とあるマンションの一日 「―――来るっ…!」 朝日が昇る前に気配を感じて目を覚ます。 急いでベットから起き上がり、ベランダの扉をオープン! 因みに鍵はかかっていない。時間を短縮しないと、 「おはよう、吾妻!今日もいい天気だな。さあ、鍛錬に行くぞ!」 「…おはようございます、七松先輩…」 上の階に住む七松先輩が窓を壊して侵入してくるからだ。 前に一度鍵を閉めてたせいで、上から降りてきた七松先輩が窓にぶつかり、破壊した…。 勿論七松先輩に傷はない。私がガラスの破片で傷を負ったぐらいだ。 「相変わらず色気のない寝間着だな」 「ええ、(対、七松用に)すぐ動けるように…」 「そうか!敵に襲われてもすぐ動けるようにだな!偉いぞ、吾妻。さすが私の後輩だ!」 「敵って誰だよ…。竹谷起こしてきます」 「おう!」 ここは立花先輩のポケットマネーで作られた高級(?)マンション。 オートロック、指紋認証などがついてる一人暮らしの女性にとっては最高に安全なマンションだ。おまけに内装、外観ともに綺麗でお洒落。 でも私の部屋には鍵というものがない。鍵をかけると七松先輩が侵入できないからだ。 おかしいよね、うん。その侵入者を拒否するための鍵なのに…。 鍵をかけると七松先輩は不機嫌になり、壊そうとする。壊したものの請求は何故か私にくる。 立花先輩も性格が悪い人だ。いつかぎゃふんと言わせてやるっ…。 「竹谷ぁ…」 「俺は眠ってます」 「嘘つけ。起きてんだろ。早くしろ」 「眠ってます」 「じゃあ起きろ」 「嫌だ」 「七松せんぱーい、竹谷が起きないんでジャイアントスイングかましちゃってくださーい」 「おう、任せろ!」 「いやー、いい朝ですね。あ、おはよう千梅ちゃん、七松先輩」 「毎度毎度同じこと言わせるな」 「たまには来るな」 「私たち、二人で一つだろ?私だけ辛い目に合うのは嫌だ!」 「俺だって嫌だよ!」 「お前ら早くしろ」 「「はい、すみません!」」 一度部屋を出て、廊下を挟んだ目の前の扉を開ける。 目の前は竹谷の部屋で、やっぱり鍵はかかっていない。 玄関も部屋も汚くて足の踏み場を探しながらベットに近づいて踵落としを食らわせると、拒絶したので脅しをかけてやる。 私一人で七松先輩の相手をしろと?そんな無茶な!犠牲者は多いほうがいいのさっ。 七松先輩に誘われ一階へと降りる。玄関ホールの前に降りる。 え、どうやって?勿論、二階の廊下から飛び降ります! 最初は二階から飛び降りるなんて抵抗があったけど、今となっては簡単。寧ろこっちのほうが時間を短縮できるので楽だ。 そう、こうやって私たちもどんどん人離れしていくのだぁ…。 「今日も元気よく鍛錬するぞ!」 「俺昨日遅かったのに…」 「なんだ、また一人でシてたのか?いっそのこと右手と結婚しろよ」 「ばっか。昨日は左手ですぅ。たまに利き腕じゃないほうでするほうがぎこちなくて新鮮なんだよ」 「そうなんだ。誰も聞いてないのにありがとう死ね」 「まずは大学まで全力ダッシュだ!」 「「朝からハードな鍛錬、ありがとうございます」」 「あ、そうだ。お前らに言うことがあった」 「なぁ相棒。既に嫌な予感がするんだが…」 「奇遇だね、相棒。私もだよ」 「昨日より一秒でも遅かったら鉄拳制裁な!」 「「やっぱりね!」」 (△ TOP ▽) |