夢/とある後輩の災難 | ナノ

ピアスの話


自分の恋人がピアスを開けてしまったら?
モデルは後輩主。ギャラなしでーす。



●長次のバヤイ●

「……」
「なんすか、中在家先輩」
「何で開けた…?」
「格好いいからですよ!どうっすか?似合いますか?」
「…」(ふるふる)
「え?似合いませんか?結構いけると思ったんですけど…」
「ピアスはダメだ…。閉じてくれないか?」
「えー、嫌ですよ。せっかく開けたのにもう閉じるなんて…」
「止めよう…。な…?」
「嫌ですってば。お金もかかったし、もっと格好いいピアスつけたい!」
「止めてくれ」
「いーやーでーす!」
「止めろ」
「(命令系!?)…そ、そんな睨んだって止めませんよ…!」
「そうか、…解った」
「諦めてくれるんすか?」
「穴を潰す」
「えッ!?」

段階を踏んで止めるよう諭してくれる。だが結論は変わらない。



●小平太のバヤイ●

「自分で閉じるか、私が潰すかどっちがいい?」
「すぐに閉じさせて頂きます」

長次とは違い、段階をすっ飛ばして潰させる。選択肢は自分で決断するか強制させられるかの違いで結論は一緒。拒否権?暴君相手に使えるわけないじゃん。



●伊作のバヤイ●

「え、ピアス開けちゃったの!?」
「うおっ、凄い食いつきっすね…」
「何で僕に言ってくれないの!?僕が開けてあげたのに!」
「何それ怖い」
「それよりちゃんと消毒してる?そのピアスは金属製?というか吾妻、アレルギーとか大丈夫なの?」
「ちょ、ちょっとちょっと!伊作先輩キモい!なんか必死すぎて怖いしキモいですよ!?」
「ねぇねぇ、どうせ開けるならもう一つ開けてみない?僕が開けてあげるからさぁ!」
「きめぇって言ってんだろ!離せよ不運野郎!」
「ぎゃふっ!…い、痛い…。殴ることないじゃん…ッ!」
「お前が怖いからだよ!」
「お前って…。僕、君の先輩だよ?」
「知るかッ!」

なんか必死になる。目が怖い。



●文次郎のバヤイ●

「そんなちゃらちゃらしたもんつけるんじゃない!」
「ご期待通りです、本当にありがとうございます」
「せっかく親から貰った大切な身体を…。しかもお前は野生児とは言え、一応女だぞ!もっと自分を大事にしろッ!」
「やべぇよ…。もうお父さんにしか見えなくなったよ…!潮江先輩っ、私はあなたが好きだ!」
「聞いてるのか吾妻!」
「聞いてます!聞いてますよ!」
「じゃあピアスはちゃんと閉じるんだな?」
「はい、閉じます!」
「よし!」(なでなで)
「潮江せんぱぁい…!」

ただの父親です、本当にありがとうございます。



●鍛錬組のバヤイ●

「ピアス開けちゃいましたーっ!」
「馬鹿者!」
「痛い!な、七松先輩…!毎度毎度いきなり殴るのは止めて下さい…」
「そんなもんして、お前は何を考えてるんだ!」
「え?…えーっと、ただのお洒落のつもりで開けたんです「それをバカだと言うんだ!」―――がふっ…!もう…なんなんすか…」
「そこが弱点になるかもしれんのだぞ!いいか、敵はいつ、どこから攻めてくるか解らん!もし敵に背後を取られ、ピアスを引っ張られて見ろ!お前は怯むことなく敵を倒せるのか!?」
「………は?敵?」
「出血の量も凄いだろう…。貧血になって倒れたりしたら尚更ダメだ!」
「小平太の言う通りだ。敵はどこに忍んでいるか解らんからな…」
「いや、後ろでなに頷いてんすか潮江先輩…。つか今現代だし。敵なんていませんよ」
「甘い!」
「げふっ!だ、だから殴らないで下さいよっ…。ぐすん…!」
「敵がいないなんて誰が言った!現代であろうと敵は存在するのだ!な、文次郎?」
「ああ。こうやってバレないよう活動して、存在を隠しているからこそ敵は強いのだ。解ったらピアスは潰せ。な?」
「どこの世紀末だよ…!なんなのこいつら…、脳みそまで筋肉でできてんじゃねぇの?」
「大体誰だ。私のものに勝手に穴を開けたのは!」
「え?い、いや私が「千梅ッ、隠さず言え!誰がお前の身体に穴を開けたんだ!?」い、いえ…。隠しては……。中在家先輩っ、先輩なら解ってくれますよね!?」
「…千梅……。言ったほうがいいぞ」
「ダメだ。この人も鍛錬バカだった!」
「おい小平太。こいつ、たぶらかされたんじゃねぇのか?」
「なにぃ!?千梅、たぶらかされたのか!?穴を開けた奴を今すぐ連れて来い!」
「女性の身体に穴を開けるなんて…。そいつはちゃんとお前を面倒見れるほどの男なのか?強いのか?」
「ちょ、ちょっとちょっと!落ちついて下さいよ筋肉バカども!私は誰にもたぶらかされていませんし、これは自分で開けたんですって!」
「…小平太、そいつは超能力者かもしれん…。千梅が洗脳されて、そいつを庇ってる…」
「何だと!?私のものなのに…。よくもやったな!よしっ、その超能力者を見つけ、いけいけどんどんでぶっとばす!」
「超能力者か…。ふっ、なかなか手ごわそうな敵だな。長次、お前も行くだろ?」
「ああ…」
「千梅、お前は部屋に戻ってろ!敵は私たち三人が倒してくる!」
「いいか、絶対に出るんじゃないぞ」
「行ってくる…」
「ふふっ、敵はようやく姿を見せたな!いけいけどんどんで壊滅させてやるぞ!」
「いーや、俺がギンギンに倒してやる!」
「私が…………」(もそもそ)
「………」


窓に向かいます。窓を開け、足をかけます。大きく息を吸って下さい。


「面倒くせぇええええええええええ!!」



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