夢/とある後輩の災難 | ナノ

友人は腐女子


『男体化した千梅に目覚めちゃった☆』


こいつは本当に雑食だ。雑食過ぎだ!
巻き込まないでって言ったじゃん!
そう返信すると、『会いたい』と言われ、嫌な予感がしたので『断る』と返信したら、『じゃあ同人誌、立花先輩に送る』と変な脅しをかけられ、前話したお店へと足取り重く向かった。


「………で、なにがあった」
「あのねー!この間貰ったネタを友達に話したの!そしたら何故か千梅の話になって、千梅のことを皆に話したの!そしたらとある子が、「その子って男の子みたいだね」って言い出してさ!」
「…うん、まぁ……否定はできんな…。ごめん、女子らしくなくて…」
「いいのいいの!それでねそれでねっ、高校時代のことと、今のこと話したら盛り上がっちゃってさぁ!「千梅が男体化したらおいしくない?」って結論が出て、今皆の中でブームになってまぁす!でもよく考えたら千梅の設定っておいしいよね!BL展開にありがちじゃん!」
「……帰って…いいですか…!?」
「ダメダメ!これ見てもらうまでは!」
「え?」


そう言って彼女は鞄からとあるノートを取り出した。
勿論、嫌な予感しかしない。
恐る恐るめくると、鉛筆で描かれた漫画が目にうつった。


「簡単だけど、萌えたので描いちゃいました!とりあえず王道の竹谷くん×千梅かなっ」
「王道ってなんだよ!?」
「え、だって王道でしょ?いっつも一緒にいるし、親友じゃん!」
「そうっ…だけど…!」
「あ、次のページは千梅×竹谷くんね。身体が小さい千梅がちょっとヘタレな竹谷くんを攻めるってやつ!」
「うっわぁ……。あ、でも私の身体結構ガタイいいね」
「七松先輩に鍛えられてるからね!身長は低いけど、しっかり鍛えてて、竹谷くんを押し倒すだけの力を秘めてるの!ガンガン攻めて!」
「いや、言われても…」
「次のページは友達が描いたのね。やっぱり王道で七松先輩×千梅」
「だからっ、王道って言うの止めて!」
「七松先輩って純粋と狂気が紙一重じゃん?そんな感じでR指定でーす!」
「………ごめん…、私ちょっとこれ読めないわ…」


もうね…、男が描いたのかよってぐらい、エロい。男性向けのエロだ。エロ本を読んでる私ですらちょっと辛い…。いや、自分だからかな…。
つか七松先輩がド鬼畜すぎる…。こわ……。


「でも人気だよ?」
「人気なのかよ…」
「この子男性向けエロのほうで人気なのっ。んでもってショタっ子好き!」
「ああ、だから私ちょっとショタショタしてんのか…。つかこんなこと言わねぇよ…、なんだよ『しぇんぱいので僕のお腹ぱんぱんにしてぇ』って……」
「じゃあなんて言うの?」
「え?」
「じゃあなんて言うのか教えて!?本編では修正するから!」
「(やべぇ、火ぃつけちゃった!)い、いや……。ちょっと想像できないって言うか……」
「え、なに。まだヤってないの?何年付き合ってると思ってんの?早くヤりなさいよ。七松先輩に童貞貰われてこいよ!」
「童貞じゃないよ!いい加減にしろよ!」
「腐女子なめんじゃないわよ!フィルターかければ何だって余裕なんだからね!」
「怖いよ腐女子!私を巻き込まないで!」
「僕って言ってぇええええ!」
「こわあああああ!」


ギャーギャー騒いでると、店員さんが注文した飲み物を持って来てくれたので、冷静さを取り戻し、椅子へと座った。


「あとマイナーなんだけどね」
「まだあるの…?」
「善法寺先輩×千梅もあるよ」
「何で!?何で伊作なんだよ!ふざけんなっ、しかも私が受けかよ!」
「攻めがいいのね、把握、伝えとく。千梅と善法寺先輩って仲悪いじゃん?」
「あいつが薬盛るからだろ!」
「犬猿って需要あるんだよねぇ…。ほら、潮江先輩と食満先輩もあったじゃん?」
「………気持ち悪い…」
「萌え。んで、中在家先輩×千梅もあるよー」
「……え?そ、それはないわ…。フェアリーだぞ?」
「七松先輩に隠れて愛を育むってのに萌えちゃって…。禁断っていいわぁ…!尾浜くんに強姦されるってのもあるよ。寧ろ尾浜くんは千梅の身体の開発をしちゃう感じ?」
「止めて!なんかほんとにしそう!」
「え?」
「ごめん嘘」
「ふーん…そっかそっかぁ…。うふふ、いいネタ聞いたわぁ。今年の夏はこれに決まりね」
「…ぐすん…。竹谷、助けてくれ…」
「今なんて言った?」
「……」
「今なんて言った!?公式キタコレ!もーっ、千梅ってばいっつも竹谷くん竹谷くんって…ッ!止めてよ、不意打ちで萌えを投下されるのって苦しいんだよ!?でも頂くね、皆にも話そーっと!あ、その前にツイッターに呟いてっと…「公式キタコレ」」


友人がどんどん遠くなってるなう…。


「あー、やば。やっぱ私、主人公総受けが好きだわ」
「……そっか…」
「本当にありがとね!たくさんネタ貰っちゃったし、萌えたしで今の私なら一週間ぐらいギンギンに頑張れそう!」
「あ、うん…。そう…」
「因みに、千梅総受け本の発売が決定しましたーっ。皆で作るんだ!」
「止めろッ!」
「ごめん、嘘ついた。マイナー好きな子が千梅×竹谷くん漫画も収録してるから、総受け本じゃありません!」
「うるさい!発行すんな!」
「最後に一言言わせて。腐女子パワー舐めんなよ!」
「黙れェエエエ!」


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