▽ SS企画 その29 「勉強中すまない、解らないところがあるから教えてくれないか?」 「……」 「何だその目は。友人がこんなにも頭を下げているのにお前は冷たい奴だな。だから後輩から疎遠されるんだぞ」 「まず私とお前は友人と呼べる仲ではない。それから、今さっきのお前はそんなに頭を下げていない。寧ろふてぶてしい態度だった。最後に、後輩は関係ない」 「とか言いながら少し寂しそうだな」 「黙れ!」 「それはいいとして。今日出た課題を教えてくれ」 「私が教えなくても五年の天才様なら解るだろ」 「いやぁ」 「貴様は本当にムカつく男だな」 「真面目な君に「天才」と言われるとさすがの私も照れてな…。もっと言ってくれていいんだぞ」 「二度も言わせるな。黙れ三郎。課題なら雷蔵に教えてもらえ」 「え、僕?僕迷っちゃうからなー…」 「でも雷蔵も優秀だろう?それに、三郎の飼い主だ」 「え?」 「ならば君は八左ヱ門の飼い主か?」 「八左ヱ門は大事な友人だ。もういいから向こう行け」 「そんな冷たいこと言わないでくれ…。寂しいじゃないか」 「(ドン引き)」 「三郎…」 「あれ、ダメか?なら……。そんな冷たいこと言わないでよ…、僕泣いちゃうぞ」 「雷蔵の顔と声でそんな気持ちの悪いことを言うな!」 「三郎!さすがの僕も怒るよ!」 「あっはは!すまないすまない!つい二人の反応が面白くて……」 「雷蔵、たたき斬っていいか?」 「うん、みじん切りにしてやって」 「御意」 「ちょ、ちょっと待て!軽い冗談じゃないか。雷蔵までそんなこと言わな「問答無用!」 「三郎、逃げるな!」 「アハハハ!五ろの三人は仲良しだねぇ」 「俺と勘ちゃんも仲いいのだ」 「そうだね!で、八左ヱ門くん、君は混ざらないの?」 「う、うるせぇ…!別に寂しくねぇし!」 「はっちゃんが寂しそうなのだ」 「だから、寂しくないってば!」 |