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▽ 探偵のお話 その3

七松と後輩主が初めて出会ったとき。



「先生、お手紙届いてましたよー」
「お、千梅。丁度よかった。お前も行くぞ」
「へ?いや、私今来たばかりですし…。つかどこに?」
「昔ちょっと世話になった奴のとこ。仕事貰ってくんだよ」
「ああ、最近依頼全くないですもんね。ご飯もまともに食べれないし…」
「そ。だから嫌だけどお仕事もらいに行くの」
「だからって私もですか?なんか…洋服着てるし、堅苦しそうだから嫌です」
「だーめ。先生の命令ですよ?」
「ならちゃんとご指導してくださいよ」
「見て盗んでください。いいから行く!はい、鞄置いてそのままで!」
「袴のままでいいんですか!?」
「おー。服装とかぶっちゃけどうでもいいんだよ」
「なにそれ!」

(向かい中)

「で、どこに行くんですか?」
「内緒」
「あ?」
「お口が悪いですねー、千梅ちゃんは。まぁあいつの前に言ったらしおらしくなるだろうけど」
「……怖い人ですか?」
「んー?俺から見たら面白い男だと思う。つか面白い」
「周囲から見たら?」
「怖い」
「帰ります」
「ダメー」
「きゃー、助けてー!おっさんに誘拐されるー!」
「街中で止めろ!ち、違いますからねー!この子の先生ですよー!?」
「かっこ、意味深」
「止めろバカ娘!」
「いたっ、殴るなバカおっさん!」
「おっさんじゃないやい!」

(それから)

「……なんか凄く大きい建物ですね…」
「はいはい、いいからこっちねー」
「裏口から入るんです?虎徹先生、怪しいお仕事じゃないでしょうね?」
「怪しいお仕事だよ」
「帰る」
「だからダメだって。それに、ここに一度でも入ったらもうダメだから」
「ダメって?」
「顔覚えられて、当分の間監視されるから」
「……は?」
「だから、ここで見たこと、聞いたことは口外しないようにな?」
「……。虎徹先生」
「あ?」
「死ね」
「生きる!っと、ここだな。おいーっす、入るぞー」

(がちゃ)

「虎徹、返事をする前に入って殺されても文句は言えんぞ。うちの番犬は容赦がないからなぁ」
「ははっ、相変わらずだな。すまん留三郎。次からは気を付けるからサーベルを収めてくれねぇか?」
「……」
「留三郎。収めろ」
「次回は気をつけろよ」
「はいはい。お仕事貰いに来ましたー。一か月食っていけるぐらいの仕事くれ」
「それは別に構わんが……。そっちのはなんだ?拾ったのか?」
「お前、犬猫だけじゃなくとうとう…。警察に捕まるぞ?」
「留さんっ、俺をそんな目で見ないで!この子は俺の助手さん。吾妻千梅ちゃんです。ほら、挨拶は?」
「……」
「さすが虎徹。躾上手だな」
「悪いな。元の性格が臆病だから。つーか、殺気飛ばしてくれるか?相手は女の子だぞ?」
「それはすまん。留三郎、さがっていいぞ。文次郎にも休憩するよう伝えてくれ」
「お仕事がまだ残っておりますが?」
「今日提出じゃない。いいからさがれ」
「御意」
「で、小さなレディ。あなたの名前は?」
「だから「私は、こいつに聞いてるんだ」あー、はいはい…」
「吾妻…千梅です…」
「何で助手なんかを?」
「………虎徹先生…」(虎徹の後ろに隠れる)
「悪いな、小平太。この子まだ子供だからこれぐらいで勘弁してくれるか?」
「子供?(胸を見て)十歳?」
「(十六だよあの野郎…!)」
「おっ、ちゃんと睨んでくるじゃないか」
「ひい!先生、早く帰りましょうよ!」
「後ろに隠れて可愛いだろー?やっぱり小動物はこうでなきゃな!うん、連れて来て正解だったわ」
「(これをさせたくてわざわざ!?解ってたけど先生も性格悪すぎ!帰ったら覚えてろこの野郎!)」
「いいな、その玩具。少しの間貸してくれないか?ほら、私のとこにあの二人しかいないだろ?」
「(そ、そんなの絶対やだ!)虎徹先生ぃ…!」
「お金くれるんなら別にいいぞ?」
「あんたいい加減にしろよ…!もう飯作ってやんねぇぞ!」
「え、でもお金欲しいし…。千梅もお金欲しいだろ?ほら、仕事だと思って頑張れ!」
「タコ野郎…!」
「おー、解った。じゃあ準備しとくからそっちも準備しといてくれ。丁度女向けの仕事があるんだ」
「あ、でも千梅俺みたいに強くないぞ?まだ学生だし」
「え、そうなの?じゃあ留三郎と文次郎に鍛えてもらうか。それとも、私が鍛えてやろうか?」
「結構です!お先に失礼します!」

(バタン)

「で、あれをどうしたらいいんだ?」
「ちょっと最近危なくてよー…。強くしてやってくれるか?俺あんまり指導とか得意じゃないし…。お前らんとこに預けたら、心配だけどちゃんと指導してくれるからな」
「文次郎も留三郎も面倒見いいからな。強くなったら貰っていいか?」
「お前嫌われてるから無理だよ」
「でもいいな、根性ありそうだし私も手出そうっと。ほい、これ仕事。立花たちには気づかれないよう頼んだぞ」
「当たり前だろ。じゃ、数日あの子のこと宜しくー」
「ああ、自分の身を守れるぐらいまでにはしとく」
「そうだ。傷つけるようなことしたらお前であろうと噛み殺すからな」
「ははっ、それは楽しみだ」