▽ 夫婦の話 「よーし、今日も間違いなく帳簿を仕上げるぞー」 『はーい!』 「あの潮江先輩」 「何だ、田村」 「先輩はどうされたんでしょうか…。遅刻する人とも思えませんし……」 「五年は実習なため、夜にならんと帰ってこん。田村、悪いがあいつの分まで頑張ってくれるか?」 「は、はい!勿論です!」 「(辛い…眠たい…寝たい…)」 「ぐーぐー…」 「がー…」 「……」 「(下級生が羨ましい…。…羨ましいが、今日は先輩の分まで頑張らないと…!いつもお二人に負担をかけてばかりだし、今日ぐらい私が…!)………」 「……落ちたか…」 「すー……」 部屋に置いてある布団を下級生と三木ヱ門にかけてあげる文次郎。 「ただいま帰りました」 「おう。遅かったな」 「大変申し訳ありません。少々問題が起こりまして…」 「また鉢屋か」 「ええ、まぁ。……私の分は三木ヱ門が?」 「頑張ってたぞ。いつも以上にな」 「そうですか…。それは……助かります」 「俺に言うんじゃなく、田村に言え」 「はい」 寝ている三木ヱ門の頭を笑いながら撫でる。 「よく頑張ってくれたね、三木ヱ門。ありがとう、助かった」 「んっ……」 「おやすみ。あとは私と潮江先輩に任せてくれ」 「そう言うからには、寝ることなく終わらせるんだろうな」 「勿論です。それに、眠気は三郎のおかげで吹っ飛んでますから」 「そうか。それは心強いな」 「はい、頑張ります。とは言っても、かなり進んでいるようですね」 「ああ」 「今度、全員でお団子でも食べに行きませんか?」 「そうだな、最近忙しかったし、たまには休息も必要だろう」 「また前みたいにピクニックでもいいんですけどね」 「あれはお前が勝手に…」 「おや、潮江先輩も楽しんでいるように見えましたが?」 「………今度、な」 「きっと団蔵たちも喜びます」 「忍者が子供みたいに喜ぶんじゃねぇよ…」 「まだ下級生ですから大目に見てあげましょう」 「お前は本当に下級生に甘いな…」 「甘やかすときは甘やかす。それも潮江先輩から教えてもらいましたから」 「俺はんなことしねぇよ」 「無自覚なのはたちが悪いですね」 「もういいだろ。早く終わらせろ」 「はい」 |