夢/とある後輩の災難 | ナノ

新しい生活


!注意!
さらに注意です。
モブの仲間たちが普通に出てきます。
大体一発キャラですが、キャラ分けなどのために適当な名前が出てきます。
何人いるかなどは全く決めていません。あやふやな状態です。

そして、竹谷たちも忍術学園を卒業しています。
これから先は後輩主とタソガレ忍軍の絡みが多くなってくるうえに七松・竹谷の出番がガッツリ減るかもしれません。が、これは七松夢です。
この時点で嫌な予感しかしない方、不快に感じられた方は早々の退室をお勧めします。
忍術学園を卒業しているので、七松・竹谷・後輩主は多少大人しくなっています。
それらも苦手な方は進まないようにお願いします。

注意文は今回で終わりになります。次回からは自己責任でお願いします。





子供みたいに大見栄きって宣言した通り、私と竹谷は七松先輩が就職している、戦忍び専用派遣会社に就職することができた。
休みができるたびにここに来ては鍛錬に励み、何度もお頭さん…名前は、「西条清十郎」さんに挑み続けるも、一向に勝てる様子はない。
こんなクソガキがすぐに勝てるはずがないのは解っているが、負けるのはやっぱり悔しい!
そのたびに、悔しさをバネにして鍛錬を続ける。
でも、悔しいことに私はあまり筋肉がつかない…。女だからってのもある。前に比べて…なんというか、女らしい体つきになってきたって思う…。
どんどん大きくなる七松先輩や竹谷を見るたびに寂しくなったが、それぐらいで凹む私じゃねぇよ!
女には女しかできないことがたくさんあるので、私はそっちに力を注いで鍛錬に励んでいた。


「―――うっし、今日も頑張るか!」


屋敷の裏は崖になっており、そこを降りると清流があり、そこで汲んだ水で顔を洗ったあと身体をほぐす。
外はまだ薄暗く、動物も起きていない。


「ういっす」
「おっす、竹谷。どうした?首痛めたのか?」
「昨日寝る前に先輩に技決められて…」
「ああ…。お疲れ」


この屋敷はそれなりに広いが、実際に使える部屋は限られている。
何でも敵対策用で、使わないダミー部屋になっており、侵入したら絶対に死ぬことになっている。
だからと言って、大男たちが雑魚寝なんてしなくても…。
お頭さんは一人部屋があり、あとの皆は大広間に雑魚寝。
毎度寝るときに大暴れするのだが、これがかなりうるさく、隣の大広間で寝ている私たちの部屋まで響く。
私の部屋は結局用意されなかった…。あのバカ頭が、


「やっぱ面倒になったし、千梅ちゃんだし大丈夫だろ?せめて小平太と同じ大広間で仕切りしてから寝てくれ!」


って言って、仕切りを二つだけ貰って、私も皆と一緒に大広間で寝ている…。
いや、別に女に見てほしいとかそんなことが言いたいわけじゃないが、大広間の隅っこに仕切り立てて寝るのがどんだけ寂しいかっ…!
だからと言ってあの中に混ざって寝ると潰れそうで怖い…。
七松先輩が近くで寝てくれるけど、なんつーか……忍術学園の長屋が恋しく感じてしまう。
そんなこと言ったら「千梅ちゃん子供だなー!よし、俺と一緒に寝ようぜ!」ってお頭さんが言ってくるから絶対に言わないけどな!


「じゃ、今日も行くか」
「だね」


まず最初にやることは、麓の村に向かって、仕事がないかを見てくること。
村に住んでいる仲間(事務的な)の元に仕事の文が届き、それを取りに行くのが私たち下っ端の仕事。
最初は何時間もかかったうえに、ヘトヘトになっていたが、最近は慣れてしまい、朝食の前には戻って来れるようになった。
降りている山中は罠がたくさん仕掛けられているため、決まった場所しか歩けない。
でもそこばかり歩いていると足跡がつくので、定期的に罠の位置も変えている。
これは、罠好きな先輩が数名によるもの。これにも慣れるまで時間がかかったな…。今じゃ慣れたけど。


「っと…!」
「ふー…昨日よりは早くついたかな?」
「だな!」


木から木へ飛び乗って、村はずれについてから息を整える。
最初から村人の恰好をしているので、これで侵入しても怪しまれることはない。
朝早いので村人はあまりおらず、周囲の警戒を行いながら仲間が住んでいる家の戸を叩いて、暗号を言うと、スッと開いた。


「おはようございます。今日はいい魚がありますか?」
「入ってるよー。ついさっき釣ってきた魚だ!ほら、持って行け!」
「いつもありがとうございます!あ、これお金です」
「お嬢ちゃんはいっつも多めにくれるよなー!よし、これはおまけだ、持って行け!」
「え、ほんとですか!?ありがとうございますー」
「じゃあ邪魔にならないように俺らは帰りますね。また明日もお願いします!」
「あ、いやすまん。明日は休みなんだよ。ちょっと腰を痛めてからよぉ…当分の間休業させてもらうぜ」
「え?あ、…そうなんですか。残念ですが仕方ありませんよね…」
「両親にもそう伝えておきます。では失礼します!」
「おう!また再開したら来てくれよなっ」


家を出てから来た道とは反対の道を歩き、誰にも見られていないことを確認して、村から出て行く。
すぐに森に入って、屋敷へと駆け足で戻る。いつもよりスピードをあげ、息が乱れようが関係なく戻って来た。
その間、私と竹谷は会話はしない。先ほどの会話で、魚と一緒に貰った手紙がどれだけ重要かが解ったからだ。
屋敷に戻ると先輩数名が起きていて、七松先輩もお頭さんと鍛錬をしていた。


「お頭さん、重要の連絡です」
「え?まじで?」


魚と文を持ったままお頭さんに近づくと、二人は動きを止めて、汗を拭いながら近づいてくれる。
文を渡すと、すぐに開いて「ふむふむ」と言いながら目で文字を追い、何故か笑みを浮かべた。
どんな内容か知りたかったけど、次に朝食の準備をしないといけないので、「失礼します」と竹谷と一緒に頭を下げてから離れる。
朝は今さっき買った魚と、行く途中に採った山菜と、肉で簡単な料理。
竹谷と一緒に作っていると、必ず盗み食いをしようとする先輩が数名侵入するので、警戒を怠ることなく作る。私は静かに作りたいよ…。


「あの文、なんて書いてあるんだろうな…」
「もしかして大きな戦に呼ばれたとか?」
「まさか。この間したばっかだぞ?」
「今度は他のところじゃない?兵助と三郎と雷蔵たちが務めてるお城じゃなければいいんだけど…」
「そんなこと言うけど、俺らだって戦出てんだろ」
「まぁそうなんだけどさぁ…」


新人だと言うのに、私たちはかなりの忍務をこなしてきた。
戦には必ず出るし、簡単な忍務(それでも学園にいたころより難しい忍務)も任せられる
さすが「戦忍び専用派遣会社」とだけあって、忍務が尽きることはない。
最初は忙しすぎて毎日死んだように寝ていたけど、最近は慣れてきて、余裕も生まれてきた。


「だからっ、ご飯まで我慢して下さいってば!」
「ちょ、先輩っ!それお頭の分っすよ!?」
「千梅ちゃん……男はな、獣なんだよ。こんないい匂いさせたら我慢できるわけねぇだろ!」
「じゃあハチが食ったってことにしとけばいいだろぉ?」
「獣っつーか、長ノ木先輩はケダモノじゃないっすか…」
「そしたら俺が怒られるじゃねぇっすか!嫌っすよ!」
「いいよな、ケダモノって響き…。俺、千梅ちゃんでも食えるぞ?ツルペタも大好きでーす!」
「先輩の為に怒られてこい!うむ、魚うめぇ!」
「食あたり起こして死ねばいいんです」
「うわあああああまた俺の魚が減ったぁああああ!」


毎朝こんな感じだけどね……。もー…少しはゆっくりさせてくれよなぁ!


「竹谷、吾妻」


先輩たちを追いだして、泣いてる竹谷と一緒に朝食準備を終わらせると、上半身裸の七松先輩が顔を出して、名前を呼んだ。
首をそちらに向けると、手招きされたので、一度竹谷と顔を見合わせたあと近づいた。



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