夢/コネタ | ナノ

▽ SS企画 その9

「お義父さん、娘さんを僕にください!」


七松先輩の前で土下座してそういったのは竹谷。
私は竹谷の隣に座って、七松先輩の藩王をうかがうと、七松先輩は眉間に大量のシワを作って竹谷を見下ろしている。
あぐらをかいて、腕を組んで…。
背後にはどす黒い何かが見える。


「…」
「くっ、ください!」
「(怖い…ここにいたくない…!でも七松先輩の頼みだし…)」


何故こんなことになったかと言えば、七松先輩が


「私に娘ができたとき、「娘さんをください!」「やらん!」という一連の流れを練習したい!」


と仰ったからだ。
どうせまた中在家先輩や立花先輩からの入れ知恵だろう。
余計なことしかしない先輩たちだよ全く!
竹谷は「そのあと殴られんじゃね!?」と未来が解っているので断ろうとしたのだが、「あ?」という有無を言わさない圧力に「はい」と頷いてしまった。
勿論、私もだ。


「こいつは私の大事な娘だ。お前はどんな奴からもこいつを守ることができるのか?」


すぐに殴られるかと思ったら、まさかのマジレスである。
竹谷も「え!?」と驚いて顔をあげると、七松先輩はもう一度同じことを言った。


「えっと…は、はい!俺がちゃんとどんな奴からもこいつを守ってみせます!」
「そうか…。お前はこいつのことがそんなに好きなんだな」
「愛してます。心の底より愛してます!」


竹谷は演技し始めると熱が入るタイプだ。
そして今回も入ってしまい、熱弁するのだが、


「(なんだこりゃ…。七松先輩どんだけ暇なんだよ)」


私は心の底からこの空間がどうでもよかった。


「そうか、愛してるか。ならば私を倒してみろ!」
「えッ!?」
「どんな奴からも守ってみせると言ったのはお前だろう?まずは私からだ。私に勝てたら安心して娘をやることができる!」
「(でしょうとも…)」
「いやっ…ちょ、七松先輩!どこまでやればいいんすか!?」
「いけいけどんどーん!」
「ぎゃああああ!やっぱりこうなるのかーっ!」
「(結婚したら娘だけは生まないようにしよう。じゃないと嫁にいけない…)」


私に未来の課題ができました。