▽ 02 海 虎徹「海行こうぜ!」 我が家の大黒柱の一人、お祭り男の声により、恋口さんちとその仲間たちで海に行くことになりました。 三郎「こんな大人数で行くなんてな…」 兵助「せめて先輩たちとは別行動がしたいのだ」 勘右衛門「え、なんで?皆で遊べるんだよ?そっちのほうが楽しいって!」 八左ヱ門「そうそう!先輩たちは……その、諦めて俺たちだけで楽しもうぜ」 三郎「そりゃあお前はいいよな。彼女はいるんだし」 八左ヱ門「彼女がいたとしても確実に七松さんに連れて行かれるけどな!」 雷蔵「諦めてるね、八左ヱ門」 文次郎「この年になって海に遊びに来るとはな…」 仙蔵「折角の休みだ。思う存分遊べ。それに、海はいい鍛錬場所だと言うではないか」 長次「遠泳…」 小平太「いいな、遠泳!あと私、鮫と戦いたい!」 伊作「小平太、この海に鮫はいないよ…」 留三郎「で、誘ったあいつらはまだかよ」 虎徹「ういーす。お待たせー」 武蔵「お久しぶりです。いつも兄がお世話になっております」 千秋「伊作と留三郎以外は久しぶりだな。元気にしていたか?」 楓「こんにちはー!」 千梅「ういーっす。虎にぃが寝坊して遅れましたー」 虎徹「さーせん!楽しみすぎて夜寝れなかった!」 千秋「うちの愚兄が悪いな」 (海に到着) 虎徹「うはー!水着のお姉さんいっぱい!ナンパ!ナンパしようぜ!」 留三郎「その前に水着に着替えるぞ」 伊作「服のままで海辺に行かないの」 三郎「武蔵、お前の水着は褌か?」 武蔵「そんなわけなかろう。きちんと……………千秋姉さんに選んで頂いた…」 三郎「例えお前でも、姉には勝てないよな」 武蔵「姉というより、うちの女性には勝てない…」 虎徹「千秋ー、お前らも着替えて来いよ。ナンパされねぇようにドアの前で見張っててやろうか?」 千秋「構わん。番犬がなくても自分の身だけでなく、妹たちも守れる」 仙蔵「男のお前より頼もしいな。しかし何かあってからでは遅いぞ。文次郎を連れて行け」 文次郎「誰が行くか!千秋、さっさと着替えてさっさとこっちに来い!」 勘右衛門「えー、潮江先輩、千秋先輩の水着姿そんなに早く見たいんですかー?まぁ俺も見たいですけど」 文次郎「ば、バカたれ!そういう意味ではなく…!」 楓「ハチ、ハチ。千秋お姉ちゃんと可愛い水着選んだんだよ!楽しみにしててね!」 八左ヱ門「お、おう…!すっげぇ楽しみで、俺も昨日寝れなかった」 長次「それはただのムッツリだな…」 八左ヱ門「違いますよ!失礼っす!」 雷蔵「千梅も水着?」 千梅「勿論!服のままでもいいって言ったのに、千秋ねーに怒られたし」 雷蔵「ふふっ、そうなんだ。楽しみにしてるね」 千梅「おうよ!」 (着替え中) 虎徹「女の子はうちの子三人だけだ。だからって手出すんじゃねぇぞ?」 武蔵「手を出すの何も、三人中二人はもう相手いるじゃないですか」 虎徹「そうであってもだ!そこの犬二匹っ。うちの子に手出すな!」 留三郎「犬に犬扱いされたくねぇよな。伊作、しっかり準備運動しておけよ」 伊作「十分すぎるぐらいしたよ」 小平太「大丈夫だ、虎徹!今日は海で鍛錬の予定だから!あとバレー!」 文次郎「普段と変わんねぇな」 八左ヱ門「ご兄弟の前で手を出すとかできねぇっすよ…。普通に遊びます」 勘右衛門「でも水着姿は楽しみだよねー!やっぱり海と言えば、水着!あー、早くナンパに行きたい!」 兵助「水着……」 三郎「兵助、気をしっかり持て。まだ見てもいないし始まってもいないぞ」 雷蔵「兵助の水着……。やっぱりはんなりさん豆腐なんだね…」 千秋「お前たちはどこにいても目立つな」 楓「ハチー!どう、可愛い?」 千梅「早く泳ぎたーい!とりあえず準備運動して遠泳だな」 仙蔵「千秋がちゃんとした水着を着るなんて…。想像ではパーカーを羽織ってくるかと思ったのに」 千秋「馬鹿もん。海ではきちんと水着を着ないといけないのだ。それがルールだと虎徹から教えてもらった」 虎徹「うちの妹たち、単純なんだよなぁ」 勘右衛門「千秋先輩がホルターネックビキニで、楓がセパレート水着で、千梅がタイキニね。うん、三人とも似合ってるよ!」 留三郎「……お前、水着の種類が解るのか…」 勘右衛門「流行だけじゃなく、全てを把握する男ですから」 虎徹「因みに俺の海パンは虎だぜ!」 武蔵「何が悲しくて私が龍を…」 虎徹「俺とお揃いだ。嬉しいだろ?」 武蔵「特に」 千秋「どうした兵助。今日はいつにも増して静かだな」 兵助「いえっ!そ、そんなことは……」 千秋「お前はまたそのキャラクターか。可愛いな」 兵助「す、すみません…。あまり見ないでください…」 千秋「どうしてだ」 兵助「恥ずかしいんです…」 千秋「ならば私のも見ればいいだろう?」 兵助「それができたら苦労しませんよ!」 千秋「あ、おい兵助!きちんと準備運動をしてから海に入れ!」 仙蔵「まぁまぁ。久々知の気持ちも考えてやれ」 千秋「仙蔵…。気持ちか。ジロジロ見られるのは失礼だったな。あとから謝ろう」 文次郎「そうじゃねぇし…。まぁいいや。千秋、沖に行くんだろ?俺も付き合うぞ」 千秋「よし、競争しようではないか!」 仙蔵「その水着を着て言われるとさすがに違和感があるな…」 小平太「なんか、パジャマみたいだな」 千梅「ああ、こういうパジャマありますよね」 小平太「何でお前も千秋や楓みたいなのにしなかったんだ?」 千梅「私はあんまりスタイルよくないんで、できるだけ露出したくなかったんす。つーかビキニとかセパレートとか違和感ありまくりで」 小平太「そうか?」 千梅「……。七松さんのそういう言葉にどう反応していいか困ります」 小平太「え、何で」 千梅「もーいいっす。それよりバレーっすか?デレデレしてる気持ち悪い竹谷呼んできますね」 長次「……。小平太は天然たらしだな」 小平太「なんだそれ、うまいのか?」 楓「どう、可愛い?」 八左ヱ門「可愛い。すっげぇ可愛い」 楓「…なんか言わされてる感じがする…。ごめんね、千秋ちゃんみたいに色気なくて…」 八左ヱ門「違う。まじで可愛い」 楓「……ハチ?」 八左ヱ門「可愛すぎて、手が震えてる」 楓「手?」 八左ヱ門「俺、生まれてきてよかったって心の底から思う」 楓「そんなに?ハチに喜んでもらえた?」 八左ヱ門「写真撮っていいですか?」 楓「恥ずかしいからダメー!」 八左ヱ門「いっそ太陽に焦がされて死にたい。ありがとう、神様。海よありがとう。俺は今幸せです」 三郎「武蔵ー、一緒に泳がないか?」 武蔵「断る。それよりスイカ割りしないか?虎徹兄さんが持って来たんだ。勿論、雷蔵も参加するだろう?」 雷蔵「え、いいの?勿論だよ」 三郎「武蔵にしてはノリがいいな…。で、スイカはどこだ?」 武蔵「私の目の前にいる」 雷蔵「あー…」 三郎「武蔵、目線が痛い。そんなに見つめないでくれ、恥ずかしいだろう」 武蔵「貴様がスイカだ。砂に埋まれ」 三郎「今日はまだ何もしていないはずだが…」 武蔵「昨日、私の課題に落書きして提出しただろう」 三郎「あの先生なら大丈夫だ。寧ろ「あの恋口くんが落書きするなんて可愛いところもあるのね」って笑っていたぞ」 武蔵「人間の頭も割ると、真っ赤らしい。スイカだろう?」 三郎「それ、死ぬから。私死んじゃうから」 武蔵「死ねと言っているのだ」 三郎「雷蔵!」 武蔵「覚悟しろ!この日のためにわざわざ木刀を新調してきてやった!」 雷蔵「二人とも安定だなぁ」 虎徹「いやー…。弟も妹も見事にはっちゃけてんな。お兄ちゃんは嬉しいよ」 留三郎「お前、大丈夫か?最近忙しいんだろ」 虎徹「忙しいけど、家族サービスはしてやりてぇの」 伊作「そんなんだから彼女にフラれるんだよ。彼女全部放置じゃん」 虎徹「こんなことで俺についてこれない女はいらん!つーわけで、ナンパ行かね?二人がいると絶対に釣れると思うんだ!」 伊作「僕、パス。海に浮いてるだけで気持ちいいし」 留三郎「俺もパス。潜ってるほうが面白い」 虎徹「んだよ!俺に彼女ができなくて、男に走ったらどうするんだよ!」 伊作「僕じゃないことを祈る」 留三郎「俺じゃないことを祈る」 虎徹「お前ら二人のどっちかを嫁にしてやる。個人的には留さんがいい」 留三郎「断るって言ってんだろ!俺はちゃんと女の人と結婚して子供を三人産むんだ!」 伊作「虎徹、そんなの絶対に許さないよ!独り占めは許さない!」 留三郎「伊作っ、そういうことじゃねぇだろ!ああもう海に来てまでその悪ふざけ止めろよ!」 虎徹「いやー…海っていいな。面白い」 留三郎「言ってることは普段とかわんねぇじゃん…」 続く? |