夢/とある後輩の災難 | ナノ

彼と彼女のすれ違い


!注意!
コネタの恋口さん設定です。
社会人七松×女子高生後輩主になってます。
七松さんは独り暮らし。





「お、お邪魔します…」
「おう、あがれ」


千梅の家族が珍しく全員留守にするから、千梅の兄に「今日しかねぇよなぁ?」と言われたので泊まりに来ないかと誘ってみた。
色々問題はあったみたいだし、こいつの姉からは睨まれたが、なんとか許可を貰ったみたいで、泊りに来ることになった。
そのために仕事を早めに終わらせ、時間が勿体ないから車で迎えに行くと目を見開いて驚いた。あれには笑ってしまったな。
部屋にあげ、あからさまに緊張した態度と動きで歩く千梅に内心笑いが止まらない。


「(緊張している顔が手にとるように解るな…)」


適当に千梅と会話しながらコーヒーをいれてあげると、どこに座っていいか解らない態度で突っ立っていたので、ソファに座るよう言うと恐る恐る端っこに座る。
初めてのことだから本当に解らないんだろうな。それを見ているのが楽しい。
例え慣れていても、私の部屋だと絶対にこういう態度になるだろう。
隣に座るとその緊張が伝わってきた。
別に食べるつもりないのに、そんなに警戒されても…。
テレビをつけても特に面白い番組をしてなかったので、沈黙が流れてさらに千梅の緊張が増した。


「あ、そうだ!夕食どうしますか?私作りますよ!買い物にも行きますし!」


と、いきなり立ち上がってそんなことを言ってきた。
気が付いてないだろうが、顔が真っ赤に染まっていてまた心の中で笑ってしまう。
部屋にいるのが窮屈で緊張してしまうなら、外に出るか。
適当に出前でもとろうかと思ったが、作ってくれるならそれを食べよう。
千梅と一緒に近所のスーパーに向かって食べたいものを注文すると、「いいですよ」とすぐに承諾。


「私も手伝おうか?」
「私が作りますので、七松さんは休んでてください」
「えー、私こう見えて器用だぞ?」
「私一人のほうが早いです」
「じゃあテレビ見てる。長次からDVD借りたんだー」


スーパーから帰宅して、手伝ってやろうかと思ったら断れた。
待っている間暇なので、長次からおすすめだと言われたDVDをセット。
美味しそうな匂いにお腹が鳴りつつ、静かに夕食ができあがるのを待った。
そういえば、手料理なんて久しぶりだ。


「七松さんのハンバーグは少しでかめに焼きましたー。中もしっかり焼けてますよ」


できあがった夕食が運ばれ、DVDからテレビに戻して一緒に食べる。
普通のことなのに、普通じゃないことをしているみたいで楽しかった。
普段は一人だからなぁ。たまにはこうやって人と食べるのも悪くない。
というか私は人と一緒に楽しく食べるのが好きだ。
社会人になって、忙しくなったからやらなくなったけど…。長次たちにも会いたいなぁ。


「…」
「何でそこに座るんだ?ソファのほうが尻冷えんぞ?」


夕食を食べ終わり、食器を片づけた千梅がまた突っ立っていた。
二人きりということに我に返ったんだろうか。
昔、長次が「女は身体を冷やしたらダメだ」と言っていたので、隣に座るように言うと恐る恐る座ってきた。
座るのを横目で確認したあと、またDVDをつけて集中する。
アクションものはやっぱり楽しい!私も冒険とかしてみたい。


「あ、あの七松さん…」
「んー?」


居心地悪そうに座っていた千梅が話しかけてきたからなんだと思えば、風呂に入りたいとのこと。
だから好きなように入っていいぞと言うと身体の動きがまた悪くなった。
意識しすぎなんだって。「ヤるつもりはない」と言えばいいのか?言ってもダメだろ。
だからと言って「ヤりましょうか!」とノリノリでこられても「こいつ大丈夫か?」と思ってしまう。


「んー…」


緊張している、警戒しているのは解る。
解るけど、ところどころ無防備…?になる。
スカートだと言うのに足立てるから中見えるし。
中はまたあいつが好きな色の縞々パンツだった。相変わらず色気がない。
普段はスパッツとかはいてるのに、何で今日に限って?そこを考えてしまうと、深読みしてしまう。そういう意図はないんだろうけど。


「遅いな」


シャワーの音が止んでから、かなり時間が経った。
いつまで経っても出てこないから逆上せたのかと思ってノックをすることなく扉を開けると、勢いよく締められる。
なんだ、生きてたか。


『すみません七松さん!すぐに出るので!』
「いや、起きてるならいいさ」


それから少しして貸した服を着た千梅が出てきて思わず笑ってしまった。
ダボダボすぎて動きにくそうだ!
千梅が歩くたびに転びそうになるのも笑えてくる。
でもここまで大きすぎるとは…。今度来るときは用意してもらわないとなぁ。悪いことをした。
千梅があがったあと、今度は自分が風呂に入る。


「……ん?」


洗濯機の上に乗せていたシャツが下のカゴに移動していて首を傾げる。
千梅が移動させたんだろう。何でわざわざ…。
拾い上げると汗くさかったシャツから微かに違う匂いが混じっていてさらに首を傾げる。
まぁいいや。どっちにしろ洗うんだし。面倒くさいけど、洗わないと仕事行けないからな…。
いつものようにさっさとシャワーを浴びて、あがると下だけを脱いだ千梅が目に入ってさすがに驚いた。
いや、これで警戒しているというのだから誰でも驚くだろう。


「(またパンツ見えるし)」


こいつは学力とかそういうことじゃなくて、純粋にバカなんだろうな。
隣に座って頭を拭いているとまた緊張がソファ越しに伝わってくる。


「(別にヤりたくないわけじゃない。でもすっごくヤりたい!ってわけでもない。触れば止まらなくなるだろうし、ヤれば気持ちいいと思う。…………そうか、もう私も昔みたいに若くないもんな。がっつくほどじゃないってことか)」
「七松さん、セックスします?」
「は?」


だと言うのにこいつは何を言っているんだ。
さすがの私も千梅の台詞に驚いて千梅を見ると、真っ青から真っ赤に変わって泣きそうな目で私を見上げてきた。
その目に鳥肌がたって、一瞬で色々なことを考えてしまったが、全てを飲み込んで違う台詞をはく。


「なんだ千梅。したかったのか?」
「違います!すみません、台詞を間違えました!」


まぁだろうと思ったが。
普通台詞を間違えるか?あんなドストレートな台詞を間違えるとか…。本当にバカだ。
呆れつつ、何事もなかったかのようにテレビをつけるも少しだけ集中できなかった。
千梅はまた足を立てる。腕で隠していても見えるし、露出している部分が気になってしまう。


「(こんな態度とってしまったから、きっと警戒心を解いてくるな)」


想像通り、千梅は肩の力を抜いて近寄り、遠慮がちに寄り掛かってきた。
風呂あがりだから同じシャンプーの匂いがするし、なんだかテレビに集中できない。温かくて気持ちいい。
それは千梅だったようで無意識にすり寄ってきて、シパシパと目を瞬かせた。


「すみません、先に寝ますね」


寄り掛かったまま静かに寝息をたてる千梅にとうとう呆れてしまい、溜息を盛大にはいた。
仕事でもこんな深い溜息はいたことがないぞ。
警戒をするなら最後まで警戒しろ。って言いたくなる。
ヤりたくないなら露出は控えろ。って言いたくなる。
私はお前の母親じゃないんだぞ。


「馬鹿者」


がっつくことがなくなっただけで、この状態はさすがに苦しい。
頭をかいたあと、千梅を抱き上げてベットに寝かせてやると気持ちよさそうにシーツを握りしめた。


「さて、うるさいこいつの兄姉たちに連絡をしとくか」


いつまでお預けなのかなぁ。やっぱり女子高校生に手を出すのはまずいよなぁ。
卒業まであと一年…。なんとか、我慢できたらいいな。


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