▽ 六ろの日の話 「二人ともみーつけた!」 「竹谷ァ!」 「あいよッ!」 八左ヱ門から渡されたロールケーキを、現れた小平太の口に突っ込む。 「(もぐもぐもぐもぐ)」 「よし、先に言われる前に食わしてやったぞ!」 「今日は六ろの日だもんな…。でも七松先輩食うのはえぇよ…。ジャガリコかよ…!」 「(ごくん!)今日は六ろの日だ!なんか寄こせ!」 「今ロールケーキ食べましたよね!?」 「食べてない!」 「「食ったじゃないですか!」」 「私が食べてないって言うんだから、食べてない!」 「七松先輩、口元にクリームがついてますよ」 「お、すまん」 「ほら見たことか!」 「しまった!でもあんなんじゃ腹膨れないから肉寄こせ!」 「リクエストが具体的になりましたね!だから言ったじゃんバカ竹谷。絶対肉のほうがいいって」 「でもよ、六月六日はロールケーキの日でもあるんだぜ!?」 「だからバカだって言うんだ!今は室町だろうが!室町時代にロールケーキはねぇよタコッ!」 「それもう今更じゃん!落乱界では今更じゃん!落乱コミック一巻見てみろよ、自販機あんじゃねぇか!」 「原作はいいんだよ原作はよぉ!いいから早く肉を献上しろ!見ろっ、七松先輩の機嫌がどんどん悪化していく!」 「お前ら、ご託はいいからさっさと肉出せ」 「少々お待ち下さい、七松先輩。今すぐ豚のアサコちゃんをお連れします」 「おお、竹谷の豚か。なんだ、結局食べるのか」 「うおおおおお!アサコは食用じゃねぇって何度言えばいいんだよバカ!七松先輩、お願いですから涎たらさないで下さい!」 「もういいじゃん。何でご飯が目の前を歩いてるのに我慢しなくちゃいけねぇんだよ。ねぇ、七松先輩?」 「早く食わせろ!」 「アサコはダメっす!あの子は……アサコは俺の大事なヒトなんす!」 「豚じゃん」 「豚だろ」 「豚ですけど、俺はマジでアサコのことを可愛がってるんです!食用じゃないです、愛玩用です」 「でも豚は食う生き物だぞ?」 「アサコは違います!」 「どうでもいいから早く連れてこい」 「こ、怖いけど……これだけは反抗させて頂きます!」 「もー!いっつもアサコアサコってうっせぇんだよ!そんなにアサコが大事なら結婚すればいいでしょ!?つか、私のほうが竹谷のこと想ってるのに酷くない!?」 「えッ!?お前俺のこと……」 「ッバカ…!今更気づいたのかよ!もうお前なんか嫌いだ!アサコと結婚してたくさん子供産めばいいだろ!」 「豚と人間が結婚できるわけねぇだろ」 「そこは現実主義なんだな!」 「おいお前ら、茶番はいいからさっさと食いもの寄こせ。あとお前」 「あ、はい…」 「お前、私の女だろ?ふざけたこと言ってると殴るぞ?」 「すみません!ところでこんなとこにお金があるんですけど、宜しければ町まで行きませんか!?奢りますよ!」 「おっ、いいなそれ!お前たちを破産させてやる!」 「「(いやあああああああ!)」」 |