▽ 悲恋のお話 「大好きですよ、先輩」といくら伝えても、彼女は寂しそうに笑って「ありがとう、三之助」としか答えてくれない。 何で俺はこんなに遅く生まれたんですかね?もっと早く生まれたらよかったと何度も後悔して、憎んだ。いくら想いを伝えても、もう遅い。 大好きな先輩は、大好きな人とくっついていた。 俺が入る隙間がないぐらい仲が良く、前世からの繋がりもあるから切っても切れない関係…。 でもそれだけの関係で諦めるなんて悔しいから、何度もアタックし続けて、ようやく俺を見てくれるようになった。どれだけ嬉しかったか……。 先輩も俺のことを好きになってくれた。 だから俺が告白するといつも寂しそうに笑ってくれる。 そんな笑顔じゃなくて、あの人に向ける笑顔が欲しいのに……両思いなのに独占することなんてできないのがムカつく。 ムカつけど、今の俺じゃあの人に勝てない。 だからね、先輩。 俺、強くなったら…あの人より強くなったら迎えに行くから。 絶対に強くなって、先輩を守れるぐらい強くなって……あぁ、そうだな。連れ去るぐらい強くなるから、少しの間待っててください。 今はあの人に預けてるだけなんです。 やる気のないように見えて、実は燃えてますよ。 特に先輩が関わるなら尚更です。 「今に見ててください、七松先輩。あんたより強くなってみせますからね」 大きな背中に向かって宣戦布告をした。 |