▽ SS企画 その5 「七松先輩の子供が生みたいんです」 こんなどストレートな台詞は、伊作による変な薬のせいである。 決して私が言いたくて言ったわけではない! しかも、こんな五年長屋の廊下で!中在家先輩も一緒にいる中で! 「………あのな、今は昼間だ…」 「違うんですよ中在家先輩ぃ!かくかくしかじかでして、伊作のせいなんですぅ!くそう、七松先輩が今日も格好よすぎて辛いですー!わあっ、なんだこれ!違うんですよ七松先輩!これ言いたくて言ってるわけじゃないんですっ。でも七松先輩が好きなことは確かなんです!七松先輩が大好きで大好きで、本当は他の女を触ってほしくないし、というか中在家先輩にも実は嫉妬してるとかそんなんじゃなくて…!違う違う!黙れよもう!なに言ってんだよ私っ。そうじゃないだろ!そうだよ、七松先輩が格好よすぎるのがいけない!普段暴君で酷いかと思ったら、いきなり優しくなったりとかずるいです大好きです!早く卒業して、婚約して、七松先輩の子供をたくさん生みたいって思ってるんです!これが夢なんですってばぁ!違うんですよぉ!」 否定したくて口を開けば、そんなことを言ってしまう。 余計にパニックになれば、もっと酷いことを言ってしまい、中在家先輩は若干青ざめた顔で私を見つつ、耳を抑えてくれた。 いつもの私じゃないから怖いのかな?それも失礼な話だ! 「何か喋って下さいよ七松先輩!黙った顔も凛々しくて格好いいのですが、あなたのその声が聞きたいとか言ってないですし、思ってないですけど、口に出ちゃうんですよ…!うううっ……伊作の奴マジで殴る…っ!」 溢れた涙を手で拭うと、七松先輩が近づいて来て私の左右の頬に両手を添えた。 何をされるかと思えば、額に接吻され、はにかんで笑う。 「卒業して、職が安定したらちゃんとお前を迎えに行くから。子供はそれからな!」 「……」 「小平太……」 「それまで、ちゃんと身体は大事にするんだぞ?」 「どこまで格好いいんですかぁああああ!もう大好きです!早く抱いてくださいぃ!」 「解った解った!」 ええ、今のは本音ですよ! ▼ 通常の後輩シリーズは以下。 会話文でギャグです。 ▼ 「七松先輩の子供が生みたいんです」 「……」 「(遊びの罰とは言え、これは言いたくなかった…)すみません、七松先輩、これ罰………あれ?」 「そうか。まさかここ(廊下)で誘われるとは思わなかったぞ」 「……これ、罰なんです。なので先ほどのは嘘です。七松先輩なら解ってますよね?」 「勿論だとも」 「じゃあ何故、巷で流行ってた壁ドンをされてるんでしょうか?」 「嘘なのは解ったけど、ここで抱かなかったら男が廃ると思って」 「使いどころが違う気がします!」 「据え膳ってのほどの色気はないが、まぁでもそういう風にしてやる」 「ごめんなさい、嘘なんですってば!できれば最初は普通がいいっす!」 「えー……何で普通なの?」 「逆に聞きたいですけど、何で普通じゃダメなんですか?」 「私は飽きた」 「私は初めてです」 「じゃあなに?部屋でする?」 「そうですね、最初はやっぱり部屋がいいですよね」 「解った!」(ひょい) 「…そうじゃない…っ。そうじゃないんですよ!部屋がいいって言いましたけど、そうじゃない!第一、中在家先輩がいるじゃないですか!」 「長次なら今さっき親指立てて「明日には戻る」って矢羽音飛ばされた」 「六ろぉおおおお!ほら、左右にも先輩たちいますし…」 「え、別にいいだろ?」 「先生にバレたら…!」 「バレたとしても、怒られるとしたら明日だ!情事中に入ってこないから大丈夫!」 「い、いやだぁ!心の準備できてねぇ!」 「じゃあ部屋に着くまでにしとけよー」 「せめて胸が大きくなってから!」 「何年かかることやら…」 「(マジで溜息吐きやがった!)ほんっと、止めてください!ダメです!学生中はダメです!私の気持ちも尊重してください!」 「…。よいしょっと…」 「(あ、助かった…?)」 「私はもう十分待った。お前と付き合って二年だぞ?」 「………忍者の三禁…」 「……。解った。じゃあもうあんな嘘つくな。あと、そんなに拒絶するな。…傷つく」 「…(今なんつった…?聞き取り辛かったが、傷つくって言った…?七松先輩が…?そ、そうだよね……さすがにこんなに拒絶したら傷つくよね…。ううっ、なんだか申し訳ない…)すみません、七松先輩…。せめて他に私にできることがあれば…!」 「何でも?」 「できることでしたら…」 「じゃあヤること以外だな?」 「…まぁそうなりますよね?」 「解った。じゃあお前から接吻しろ」 「………心の準備するので今晩、お部屋に迎います…」 「(何で夜を選ぶんだろうな。こいつやっぱりバカだ。あと私だけなんだろうが、そういうのが鈍感だな。下ネタよく言ってるくせに)」 |