▽ ヤンデレホラーのお話 そこの森は昔から怪しい噂が絶えなかった。 入ったら誰も帰って来れないのは勿論、小刀を持った男に追い回されたり、女に首を絞められたり…。 とにかく物騒な噂しかない森に、七松小平太と一つ下の後輩は忍務帰りに迷い込んでしまった。 「怪しい空気の森だな。急いで抜けるぞ」 「はい」 だと言うのに、二人は森から出ることができない。 下りたと思ったらまた頂上付近に立っている…。 意味が解らないと苛立ちを隠せない後輩に、小平太は励ましの声をかけつつ、ここからどう脱出するか考えていた。 夜も明けそうにない不思議な森。おまけに雨まで降り出し、小平太は後輩を置いて食料を探しにでかける。 『#名前#』 「あれ?七松先輩、何故そちらから?……七松先輩?」 一人になった後輩の前に現れたのは食料を探しにでかけたはずの小平太。 何故か反対方向から姿を現し、後輩は首を捻りながら彼から離れる。 すると彼はにっこりといかにも胡散臭い笑顔を浮かべて両手を広げた。 『会いたかった。早く私の近くに来てくれないか?雨で寒くてたまらないんだ』 普段なら絶対言わないことをさらりとこぼす。 だけど顔は小平太。声も、気配も…。 意味が解らない後輩は苦無を取り出し構えた。 「#名字#、どうした?」 「七松先輩が…二人!?」 『#名前#、そいつは誰だ?私がいるのに何故……何故だ#名前#。お前に私以外必要ないだろう。お前には私だけしか必要ないし、私にもお前しか必要ない。―――そいつは誰だ』 「七松先輩…」 「#名字#、そいつから離れろ。本物の七松小平太は私だ」 「解ってます…。解ってますけど……」 そして始まった鬼ごっこ。但し、捕まったら最後。 小平太の顔をして執拗に後輩を追いかけ、小平太を殺そうとする小平太は誰なのか、なんなのか…。そしてこの森の秘密とは? 「はぁ…!ようやく逃げ切ることができましたね、七松先輩。はぁ…早く帰りたいっす…」 「……#名前#…」 「七松先輩?」 『ああ…ようやく捕まえたよ#名前#。もう逃がさない』 「っ!まさか、成り代わって…!?本物の七松先輩をどこにやった!」 『まずは#名前#を縛って色々教えてあげないとな。#名前#には私しか必要ない。私だけを見て、私だけを愛してくれ』 「いっ…嫌だ…っ。七松先輩っ…七松先輩七松先輩ッ!七松先輩を返せ!」 『―――あいつは死んだよ。私が殺した。だって、私と#名前#の邪魔ばかりするんだもん。#名前#、七松だなんて呼ばず、小平太と呼んでくれないか?』 「っあああああ!」 本物か偽物か、君には解るか? ヤンデレ七松に愛されて夜も眠れないテキストゲーム、2130年発売予定! ▼ まぁ嘘なんですけどね。 でもなんちゃってホラーちっくなものはやってみたいと思っている。体力的にできないけど。 |