夢/とある後輩の災難 | ナノ

おまけの段


「体育委員会諸君!今日は新しい仲間を紹介するぞ!」
「新しい方ですか?この時期に入ってくるなんて珍しいですね…。こら三之助、勝手に歩き回るな!」
「吾妻だ!」
「こ、こんにちはー…」
「………これはこれは吾妻先輩。貴女が入ってくるのをこの滝夜叉丸、心よりお待ちしておりました」
「すっごく嬉しそうだね、滝…」
「ええ、それは勿論!五年の先輩に入ってもらえると私の負担が減りますし、何より七松先輩の相手をしなくてすみますからね!」
「ハッキリ言いやがったなこの野郎!」
「いえいえ!吾妻先輩が七松先輩についていけるからこそですよ。私は四年生と言えどまだ上級生になりたて…。最上級生である七松先輩の相手を務めることなんてできません。確かに私は成績優秀ですが、できることとできないことがあるのです。まぁ、いずれはできるように努力は惜しまない優秀な生徒ですがね。それでも七松先輩のお相手をできるのは五年の優秀な先輩方だけだと思うのです。それに吾妻先輩は七松先輩の恋人ではありませんか!公私混同するのは私も好きではありませんが、委員長の七松先輩がそれを許すなら私は何も言いません。いや、言えませんとも!さあ、七松先輩!今日は何をしましょうか!吾妻先輩がいますから裏裏裏裏裏山までマラソンにでかけますか?」
「おう、そうだな!吾妻、しっかりついてこいよ!」
「うええええ!?も、もうですか!?今日ぐらいは「甘いッ!」―――ガフッ…!…い…ったいっす…」
「甘いぞ吾妻!いいか、ここはもう戦場だ!そんな甘いこと言うんじゃない!その甘さが命取りになるぞ!?」
「ここ戦場じゃねぇし…」
「何か言ったか?もう一発殴るか?」
「いえ、何も。さー、頑張りましょうか!(もうやけくそだーい!)」
「じゃあ行くぞ!…いけいけ……ドン、ドーン!」
「は、はえぇよちきしょう!待って下さいよ七松せんぱーい!」
「……。よし、行かれたな。お前たちは裏裏山まで頑張ろうな」
「で、でも滝夜叉丸先輩…」
「いいか金吾。人間には限界というものがある。そしてあれはもう人間じゃない。その人間じゃないものに私たちがついていけると思うか?」
「思いません、けど……。でも千梅先輩が…」
「吾妻先輩なら大丈夫。あの方ももはや人間じゃないからな。四郎兵衛、三之助用の縄は持ってるか?」
「はーい、持ってます」
「よし。三之助、この縄をちぎるんじゃないぞ。では私たちは私たちのペースで走ろう」
「怒られませんか?」
「千梅先輩がいるし大丈夫だ。お前たちが心配することじゃない。いやー、それにしても嬉しいな!化け物の相手をできる化け物が入ってきてくれて!」
「……先輩、本音出てるっすよ」
「おっといかん。平和に委員会を過ごすために吾妻先輩はかかせないからな…。お前たち、吾妻先輩がご帰宅されたら笑顔で労うのだぞ!」
「「はーい!」」
「それと三之助」
「なんすか」
「お前も平和に過ごしたいならいらんことを言うな」
「先輩のこと嫌いだけど、そういうとこは尊敬してるっす。性格はクソっすけどね」
「黙れ。世の中とはこんなもんだ」





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