▽ SS企画 その1 「ういーす、食満先輩。今日も元気に日曜大工してますか?」 「……」 「なんすかそのげんなりとした顔は」 「いや、休日にも関わらず女っ気がねぇなぁと思って」 「何を今更。それを言うなら、食満先輩だって休日にも関わらず大工とか、お父さんですか?子供はどちらですか?」 「子供か?子供ならそこの角曲がって、さらに右に曲がって、んでもって左に曲がるとたくさんいるだろ?」 「………一年長屋じゃねぇか!」 「やっぱり一年生が可愛いよな…。純粋だし、五年とは違って素直だし」 「こ、こんな私じゃ…妹は…い、いやですか?お兄ちゃんっ」 「いいと思う。寧ろそれがいい」 「ド変態っすね」 「は?普通だろ。どこに、素直で可愛い妹より、ガサツで口の悪い妹のほうがいいかってんだよ。お前さ、大人しくしてたら普通に可愛いんだからちょっとだけしおらしくしてろ」 「……サラリとイケメン顔で…。もう、しょうがないなぁお兄ちゃんは!じゃあ背中借りますねー」 「おー。(…ちっさ。やわらか!)」 「お兄ちゃん、頑張ってー。私、応援してるからねっ」 「ついでに声音も変えてみろよ。鍛錬鍛錬」 「お兄ぃちゃぁん、私、頑張って応援してるからねぇ!」 「ははっ、くすぐったいけど新鮮でいいな」 「留お兄ちゃーん」 「んー、はいはい」 「(嬉しそうだな…。本当に年下っていうか、甘えられるのが好きなんだな、この人…。そうだよな、だから伊作先輩の面倒見てんだもんな…。文句言いながらも)私、留お兄ちゃんだーいすき!」 「私も留三郎だーいすき」 「「っ!?」」 「六年長屋に五年の気配を感じたから来てみたら、何してんだ?」 「え!?えっと……あの、伊作先輩に悪戯仕掛けようと…」 「おまっ、また伊作に悪戯するつもりだったのかよ!」 「へー。なのに何でこんなことしてんだ?」 「これはですね…。その、食満先輩の癒しになればと思いまして…!」 「留三郎、お兄ちゃんってなんだ?」 「……癒しを求めた結果…。あ、いや。こいつが勝手に呼んだだけで…」 「アヒルこの野郎!」 「ならば、私も兄上と言ってみろ!」 「(何でそうなる!?)え、七松先輩をですか?」 「おう」 「……兄上…」 「(兄上か…。それもいいな)」 「(食満先輩、絶対「いいな」とか思ってる…。つか何これ、楽しいの?楽しくないよね?早くどっか行ってくんないかなぁ…!)」 「うーん、やっぱり違うなぁ…。私のことは普通に呼んでいいから、そういうのは留三郎だけにしてやれ」 「は?あ、はい…。(自分で呼べって言っておいて!?もー…この人よく解らないよ…)」 「それと留三郎」 「お、おう?」 「お前がこいつの兄だったら、いつかはお義兄様とお呼びしなくてはな?」 「…すまん、それだけは勘弁してくれ」 「なら気をつけろよなー」 |