夢/コネタ | ナノ

▽ 可愛い後輩の話

私の後輩は可愛い。格好いいんだけど、可愛い。
まるで大型犬のような彼は、自慢の後輩だ。


「竹谷ー!」
「こんちはっす、先輩」


移動教室中に見つけたボサボサ髪を見つけた私はすぐに彼の名前を呼ぶ。
すると彼はピクリと反応して、笑顔で振り返ってくれた。
幻覚か、竹谷のお尻に犬の尻尾が見えて、その尻尾を振りながら私に駆け寄ってくる。


「移動教室中?」
「うっす。先輩もっすか?」
「うん!パソコン室にねー」
「え、遠いじゃないっすか。もうチャイムなっちゃいますよ?」
「可愛い後輩見つけちゃったからついつい…。竹谷今日も可愛いねー!」
「わっ」


私のことを気遣ってくれるなんて…。ほんっといい子!可愛すぎる!
少し背が高いので、背伸びして竹谷の頭をぐしゃぐしゃ撫でると、「可愛いってなんすか」と抵抗してきた。
周囲には人気が少なくなりつつある中、頭を撫で続けていると、突然手首をガシッと掴まれる。
お、何だ何だ。先輩に抵抗するのか?


「っ俺だって男なんすよ…?」
「もー…っ、そんなこと言ったって可愛いだけだよー!」


頭を撫でる手を掴んだまま、真っ赤になってそんなこと言われても、「可愛い」って言葉しか出てこないよ!
胸がきゅんきゅんなって、どうやって可愛がろうか考える。
………あの、手首を離してほしいのですが…。
離れようと、今度は私が抵抗するも、ビクともしない。
周囲にはもう誰もおらず、チャイムがむなしく校内に鳴り響いた。


「た、竹谷…?」


掴んだ手を廊下の壁に押し付けられ、逃げ場も塞がれる。
こ、これはヤバイと思って抵抗する力を込めるも、全く動かなくて次第に焦りが増していく。
怖くて可愛い竹谷の顔も見れず俯いていると、顔を近づけてきた。
ビクリと震えると、耳元で、


「抵抗しないんすか?」


と、少し意地悪な声で囁かれ、背中に鳥肌がたった!
全身に熱が帯び、逃げ出そうとするもやっぱり無駄。
でも怖くて、恥ずかしくて抵抗し続けてると、目の前の、あの竹谷が舌打ちをした。


「いっ…!?」
「先輩のせいっすから」


首筋にカプリと噛みつかれた。
そこでようやく竹谷の顔を見る。
可愛い後輩だった竹谷が、男の子の顔になって私を見降ろしていた。


「い、いや……ごめん、竹谷…!」
「抵抗しなければ痛くしないっすよ」
「っや…!竹谷、ごめんっ!離して…っ」
「なぁ…、いい加減にしろよ?」


またグッと力を入れ、キスできるまで顔を近づけて、至近距離で笑われた。
見たことのない顔だった。


「大人しく俺に食われろ」


目じりに溜まった涙を舐め取ったあと、悲鳴をあげる私の唇を塞いだ。





ツイッターで頂いたネタを使わせて頂きました。
やっつけで申し訳ないです!