▽ 探偵のお話 その1 「虎徹先生、今日も依頼ありませんね」 「そうだなぁ…。本も読み飽きたし、外温かそうだし散歩するか」 「いいですね!羽織り持ってきます」 「やっぱり日本人なら和服だよなー」 「洋服も似合ってるっす」 「え、そう?しょうがない、饅頭奢ってやる」 「茶もつけてください」 「その分、事件のときや何かのあったときはちゃんと働いてくださいね千梅さん」 「うい!」 「よっしゃ、じゃあ逢い引きしましょうか!」 「え?散歩でしょう?私が飼い主で先生が犬的な」 「……ねぇ、俺さ、君の先生なんだよ?」 「あんまり格好いいとこ見ないのでつい…。すいません」 「小平太のとこ連れて行くぞ」 「立花さん連れて来ますよ」 「それは卑怯だろ!?」 「先生だってずるいっす!七松さんのところなんて絶対ぇ嫌っす!」 「お前があんなこと言うからだろー!もう外に連れてってやんねぇ!」 「結構ですぅ!けっ、こんなケチな先生のところ辞めてやるっ!心もあそこも小さい男め!」 「千梅テメェ!つかそれはお前もだろうが!年頃なのに全然成長しちゃいねぇ!ツルペターン!」 「女性に対してそういうこと言うなんて…!最低っす!だからこの間も女の子に振られてんすよ!ざまぁ!」 「止めろよ傷えぐるのぉ!まじ止めて!すっげぇ好みだったのになにあれ!「生理的に無理」とか酷すぎだろ!女の子より、男の子のほうが繊細なんだぜ!?」 「虎徹…あんたもう二十六だろ?男の子って言う年じゃ……」 「だからっ、俺ってば君の先生なの!あと千梅より十歳も上なの!お前まで俺を貶さないでよ……ぐすぐす…」 「……。早くいい人が見つかるといいですね?」(よしよし) 「うん…。見つからなかったら、千梅ちゃんのとこに嫁ぐね」 「……今なら玄関あいてますから大丈夫ですよ!」 「そっち(ペット)じゃなくて!そっちじゃないよぉ!助手が先生を苛めるよぉ!」 「だから二十六なんだから泣かないでくださいよ…。ほら、散歩行くんじゃなかったんすか?行きましょうよ」 「お前が虐めるからだろぉおおお!」 「手繋いであげますから。猫自慢も犬自慢も聞きますから。……私も言い過ぎましたよ。あそこはそれなりだといいですね」 「なんなの。千梅、まじで俺のこと嫌いなの?」 「好きだよ、虎徹ちゃん。君の笑顔も好きだけど、困ったり泣いたりする表情も好きなんだ。可愛いし愛しくなる。意地悪な俺でごめんね、嫌いになったかい?」 「千梅くん…!意地悪なのは私、だけかな…。だ、だったら別に…!」 「ふっ、可愛い人だな。でも気づいた。君は照れた顔が一番可愛い」 「だ、抱いてーっ!」 「で、貴様ら。いつになったら茶番が終わるんだ?」 「「うおおお!!恥ずかしい!!お婿(お嫁)にいけない!!」 「バカどもが。仕事持ってきてやったぞ」 ▼ もう一つ。 「先生」 「なんだい助手」 「虎徹先生」 「なんだい千梅くん」 「虎徹さん」 「なんだい千梅さん」 「虎さん」 「なんだい梅さん」 「虎徹」 「なんだい千梅」 「お兄ちゃん」 「わんもあ」 「断る」 「ツンデレかもん」 「ふえぇ…」 「幼女ぺろぺろ」 「先生」 「なんだい助手くん」 「暇」 「ですなぁ…」 |