おまけ 委員会が終わりました。 「ハチー!」 「すまねぇな滝夜叉丸。迷惑かけなかったか?」 「とても可愛かったです。可愛かったのですが…その……」 「どうした?」 「元に戻ったときが吾妻先輩の命日です…」 「何恐ろしいこと言ってんだよ!おい、何があった!」 「七松先輩が帰宅されて…!かくかくしかじかです…ッ」 「………。今の千梅が大丈夫ならそれでいい。元に戻ったら……頑張ってもらうしかねぇ。寧ろ守ってくれてありがとうな」 「いえ、子供を守るのが親の務めですからね!」 「だよな!」 「ハチー、ごはんー!」 「はいはい、飯食いに行こうなー」 「それでは千梅先輩、私はこれで失礼します」 「たきもすき!ぎゅー!」 「(きゅうん)う、っぐ…!」 「頑張れ滝夜叉丸!しかし羨ましいな!千梅、俺にはー?」 「ハチはちゅー!」 「俺ちょっと死んでくるわ」 「竹谷先輩、まだ早いです!お気持ち、とても解りますが早いです!」 「バイバイきんご、しろ、ぎゃー」 「は、はいっ。先輩、また明日…!」 「バイバイなんだなー」 「結局名前覚えてもらえなかったし…。またね、先輩」 「千梅ー!」 「あ、とめだ!」 「食満先輩…、その手に持ってる服はなんですか…」 「何って、千梅の私服だろ!?おまっ、これから先もこの制服を着てろって言うのか!?ふざけんなよ竹谷!いいか、女の子っていうのは幼いうちから着せ替えごっこが好きで「わ、解りました!すみません、わざわざ千梅のために!ありがとうございます!」 「これかわいい!千梅ににやう?」 「千梅に似合うために俺が仕立てたから似合わないわけがない。それと、「にやう」じゃなくて「にあう」な」 「にあ、にやっ……にやう…?」 「よし、今度からそれでいこう。日本語なんて子供の可愛さを前にしたらどうだっていいんだよ」 「独断で日本語変えたらダメっすよ…。あと仕事が早くて怖いっす」 「頭の中にあるものを仕立てただけだ!プロなら誰だってできる!」 「あんたいつからプロになったんすか!忍者になるんじゃなかったのかよ!」 「ハチ…けんか、めっ!らいぞーに、おこられる…」 「やっべ、まじくっそ可愛い。子供可愛い。可愛すぎる」 「竹谷もそう思うか?奇遇だな、俺も随分前から思ってた」 「もうあれっすよ。このままでいいんじゃないすかねぇ?」 「だよな。伊作に頼んでこのままにしてもらおうぜ」 「千梅がずっとこのままだったら、勿論俺が面倒見ます」 「は?俺が面倒見るぞ。俺のほうが器用だしな」 「元々は俺の同室ですよ?それに、面倒見の良さなら俺も負けておりません」 「なんだと!?」 「やりますか!?」 「ケンカめー!っこわいよぉ…!」 「もー、はっちゃんと食満先輩、なに千梅を泣かせてるんですかー。ほら千梅、勘ちゃんのところにおいでー」 「うううっ…!おこってる…」 「勘右衛門、いつからいた…」 「尾浜、俺にも抱っこさせてくれ。もう喧嘩してねぇしいいだろ?」 「怪しい匂いがぷんぷんするんでお断りします。ご飯の時間だってのに来ないから探しに来たんだよ」 「あ、千梅とはっちゃんいたの?」 「兵助ー、見つけたぞ。何故か食満先輩もいらっしゃるが」 「俺の豆腐を奪いに来たか、醤油顔め!」 「久々知、今日はお前に構っている暇はない。千梅ー、ごめんなー。もう喧嘩してねぇから俺んとこにも来てくれよー」 「やだー、あのおにいちゃんみたいにこわいかおしてるもんっ」 『あのお兄ちゃん…?』 「あ…。聞いてくれ…、七松先輩が帰宅されて、かくかくしかじかだ…」 「すまん、小平太は俺らの責任だ。きつく絞めといてやるから許してくれ」 「あははっ、千梅そんなこと言ったの?でも大丈夫?」 「だってこわいもん!きらいぃ…かんちゃんがいー!」 「……ちょっと可愛いって思っちゃった。俺、千梅のお父さんやるから兵助お母さんやってよ」 「勘ちゃんとなら千梅を立派な豆腐小僧に育てることができそうなのだ」 「いや、女の子だから無理だよ。もー、兵助は豆腐ばっかなんだからー」 「でもほんと、千梅が元に戻ったら危ないね…。七松先輩に絞られそう…」 「雷蔵、元々は吾妻が元凶だ。善法寺先輩を怒らせなかったらこんなことにはならなかったんだからな」 「伊作、グッジョブ」 「あ、留三郎こんなとこにいたんだね」 「千梅はもう元に戻ってるか?」 「おい、テメェら。小平太と長次帰って来たから気をつけろよ」 「わおっ、ろ組の先輩以外全員やってきたね」 「六年生は仲良しなのだ」 「先に集まってた僕たちもそれなりに仲良しだと思うよ」 「一緒にご飯食べようとしている時点で仲良しだよ、雷蔵」 「千梅ー、いい加減こっちに戻って来てくれよー。勘右衛門より俺のほうが身長高ぇぞー?」 「やっ!」 「千梅ー…!」 「何だ竹谷。とうとう千梅にまで嫌われたのか?」 「……いつになったら吾妻は戻るんだ?」 「伊作、頼むから長時間用の薬を作ってくれ。なんなら五年全員に盛ってくれ」 「あ、それ面白そうだね。今度作ってみよーっと」 「見つけた!」 『っ!?』 「吾妻っ、お前のせいで長次に怒られてしまったではないか!私はお前をそんな泣き虫に育てた覚えはない!」 「っやああああああ!きらいっ、どっかいって!こないで!」 「………っ!」 「おい仙蔵、肩が震えてるぞ」 「気のせいだ、…黙れ文次郎…っ」 「相変わらず笑いのツボが浅いんだな…」 「おいコラ小平太!千梅を虐めんじゃねぇよ!」 「わー、留さんが立派に先輩してるー。にしても凄い嫌われっぷりだね、小平太」 「ちょ、ちょ…千梅っ、身まで掴まれたら痛いよ!」 「勘ちゃん大丈夫か?俺が持っとこうか?」 「雷蔵、逃げたほうがいいと私は思うんだが」 「いつもだったらね。でも今日はいつもと違うから…」 「千梅!ほらこっち来い!俺が守ってやるから!」 「小平太…!」 「だ、だって長次…。吾妻が泣くならお手玉にしてやったのに…」 「嫌がってるから止めてあげなさい…」 「うわあああああん!やだー、あのひとこわいぃ!おこってる!こわいよぉ!」 「っふ…!…や、やるな千梅…ッ!」 「だから仙蔵…。俺の肩を掴んで笑うのを耐えるな。爪が食いこんでんだよ」 「長次っ、お前まで千梅を泣かさなくてもいいだろ!?」 「……不憫すぎる…っ!ろ組可哀想に…」 「いたたたた!千梅ー、ほんと痛いって!」 「か、勘ちゃん…!ぱ、パスだ!こっちに投げてくれ!」 「なっ中在家先輩、気にしないでください!僕や下級生たちはそう思っておりませんし、その……ほら、千梅は女の子だから…っ。えっと…」 「(あーあー…。これだから六年が集まると嫌なんだ。収集がつかん…)」 「中在家先輩っ、千梅に何の恨みがあるんですか!」 「…っ私、何もしてないのに…!」 「吾妻、泣いてばっかいるとまた裏裏裏裏山に捨てに行くぞ!」 「やだぁ!きらい!どっかいけ!」 「あ?」 『(あ、やばい)』 「小平太、今の千梅は子供に戻ってるんだから諦めろ」 「仙蔵の言う通りだ。子供相手に本気を出すなよ」 「嫌われる気持ちは痛いほど解るが、元はお前が元凶だぞ」 「ほら、元に戻ってからこってり絞ってあげなよ。今はさすがに死んじゃうよー」 「………小平太、どうどう…」 「千梅、ちょぉっと黙っててくれる?ほら、雷蔵のところへお行き」 「……勘ちゃん、俺七松先輩を止める自信ないのだ」 「ほら千梅、こっちおいで。あ、そうだ。ご飯食べに行こうか!」 「おい八左ヱ門、今日ぐらいは本気の本気を出せ」 「死ぬ覚悟で止めさせて頂きます」 「私のものの分際で、私に逆らうな」 『(でた、暴君)』 「しかし、そうだな…。今日ぐらいは勘弁してやろう。いいか吾妻、元に戻ったら覚えてろよ」 「べーっ!」 「今ので地獄のメニューが二倍になった。ちょーじ、ご飯食べに行こう!」 「(こくん)」 「…。珍しく小平太が引いたな」 「まぁ元に戻ったときが大変だろうけどな」 「よし、小平太がいなくなったところで千梅を抱っこさせてくれ!」 「留さん、今日提出の課題があるでしょー。一緒にしようよ」 「さすがの俺も、千梅に同情しちゃう」 「俺も。生きて帰って来れるか不安なのだ…」 「千梅ー…嫌いでもそんなことしちゃダメだよー…お願いだから死なないでー」 「…………で、八左ヱ門。どうする?」 「元に戻ったら俺はもう知りません。絶対に付き合わねぇ。俺だって命は惜しい」 「らいぞーと、かんちゃんと、へーすけと、さぶろーと、ハチがすきだもん…。あのひとこわいもんっ!」 『(いっそのことこのままでいたほうが幸せなのかもしれない…)』 翌日、いつもの千梅に戻りましたが、記憶は全くありませんでした。 (△ TOP ▽) |