夢/とある後輩の災難 | ナノ

「物語りの終わり」の続き


!注意!
「進路調査票」と「自分たちの六年生」のお話を読んだうえ、こちらをご覧ください。
両方を読んでいないと解らない内容になってます。
内容は短いものとなってます。二つのその後程度の内容です。
あのままで終わっておきたい方にはおすすめできません。





「―――変な夢みたなぁ…」


現実的な夢を見た。
七松先輩と同じお城に就職して、毎日頑張ってたんだけど、屋敷を襲われ、七松先輩たちが死んで…。
そのあとも夢を見たんだけど、そっちは忘れてしまった。何だか酷いことをしてしまったような気がするけど…すっぽり抜けている。


「…七松先輩が死ぬなんて想像できないよ」


布団から起き上がり、外に見るとまだ暗かった。
同室の竹谷を見るとお腹を出したまま寝ていたので、布団をかけてあげて再び横になる。


「枕が濡れてる」


あんな夢を見たんだ。寝ながら泣いていたんだな…。
そりゃあそうだ。大好きな人が死んだんだぞ。私を残して死んだんだぞ!
そんなの嫌だ。一緒にいたい。普段文句ばかり言ってるけど、やっぱり好きなんだ。


「もっと私が強かったらいいのか…。だったら守ることができる…!」


そうだ、…そうだよ!私が強かったから七松先輩も文句を言わないだろう。一緒に連れて行ってくれるだろう!
死ぬときも一緒に死にたい。忍者として一緒に散りたい。
七松先輩、私は女としてあなたの隣にいられることも嬉しいですけど、忍者としてあなたの隣にいられるのも幸せなんです。


「よし、ちょっと寝て、鍛錬しよう!苦手なものをたくさん克服して強くなるんだ!」


布団をかぶり直して、浅い眠りについた。





「…あー…夢なんて久しぶりに見た…」


夢を見ることなんて下級生以来だろうか。
上級生になってからは夢なんて見てなかったのに、何だか現実的な夢を見た。起きた今でもしっかり覚えてる。
特に吾妻が死んだところなんて……。


「あ、鳥肌たってる」


やけに現実的すぎて、何だか怖くなった。
仕切りから顔を出して長次を見ると、静かに寝息をたてていたので、こっちが現実なのだと実感できる。


「あいつが死ぬなんて想像してなかったな…」


布団に戻って夢のことを思い出す。あまりいい気ではないが、現実に起こりそうなので当分の間忘れられそうにない。
吾妻は強いから大丈夫だと思っていたところがあった。
でもやっぱりそうじゃないんだ。
前ばかり見ていられない。大事な人間なら、たまには後ろを見ないといけない。
自分が好んで手元に置いているなら、最後まで面倒見ないとな…。


「ははっ、竹谷みたいだな、今の私」


外を見るとまだ暗かった。
そろそろ夜が明けるだろう。
夜が明けたら吾妻も誘って鍛錬に向かおう。
守るのは私だが、あいつ自身も強くなってもらいたい。
あいつもそれを望んでいるように思う。
私の勝手な思いかもしれないが、目を閉じて浅い眠りについた。





「物語りの終わり」の続きでした。


TOP

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -