▽ 探偵パロ その12 いきなりですが、英国に行くことになりました。 「(ありえない…ほんとにありえない。船の上で数週間過ごし、また向こうでも数週間…それから帰ってくるのに数週間……。無理だ!恐怖でどうにかなりそう!)」 「さて#名前#。これから短期間のうちにお前に覚えてもらいたいことがある」 「(しかも七松さんの仕事部屋で勉強とか無理だっつーの…!もう帰りたいよー…。ちゃっかりしっかり両親も説得しやがってっ…。自宅もばれてるし!くそー、二人ともこの胡散臭い笑顔に騙されやがってー!)」 「…。#名前#、私の言葉にはきちんと答えなさい。じゃないとその可愛らしい顔を鞭で叩いてしまうかもしれん」 「……え…」 「これで留三郎と文次郎も調教したなぁ…。結構痛いぞ」 「すみません」 「解ればいい。覚えてもらいたいことは、簡単な英語、礼儀だけだ。あとは私の隣にいろ」 「……そ、…れ、は…ですね…」 「では英国に着いたら好きにするがいいさ。向こうは怖いぞ。何せ、女性を食べる習慣があるからな。お前みたいな何も知らない女を誘拐するのも容易いだろう。外国人だし、警察も助けてはくれん」 「(真っ青)………人間を食べるんですか…?」 「向こうと日本は習慣が違うからな」 「…行きたく「ないという選択肢はない。食べられたくないならしっかり勉学に励め。そしたらご褒美をやろう。ご褒美があるほうが嬉しいだろう?」 「(犬扱いされてる…)頑張ります…」 一時間目、潮江文次郎による英語講座。 「……目も頭も痛いっす」 「挨拶とよく使う日常会話だけだ。これぐらいすぐに頭にいれんかバカタレ」 「潮江さんは相変わらず厳しいですね。でも七松さんに比べたらこの厳しさも心地いいっす。頑張ります」 「おい、スペル間違ってる」 「すぺる?」 「これじゃない、こっちだ」 「ああ、なるほど!いやー…潮江さんの説明は解りやすいですね!教師に向いてますよ。私の学校の先生になってくださいよー」 「喋ってないで単語を頭に入れ、発音しろ」 「は、発音もするんすか…?筆記じゃダメなんです?」 「ダメに決まってるだろうが!発音も完璧にしないと……お前、どうなるか解ってるか?」 「…叩かれるんですか…?」 「俺は婦女子は叩かん。七松さんが直々に教えてくれるだろう。舌を使ってだ」 「(舌を使って…?え、どうやって!?意味わからん…。でも怖いから頑張ろう。マジで頑張ろう!)潮江さん、ばしばし頼みます!」 二時間目、食満留三郎による作法講座。 「お前はもう少し女らしい仕草をしろ」 「してますよ」 「股を広げるな。言葉使いも気をつけろ。日本語であろうが、解る奴はいるんだぞ」 「細かいっすね。気を付けまーす」 「あと食事の食べ方も教える」 「ご飯食べれるんすか!?やったー!」 「おい、向こうのマナーは厳しいぞ。笑って食事ができると思うな」 「……食満さんも厳しいですね…。でもご飯ですよ?楽に食べたいです…」 「じゃあお前、向こうに着いたら七松さんの部屋で、七松さんの前で食え」 「すみません、きちんと身に着けますので教えて下さい」 ?時間目、七松小平太による愚痴。 「お前たち、私の名前出してるだろ」 「「いえ」」 「まぁいい。で、#名前#はどうだ?成長したか?」 「必死に覚えている最中です。筆記は苦手ですが、喋るのはそれなりにです」 「作法もなんとか間に合いそうです。常に緊張感を持っていればのお話ですが…」 「それはよかった。やはり#名前#は書いて覚えるより、動いて覚えるほうが早いのだな。………いいな、私も躾したい」 「「それはご勘弁を」」 「きっと私が教えたら一時間で覚えるぞ。恐怖で覚えるほうが一番早いからな。いや、それはそれで寂しいものがあるな…。仕方ない、優しく教えてやるか」 三時間目、七松小平太による英国説明。 「で、大体の説明はできたわけだが、理解できたか?」 「……………行きたく「何度も言わせるな。行くんだ」で、ですが…っ!男性は気に入った女の子を食べて、女性も若い女の子の血を好んで飲むとか…っ。そんな野蛮で恐ろしい国があるなんて!」 「(素直を通り越したバカだな。まさか信じるとは…)」 「でも…街で見る異人さんはどれも素敵な方ばかりでした…。あ、少し離れた場所に住んでる金色の目をした異人さんを知ってますか?とても綺麗な目をしてるんですよ。まるで宝石みたいで…」 「…」 「怖いけど、目が合えば笑ってくれますし、きちんとお辞儀してくれます。…あ、不器用なお辞儀なんですけどね。先生のお知り合いみたいなので今度お話したいなぁ…」 「ああ…、#名前#もあの目に魅了されてしまったんだな」 「え?」 「言っただろう、気に入った女を食べる男がいると。そうやって魅了して、捕えて、食べるんだ。#名前#、お前日本にいるのに食べられるぞ」 「っ…!ま、まさか…!」 「#名前#、食われたいか?」 「嫌です!嫌ですよ!だから行きたくないって言ってるんじゃないですか!」 「日本に残ってもその男にお前は食べられるぞ?」 「…あう…」 「お前はもう少し知識をつけたほうがいい。今回の留学、悪い話じゃないだろう?知らないことを知るというのは、お金より貴重なことだ」 「……」 「確かに未知な土地に行くのは怖いだろう。しかし、私や留三郎、文次郎がいる。知っている人がいて、知ってる人から説明をしてもらって学ぶことができる。お前はかなりの贅沢者だ」 「…でも…(不本意だ…った)」 「探偵事務所が好きか?」 「好きです。先生も好きです」 「ならば好きな先生のために賢くなって、支えろ。あいつもそれを望んでる。口には出さないが、お前に強くなってほしい、賢くなってほしいと思っている」 「…そうなんですか?」 「探偵とは言え危険な仕事だ。だからお前を私に預けて強くしてくれと頼んできた。あいつが好きならあいつの気持ちを汲み取ってくれないか?これは友としての台詞だ」 「……………、かりました…」 「そうか、それは嬉しいな!ならば時間は少ないが、しっかり覚えてしっかり理解しろ」 「はい」 「あの人、本当に性格が悪いよな」 「黙ってろ留三郎、聞こえるぞ。……じゃなきゃあ毎度危ない取引したりしねぇよ」 「確かに。俺らも雇ってねぇわな」 「ああ。あー…見ろよ、七松さんの楽しそうな顔。#名字#が気づいてないことをいいことに震えながら笑ってやがる」 「性格が悪い…」 「留三郎、それ二回目だ。―――#名字#の護衛しなければ殺されるぞ」 「抜かりはねぇよ。こっちもこっちで鍛錬してる。またマフィアに邪魔されて、七松さんに怒られるのはごめんだ」 「だな。次こそは確実に潰す」 「やればできるじゃないか、#名前#」 「(ほ、褒められた…!いや、嬉しくないぞ。それに七松さんの笑顔は怖い…)」 「言葉だけじゃ足りないか?ならばまた接吻してやろう。口を出せ」 「便所ぉおおお(がしっ)うわああああ!」 「そういえば言ってなかったな。レディの品格を下げるような発言や行動をした場合、罰を与えることになった」 「はぁ!?」 「二回だ、#名前#。鞭で叩くから手を出せ」 「(やっぱり怖いし嫌いだ!)」 |