▽ 探偵パロ その10 「もう…あの犬バカは何できちんと掃除しないんだ!ご飯も買わないとかバカだろ!……あ、食満さん?なんでここに…」 「よう#名前#。って呑気に挨拶してる場合じゃねぇ。隠れろ」 「え?」 「俺がいるということは?」 「…」(物陰に隠れる) 「いいか、極限まで気配を絶て。教えてやったんだ、できるだろ?」 「はい。(くっそ…くっそ!なんで七松さんが街に出て来てんだよーっ。街に出てくるな!接吻されてからあのままだし顔見れないっ…。あああ…思い出しちゃった…!…はぁ、あの人何がしたいのか解らないし、怖いし、目が笑ってないし…。あと全部が怖いから会いたくない)」 「―――それでは店主、邪魔をしたな」 「へい、いつもありがとうございます、七松様。次もどうか」 「ああ、きちんと店主が私の期待に応えてくれたらな。またせたな留三郎。―――そうだ、折角だしここで茶でもしていくか。店主、茶を頼む」 「お疲れ様です、七松さん。…ここで茶を飲まなくても、行きつけのお店がすぐ近くにありますが…」 「留三郎、お座り」 「……」 「まぁお前も休め。いつも大変だろう?」 「…いえ。お気遣いありがとうございます」 「にしてもなかなか#名前#に会えないな」 「(早く帰れよぉおおお!何でわざわざここでお茶飲むんだよ!食満さんが気を使ってくれたんだから……もうあの人やっぱり嫌いだ!……顔も赤くなってない!あのときのことを思い出してない!違う!事故だ事故!)」 「学生の身分ですし、学校では?そんなに気になるなら学校に出向いてみますか?」 「いや、いい。不審者として怪しまれるだろ?あぁ、でも「婚約者です」と言ってみるのもいいな」 「そ、れは…」 「(うおおお!勘弁してくれこのっ…!それじゃなくても先生と噂されてていい迷惑してんのに!というか、七松さんと婚約者とか嫌だ!あんな人の妻になんてなりたくない!毎日が怖いじゃないかっ…。遊ばれるし、…怖い…!)」 「七松さんは何故そこまで#名前#に執着するのですか?」 「…」 「気分を害したなら謝ります。犬の分際で申し訳ありません」 「いや、構わんさ。そうだなぁ…、反応が面白いのもあるが、自分をしっかり持ってるからだな」 「(………別に嬉しくないよ…。いいから早く帰ってくれ)」 「どこまで自分の我を通すのか見てみたい。お前たちみたいに強くなるだろうなぁと思っても、楽しくてならん。#名前#を傍に置いて、しっかり躾と教育していきたい」 「…相手は女学生です。戯れはご自重下さい」 「ははっ、留三郎はあいつを気に入ってるよな。しかし止めんぞ。それこそ私の自由だ。あいつは絶対に手に入れるし、ずっと傍で飼うつもりだ」 「……ならばせめて、女性らしく扱ってやってください」 「扱ってやったら逃げたんだぞ?」 「七松さん」 「もういい黙れ。私は今、震える子犬が見れて機嫌がいいんだ」 「…(相変わらず性格が悪い)」 「そろそろ次の店に行くかな。そうだ、帰りに探偵事務所に寄るか。菓子も買って行こう」 「御意に」 「(今日はもうこのまま帰る!よかった、自宅はバレてなくて!)」 「くくく…!」 「七松さん」 「いや、すまん。いやはや、どうしてあいつは私の想像通りに動いてくれるんだろうか。このまま自宅に戻るだろうが、自宅はバレてないと思ってるよな?」 「……。気に入っているならわざわざ怯えさせなくても…」 「きっと普通にしてても楽しい女だとは思うが、本性を隠すのも面倒なんだ。それに、隠したところであいつは私の本性を本能で見抜くぞ」 「だから気に入っているのですね」 「育て、強くなるのは男であろうが、女であろうが楽しい。次は雌犬育てたいと思ってたんだ」 「(歪んでんな)」 「すまなかったな、こんな人間で」 「何も言っておりません」 「そうか」 |