように、うちの中で一番弱いです」
「…化け物のあいつらと比べるものじゃないよ。ちょっと気分悪いから先に部屋に戻るね…」
「送って差し上げましょうか?」
「憎たらしい顔で笑うね。じゃあ送ってもらおうか。どうなってもいいならね」
「下心あるおっさんは煙たがられますよ。いや、気持ち悪い?」
「まさか、冗談だよ。うちの者たちと平気で下ネタを言う子にそそられやしないし、何より身体がねぇ……」
「私よりお酒が弱いお方、もう一杯頂きますか?あ、お酒を見るだけで辛そうですね、大丈夫ですか?」
「明日覚えてろよクソガキ」
「おやすみなさいませ」



●夜中 モブ三人衆と山本さんと●

「さ、明日も頑張るぞー!日の出とともに起きなくていいから楽ちんだ!」
「うちは規則正しいからね」
「……五条さん、人の部屋になに忍びこんでるんですか…」
「一緒に寝るって言っただろ?」
「私は同意しておりません。そして天井にいるのは…えっと、反屋さんと椎良さんですね…」
「バレた!」
「よく解ったな。貧乳なのに」
「いちいちうっせぇなぁ!こんな残念な胸を見てもしょうがないだろ!部屋に戻ってくださいよ!私は疲れたから寝たいのです!」
「私も疲れたから寝ようか。左と右、どっちがいい?」
「マイペースか!一緒に寝ません!」
「じゃあ川の字になって寝ようぜ!」
「反屋さんは人の話聞いてください!」
「待て反屋」
「椎良さんっ!」
「組頭パペットがあるから川の字ではない」
「ああああもう!何だこの三人組!超うぜぇ!初日なのにこんな突っ込みさせないで下さいよ!山本さぁあああん!」
「「「え?」」」

「吾妻くん、どうかしたかい?」

「見ろ、これが紳士だ!戸を開けず様子を聞いてくれる山本さんまじ紳士!開けてもらって構いませんよ!」
「では失礼―――…椎良、反屋、五条…お前ら何をしている」
「「「……」」」
「夜遅くに女性の部屋に忍びこむものではない!さっさと長屋に戻れ!」
「ちぇー!せっかくバレずに天井に忍べたって言うのに…。おやすみなさい、山本さん!」
「反屋の声がでかいからだぞ。おやすみなさい、山本さん」
「気持ちよく寝れると思ったのに……。また明日ね、千梅。おやすみなさい、山本さん」
「はぁ……」
「すまないな吾妻くん。もう大丈夫だと思うからゆっくり休んでくれ」
「いえ、大丈夫です。すみません、夜遅いのに呼んでしまって…」
「構わないよ、まだ仕事をしていたからね」
「夜中なのにですか!?」
「組頭がしない仕事をね」
「……それが山本さんの仕事なんですね」
「そう」
「でも無理したらダメですよ?お子さんがいるなら尚更です。倒れたらきっと悲しみます。それじゃなくても危険なお仕事されてるんですから……」
「…吾妻くん。そうだね、疲れたらゆっくり休むことにするよ。だから悲しそうな顔をしないでおくれ」
「私……あまり両親とは会話しませんが、やっぱり倒れると不安ですし、怖いです。私にできることなら何でもお手伝いするので仰って下さいね!」
「ああ、そうさせて貰うよ。ははっ、まるで娘みたいだな」
「山本さんがお父さんなら私は嬉しいです!こんな優しいお父さん自慢したいです!」
「私もだよ。さあもうおやすみ。また何かあったら遠慮なく呼んでくれ」
「はいっ。おやすみなさい、山本さん!」
「おやすみ」



●翌日 高坂さんと●

「タソガレ忍軍の演習も厳しいですね…」
「そうは言いながらちゃんとついてこれてるじゃないか」
「気合いで頑張ってます。ついていけなかったら組頭さんに笑われるのが目に見えて解りますしね」
「ああ。吾妻……その、怒るなよ?」
「え?はぁ…、何でしょう」
「お前女のくせに凄いな」
「……」
「すまん」
「いえ。別に怒って黙ったわけじゃないです。高坂さんに褒められると思ってなかったのでビックリしてるんです」
「なんだそりゃ」
「いや、褒めそうなイメージがなかったので」
「酷いイメージだな」
「笑うとイケメンっすね、高坂さん」
「……」
「おー、照れた!高坂さんって結構可愛らしい人なんですね」
「殴るぞ」
「殴ったあとに言わないでください!やっぱり怖い人だ!」
「やっぱりって何だ!」
「私たちが来たときすっごい殺気飛ばしてたじゃないですか!」
「あれはお前たちが飛ばしてきたからだろ!あと、お前の隣にいた男」
「七松先輩?七松先輩がどうかしましたか?」
「特にあいつが殺気を飛ばしてきたから警戒してたんだ」
「何で?」
「お前が攻撃されたからじゃないのか」
「まさか。ただ好戦的な先輩なんですよ」
「………ん?…いや、ちょっと待て」
「え?」
「自分で言っておいてあれだが、もしかしてお前たち………そういう、関係、なの、か?」
「……」
「おい黙るな!あと赤くなるな!聞いたこっちまで恥ずかしくなる!」
「こ、高坂さんは本当に照れ屋さんですね!さ、もう休憩は終えて演習に戻りましょうか!」
「あっ、ああ!」



●翌日 尊奈門くんと●

「諸泉さん」
「何だよ。もう洗濯したから来なくていいぞ」
「洗濯は毎日するものです」
「ぐっ…!で、何だよ…」
「この日報の書き方を教えてほしいのですが、今お時間よかったですか?」
「え?私が?」
「山本さんは忙しいですし、高坂さんに行ったら「尊奈門に聞いてくれ」と言われたので」
「ふーん…。なら仕方ない、特別に教えてやるからしっかり聞けよ」
「はい」

「細かいことを書くんですねぇ…」
「サボってないか確認するためだからな。昇給とかの査定対象になってるし」
「きっちりしてますね。ありがとうございます、諸泉先輩」
「っせんぱい!?」
「あ…。つい癖で。すみません、不快でしたか?」
「い、いや…。別に…!お前が呼びたいなら特別呼んでもいいぞ…」
「はぁ…じゃあそう呼ばせてもらいますね。私のこともお好きにどうぞ」
「…………吾妻……千梅…?」
「呼びやすいほうで」
「じゃあ……千梅「私は名字で呼ばれるほうに慣れてますが」……吾妻…」
「…何で不機嫌そうな顔なんですか?そんなに私の名前呼ぶの嫌なら、前にみたいに「お前」とかで構いませんよ。そっちでも慣れてますので」
「別に!書いたならさっさと山本さんに提出してこい!」
「解りました。―――あ、諸泉先輩」
「っんだ!?」
「んだ?」
「何だ!」
「今日の夕食は私が担当みたいなんです。お礼に少し多めについでおきますね。ありがとうございます」
「………ああ…」

「尊奈門の奴は青春してるねぇ…。まぁそういう機会がなかったからしょうがないと言えばしょうがないけど」
「組頭、眺めてる場合ではありませんよ。これ、しっかり目を通してください」
「山本……今日はいつになく厳しいね…。いつもならお前がしてくれるのに」
「吾妻くんに身体は大事にするよう言われましたから、少し仕事を軽減しようかと思いまして…」
「なら私も頭が痛いんだけど」
「組頭のは自業自得です。はい、宜しくお願いします」
「んー……まいったね。あの子が来てからまだ二日なのにすっかり馴染んだうえに、色々してくれてる…」

「んぎゃ!ご、ご、五条さん!また腰に手を回して!そういうのはもっとぼんきゅぼんの美人さんにしてください!」
「この凹凸がないの初めてだから、ついつい。小さいってのもいい」
「ムカつくわー!」
「いいか吾妻、そういうときはガッとして、グッとして、バーッ!だ!」
「だからっ、七松先輩を思わせるような発言は止めて下さい!それから椎良さん、パペット講座はいいって言ってるじゃないですか!」
「組頭パペット、吾妻も欲しいだろ?いいから黙って聞けよ」
「お前ら今さっきから何してるんだ…。吾妻、早く夕食準備に行け」
「高坂さん助けてー!五条さんが離してくれない!」
「高坂さん、千梅柔らかくて気持ちいいですよ。抱っこしてみますか?」
「はぁ!?せ、せん!しないから近づくな」
「ぐえぇ…抱っこしたまま歩かないでください…。胃が圧迫されて気持ち悪ぃ…!っあ、諸泉先輩!先輩助けて!」
「何してるんですか!お前も早く夕食作りに行けよ!いや、その前に山本さんに提出してこいよ!」
「それができないから困ってるんじゃないですかっ。先輩、助けて!」
「お前たち……遊んでないで仕事に戻れ!」

「まぁ…これはこれで楽しいからいっか。千梅ちゃんもなかなか面白い子だし、明日は戦場に連れて行ってみるか。んっふっふー…使える子だったらずっと契約するのもいいかもねぇ。西条が許さないだろうけど、嫌がらせも込めてやってやろーっと」

「もうやだうちに帰りたい!」


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