夢/コネタ | ナノ

▽ 連続不運の話

「新年明けましておめでとー!」
「……もう何か月過ぎてると思ってんだよ…」
「まぁまぁ、細かいことは気にするなって!な、小平太?」
「ああ!ところで、餅はまだか長次!」
「もう少し待て…」
「留三郎、かまくら作ってくれよ!」
「あー?嫌だよ、寒い…」
「あん?もしかして「作れない」って言うのか?用具委員なのに?」
「……上等だ、作ってやろうじゃねぇか!」
「お願いしまーす!」
「文次郎、餅はまだか?」
「もうちょっと待てっつーんだよ!小平太と同じこと言ってんじゃねぇ」
「きな粉、お醤油…。うん、こっちの準備はできたよー!」
「長次、もう待てん。私がついてやる!」
「ダメだ…。小平太は壊す…」
「壊さん!」
「お前はダメだ。ついた瞬間に餅米が飛びちるからな。大人しく待ってろ」
「ぶーっ…」
「小平太、雪合戦しようぜ!」
「おっ、いいな!特大の雪玉作ろう!」
「あ、じゃあ雪だるまにするか?どっちが大きく作れるか競争しようぜ!」
「ああ!」
「……。寒いのによくやるな、あのバカ犬二匹は」
「あはは、二人とも寒いの平気だからねー。仙蔵は苦手だったよね」
「ああ。だが、餅は食いたい」
「食い意地張ってるなぁ」
「―――オラァ!おいバカ、かまくら完成したぞ!」
「え、もうッ!?」
「さすが留三郎だな。私には真似できん」
「お前はどっちかって言うと壊す派だもんな」
「壊していいか?」
「ダメに決まってんだろ、小平太!」
「即興にしてはなかなかだね、留さん。あ、僕入っていい?」
「おお、入れ入れ」
「次俺な!」
「じゃあ次は私だ!」
「その次は私だ。文次郎、火鉢を持ってこい」
「餅やってんだろ!無理だ!」
「わー……。結構広いね。あはっ、あったかいや!」
「一人用は簡単だったな。雪もそんなに必要ねぇし」
「伊作ー、早く出ろよー!」
「もうちょっと待っ―――」
「い、伊作!?」
「伊作っくんが消えたぞ?」
「穴に落ちただけだろ」
「伊作ぅううう!」
「凄い不運だな…。つか留三郎、落とし穴の上にかまくら作るなよ…」
「解るか!おい伊作、だいじょ―――」
「かまくらが潰れた!」
「おー…連続不運…」
「見事だな…」
「くっ…。新年早々親友二人を失うなんて…ッ!せめて線香ぐらいはあげてやるよ…」
「そうだな。じゃあ私は手を合わせよう!」
「私も合わせよう。早い死だった…」
「………経をあげよう…」
「長次…。すまねぇな、長次…。ありがとう、恩に着るぜ!」
「いいから助けろよ!本当に死んじまうぞ!?」