夢/コネタ | ナノ

▽ SS企画 その13

「『獣主の生い立ち知りたいです』ってきたんだけど」
「え?俺の生い立ち?」
「お前自分のこと話さねぇじゃん?だから気になるって人が多いみたいだぜ」
「だって俺、一応夢主だよ?過剰な設定とかは盛らないって決めてんだよ。ここでこんなこと言うのもおかしいけど。」
「で、家族は?」
「…留さん、俺の話聞いてた?」
「聞いてんだから答えろよ。お前、この質問相手の子泣かすつもりか?」
「その言い方はダメだ、止めてくれ。答えるよ。……つっても、本当に普通なんだけど…。話すようなことないし…」
「だからっ、何でそうやって隠そうとすんだよ!気になるだろ!」
「本当に話す内容じゃないんだってば!解れよプチ不運野郎!」
「殺すぞテメェ!なりたくてなったわけじゃねぇんだ!」
「ごめん、今のは言い過ぎた。えー……でもぉ…」
「つか何でお前はそんなに喋ろうとしないんだよ」
「だから言ってんじゃん。普通だって」
「普通なら言えばいいだろ!」
「普通だから言いたくないんだってば!」
「お前が思ってるより普通じゃないかもしれねぇから言え!」
「胸倉掴むんじゃねぇよ!シワになっちゃうだろ!」
「どうせ気にしねぇだろうが!」
「…そんなに聞きたい?普通よ?」
「言え」
「はぁ…。実家は鷹匠してますが、動物関連のお仕事なら何でもしてます。家は摂津じゃなくて東のほう。兄が一人いて、兄も動物関連の仕事に就いてる」
「……うわ、普通…」
「だから言っただろ!それにっ、留三郎にそんなこと言われたくない!」
「なんだと!?」
「もうそう言われることが解ってるから言いたくなったんだよ!」
「あれはお前がいちいちもったいぶるからだ!最初から普通に話してたらこんな反応してねぇよ!で、生い立ちは?」
「生い立ちってなんですか…。普通だよ、普通…。そこらへんの子供と同じように育ったって…」
「そうか」
「…今度はやけに素直だな」
「お前が普通ということはよく解った」
「んだそりゃ!」
「お前のことだ、同世代の友達がたくさんいたんだろ?」
「え?あ、いや。いなかった。寧ろ年上ばっかでよー…。遊び相手兼育ての親みたいな感じでさ!」
「………なに、お前の村、子供いなかったのか?」
「いやいや、たくさんいたよ?大量にいてさぁ…。でもあいつら育つの早いじゃん?」
「お前……もしかしてそれ、狼のことか?」
「違う違う」
「(ほっ)」
「山猫とか山犬とか、あと熊とか鷹とかだな。兎とも仲良しだったなぁ…あいつら繁殖力すげぇの!見るたびヤってんだぜ!?凄くね?」
「あのな…」
「ん?」
「お前それ、普通じゃない」
「え?」