男のロマン !注意! これから起きることは、絶対にありえない設定だ。 何故男風呂の横に女風呂があるとか、何故女なのに男湯を覗くのか…。などなど。 とにかくおかしい話になるが、そういうのはまるっとまとめて捨ててくれ。いいか、考えるんじゃない、感じるんだ! 以上、注意説明は五年ろ組、竹谷八左ヱ門でしたー。 「竹谷ー、今日こそ女風呂覗くぞ!」 「さすが七松先輩っす!お供するっす!」 勉強も、実習も、委員会も終わらせた俺は疲れを癒すために風呂場にやって来た。 だけど既に先客がいて、俺を見るなりそんなことを言った。 勿論、女風呂を覗くなんてしちゃダメだ。でも、隣にあるんなら覗くってのが男のロマンだろ?くノ一教室の奴らは怖いけど、見たいものは見たい! 俺と七松先輩の二人しかいないため、止める人もおらず、女風呂と男風呂を分ける板壁に走り寄る。 「バレにくいとこに穴開けろ!」 「了解!」 バレない場所、尚且つ女体を見れる場所! 七松先輩と一緒に探していると立花先輩と潮江先輩が入ってきて、俺と七松先輩を見て溜息を吐いた。ああ、いつものことだからな! 「お前らなぁ…。いい加減にしろよ…」 「別に覗かんでも色街に行けばいくらでも見れるだろ」 「立花先輩、童貞十四年の俺を舐めないで下さいね」 「それはすまんかった。小平太は千梅がいるだろう」 「あいつ貧乳だからなー」 「それもすまんかった。というか向こうに多分千梅いるぞ」 「え、いるの?」 「えー、マジっすか?向こうにいるの吾妻なんすか?あんな貧乳見たくねぇっすわ」 いや、ほんと。女体は見たいが貧乳には興味ねぇ!女性は胸だ。大きければ大きいだけいい! だから女なのに貧乳な吾妻には全くもって欲情しねぇ!五年間同室で問題なかったのはそれが原因だ。 鼻で笑って言うと、立花先輩は「そうか」とだけ呟いて湯船に浸かる。潮江先輩はしょっぱなから俺らを無視して浸かっていた。 「乳がない女なんてダメっすよ。特に吾妻」 「んだとコラァ!貧乳舐めんな!」 「あー!ばっ、おまっ…!女のくせに男風呂覗くなよ!?」 「うっせぇ!お前が私のことバカにしてるからだろ、この粗チン野郎!つーか乳首隠さず下隠せよバーカ!」 「俺の息子舐めんなゴラァアアア!」 貧乳をバカにしていると女風呂から青筋浮かべた吾妻が顔を出してきて、桶を投げ付けてきやがった! 忍者らしくサッと避けて乳首隠すとまた桶を投げられる。隠すに決まってんだろ!あいつバカか! でもそれ以上に俺の自慢の息子をバカにされたので桶を投げ返してやるとさらに桶を何個か投げてきやがった! 布で身体隠してっけど、お前まな板なんだから意味ねぇだろ!っつったら今度は苦無を取り出してきた!やるかゴラァ! 「風呂場で暴れるんじゃない」 「あ、立花先輩こんばんはー。それにしてもお美しいですね。私より色気むんむんで正直やばいっすよ」 「当たり前だろう。私は本質が美しいからな」 「さすがっすね!潮江先輩を虐めてストレス発散してるからですか?」 「まぁな」 「おい仙蔵!吾妻、お前も男風呂を覗くんじゃない!」 「お背中流しましょうか?」 「け、結構だ!」 「吾妻!」 「おほー…、七松先輩もいらっしゃったんですね…」 「いたぞ。ちゃんと気づけ」 「すみませんッ!で、でもその…。下をちゃんと隠して下さい…。見てませんが、見えますよ…?」 「見せてるんだ!」 「男前っすね!でも隠して下さい!」 「勇ましかろう!」 「そうっすね!見てないけど!おい竹谷、どうにかしろよ!」 「……」 「自信喪失して隠してんじゃねぇよバカ野郎。最初から解ってたことだろ」 「うっせぇ…。お前、巨乳美女の前で素っ裸になれるのか?」 「ごめん」 「千梅、そのままだと寒いだろう?せっかくだからこっちに一緒に入らんか?」 「仙蔵!男湯に女を「文次郎の背中を洗ってやれ」 「りょーかいでーす!」 「その次私な!」 「七松先輩が下半身をちゃんと隠してくれたら」 なんの躊躇もなく吾妻は男湯に侵入し、無理やり潮江先輩を湯船から引っ張り出して背中を洗い始めた。 俺と七松先輩が穴をあけて女湯を覗くも、くノ一は誰一人おらず、今日の覗きは失敗…。 まぁこのスリルと緊張感で結構楽しめたからいいか! これをきっかけに、何故か時々吾妻が男湯に入るようになるのだった。 (△ TOP ▽) |